Crystal Kayさん(39)「昔は“結婚=ゴール”の感覚が強かった」変化したパートナー観

心と体、どちらも整えてこそ、本当の“私らしさ”に出会える──。
そう語るのは、今年デビュー25周年を迎え、初のオールタイムベストアルバム「ALL TIME BEST 25th Anniversary』をリリースしたCrystal Kayさん。
ニューヨークでの暮らしやファッションを通して得た価値観、そして「結婚だけがゴールじゃない」と語るしなやかな生き方。多くのアラサー女性が抱える“自分らしさってなんだろう?”という問いに、まっすぐ向き合う彼女の今に迫りました。

プロフィール

1986年生まれ、神奈川県出身。1999年デビュー。R&BやJ-POPを融合した“CKサウンド”で注目される。2013〜15年にはニューヨークへ単身移住。帰国後は舞台にも活躍の場を広げ、2024年には日米合作ブロードウェイミュージカル『RENT』にも出演。2024年7月から25周年イヤーを迎え、12月に25周年記念ライブを開催。ジャンルや時代を越えて進化し続ける、唯一無二の存在。

「あのとき頑張ってよかった」と思えるアラサーの私

―――CLASSY.読者はちょうど30歳前後の方が多くて、仕事や人生について悩む時期でもあります。Crystal Kayさんも27〜32歳くらいの間に、海外に行ったり新しいチャレンジをされていましたが、「あのときやっておいてよかったな」と思うことや、「ちょっと無理しすぎたかも…」と感じた経験があれば教えてください。

そうですね…今振り返ると、「全部やりきったな」って感覚が強いです。いわゆるアラサー世代のときにニューヨークに行ったんですが、あの街は本当に自由で、多様性にあふれていて。“こうじゃなきゃ”って思い込みをいい意味で壊してくれる場所でした。いろんな人に出会って、価値観が広がって、自分の中にも新しい風が吹いたような感じがしましたね。“こうしておけばよかった”って後悔はなくて、むしろ“無理しすぎたかも?”と思うような経験でさえ、今となっては“あれでよかった”って思えるんです(笑)。

――それはすごいですね!

昔から、プレッシャーを楽しむタイプなんです(笑)。それに、私はデビューしたときから学業もちゃんとやるって決めていて、大学まできちんと卒業しました。「全部やってやる!」って、自分との戦いみたいな気持ちでがむしゃらに走ってきましたね。

今思えば、ほんとうにハードな毎日だったなと思うけど、やりきった実感があるから、やってよかったと心から思います。中途半端で終わらせたくなかったんです。……でも、今だったらさすがに無理かもしれません(笑)。

「自分らしさ」は、“試してみる”ことで見つかる

――今日のファッションもとても素敵ですね!「自分らしさ」をファッションで表現するうえで、意識していることはありますか?

ありがとうございます!私は“まず何でも着てみる”ことを大切にしてます。自分に似合うものって、実際に着てみないと分からないから。

――試して初めてわかること、たくさんありますよね。

そうなんです。「え、こんな色が似合うんだ!」とか、「この形、意外とイケる!」とか。挑戦というより、私は“遊び”の感覚に近いかもしれません。黒ばかり着るのも悪くないけど、私はあえて偏らないように、日々遊び心を忘れないようにしています。

――“挑戦”というより、“楽しむ”というスタンスが素敵です。

自分の体のシルエットを知ることもすごく大事だと思っていて。自分だけに似合う色や形って、絶対あるんですよね。それを見つけたときの喜びは大きいし、自信にもなる。だから、最初から「これは私には無理」って決めつけず、いろいろ試してほしいです。

――シンプルだけど、自分にしっくりくるものを選ぶことが「等身大のおしゃれ」なんですね。

それが“自分らしさ”なんだと思います。私はこだわってる人から見たらすごくラフかもしれないけど、自分が気分良く過ごせるかどうかが一番大事。それでいいんじゃないかなって思ってます。

心と体、どちらもケアしてこそ“私らしさ”が整う

――CLASSY.読者の多くは、仕事やライフイベントに追われて「心と体のバランスをどう保つか」で悩むことも多いようです。Crystal Kayさんは、どんなふうに整えていますか?

まさに、私もずっとトライアル&エラーを繰り返してるところなんです(笑)。でも一番わかりやすいのは“体の調子”。私は運動を生活に取り入れるようにしています。ジムで走ったり、できるだけ歩いたり…。そうやって体が整ってくると、気持ちも自然とスッキリして、自信が湧いてくるんですよね。

運動って、ただ体を動かすだけじゃなくて、“無になる時間”にもなる。考えすぎていたことが整理されたり、ふと答えが見えたりするんです。精神的にもとてもいい影響があると思います。

――心のケアも、大切にされているんですね。

私は“自分に話しかけるときは、親友に話すように”って決めてるんです。「なんでこんなことしちゃったの?」じゃなくて、「今日はよくやったよね」って、自分を労るようにしてます。そうすると、不思議と心も落ち着くんですよ。誰もが“頑張りすぎないでいられる社会”になったら、もっと暮らしやすいですよね。

「結婚」じゃなくてもいい。“心地よい関係”が何より大切

――CLASSY.読者にとって大きなテーマでもある「結婚」について、Crystal Kayさんはどんな考えをお持ちですか?

もし“ライフパートナー”と呼べるような人と出会えたら、その人と一緒に人生を歩んでいけるって、とても素敵なことだと思います。お互いが自分らしくいられることが一番大事で、さらに高め合える関係であれば、なお理想的ですね。

――まさに安心できる居場所のような関係ですか。

そう、私にとっての理想は“心のホーム”。そこに安心感や穏やかさがあることが大切なんです。だから、形式にはあまりこだわらない。いまの時代、“結婚”だけが幸せの形じゃないと思うんです。

昔は「結婚=ゴール」って感覚が強かったけど、今は“自分にとって心地いい関係性”の方が大事になってきた。たとえば、小さい頃に「ウェディングドレスが夢」って思っていたとしても、大人になって「それが本当に自分に合ってるのかな?」って立ち止まるのもアリ。今は、いろんなカタチの幸せが選べる時代になったんだなって、希望を感じます。

――“結婚しない選択”も、未来のかたちのひとつなんですね。

“パートナーシップ”という関係性もすごく素敵だと思います。大切なのは、お互いに無理をせず、サポートし合えること。そういう柔軟で健康的な考え方が、もっと広まったらいいなって思います。

Information

オールタイムベストアルバム『ALL TIME BEST 25th Anniversary』
Crystal Kay初のオールタイムベストが発売中。「恋におちたら」など、代表曲の再録含む全32曲で、25周年の軌跡をたどる1枚。

撮影/新道トモカ ヘアメーク/遠田眞里 スタイリング/角田今日子(ポストファウンデーション) 取材/池田鉄平 編集/越知恭子

Magazine

最新号 202508月号

6月27日発売/
表紙モデル:梅澤美波

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