「間違えやすい漢字」今回は、久しぶりに四字熟語を取り上げます。四字熟語は、単に漢字が四つ連結したものではなく、「ことわざや慣用句」として使用されるものを指します。さて、問題はいつもの通り、常用漢字の範囲内です。漢字検定で言えば「2級レベル」にあたり、高校卒業程度になりますので、いずれも正しく読めるようにしておきたいですね。
1.「興味津津」
最初は「興味津津」です。もちろん、「興味津々」の表記もありですが、この「々」は実は漢字ではなく「すぐ前の漢字を繰り返して書くかわりに用いる」符号だということをご存じでしたか(同の字点とかノマ点とか呼びます)?本題に戻りますが、「興味津津」は何と読みますか?
正解は「きょうみしんしん」です。誰もが知っている熟語で、よく耳にはしていても、「興味深深」と書くのではないかと思っていた方がいたはずです(これ、学校の漢字書き取りテストでも誤答の定番です)。
この「津」は常用漢字表でも、「つ・シン」と音訓が両方ともに示されていますが、訓読みとして「津波」とか地名の「滋賀県大津市・三重県津市」などはおなじみですが、音読み「シン」はこの「興味津津」以外はまずお目にかかりませんね。なお、「津」は、「船着き場・あふれでること」の意味を持つ漢字。つまり、「興味津津」は「興味や関心が後から後から、あふれでてくる」わけです。
2.「自縄自縛」
次は「自分の縄で自分を縛る」漢字の組み合わせにより、「自分で言った(した)ことのために自分で苦しむこと」の意味を表わす「自縄自縛」です。さて、何と読みますか?
正解は「ジジョウジバク」でした。「縛(しば)る」は「束縛(ソクバク)」を思い出せば読めますね。「縄(なわ)」は、「縄文(ジョウモン)時代」を思い出せたら、読めたのではないでしょうか。「縄」の音訓である「ジョウ・なわ」は、ともに常用漢字表にきちんと示されています。
3.「他言無用」
最後は「他の人には話さないで」という意味で、「この件は他言無用でお願いします」の形で使うことが多い「他言無用」です。これはもう、「タゴンムヨウ」か「タゲンムヨウ」の二択ですね。さあ、どちらでしょうか?
正解は「タゴンムヨウ」でした。漢字「言」の音読みは、「漢音(奈良時代に伝わった唐の長安の発音)」である「ゲン」と、「呉音(それより前に伝わった六世紀ごろの中国南方地方の発音)」である「ゴン」の二つが常用漢字表にも示されており、とくに四字熟語の場合は、「ゲン」か「ゴン」で迷うことがありませんか(たとえば、「悪口雑言(ゴン)」とか「大言(ゲン)壮語」とか「一言(ゲン)居士」など)。この「他言無用」も正しくは「タゴンムヨウ」なのですが、「タゲン」の誤読が多くなってくると、国語辞典では、見出し語「他言(タゴン)」の説明の中に、「タゲンとも」と書かれます。しかし、「タゲン」には「多言(口数が多い)」という別語もあり、許容とは言え、これを誤用と考える方も多いと思われることから、やはり「他言無用」は「タゴンムヨウ」と使うのが望ましいと考えます。
では、また次回。
ちなみに最近は、「四文字熟語」との形で耳にすることがありますが、手持ちの国語辞典数種にも「四文字熟語」の見出し語はありません。意味的には通るのかもしれませんが、「四字熟語」と言うのが無難です。
では、また次回。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「漢検ポケットでる順2級」(旺文社)
・「1秒で読む漢字」(青春出版社)」
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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