今回は、使われる意味によって、2通り(あるいはそれ以上)の読み方がある熟語を集めてみました。いずれも常用漢字なので、意味は違っていても、よく知っている読み方のほうで読んでしまいがちです。では、紹介していきます。
1. 「人気」
最初は「人気」です。もちろん「若者に人気がある歌手」のように使われれば、「にんき」と読みますよね。では、「夕方人気のない神社の境内を歩く」の文では、何と読むでしょうか?
正解は「ひとけ」です。「人のいるけはい」という場合は、「ひとけ」と読んでください。
さらに、あまり目にすることはないかもしれませんが、「人気の荒い土地柄」のように使う場合もあります。これは、「その地方一帯の人々がもつ気風」という意味で、「ジンキ」とまた違う読みとなります。
2. 「気骨」
次は「気骨」です。「接待は気骨が折れる仕事だ」という文章と、「気骨ある人物に出会った」という文章のそれぞれの「気骨」は、読み分けられますか?
正解は前者が「きぼね」、後者が「きこつ」です。「気骨(きぼね)」は「気づかい・気苦労」の意味、「気骨(きこつ)」は「困難に屈せず信念を貫こうとする強い心」の意味、全くの別語です。これらは、どちらもよく目にする熟語ですので、とっさに読み分けるのが難しいと思われます。注意しましょうね。
3. 「出来」
最後は、「出来」です。「今年は作物の出来がいい」のように名詞の熟語で使われる他、「商品が出来上がる」のように動詞でも使われますが、これなら「でき」と難なく読めますね。では、「書籍が近日中に出来する」のように使われていた場合は、何と読むでしょうか?
正解は「しゅったい」です。新聞などのベストセラーとなった書籍の広告で、「重版出来!」という文字が踊るのをよく目にします(かつて同名のドラマもありました)が、思わず「じゅうはん・でき」と読み間違えそうです。もともと「シュツ・ライ」とそのまま音読していたものが発音変化して「シュッ・タイ」となったと考えられており、上記の例文のように「完成する」という意味の他、「珍事が出来する」のように、「事件が起きる」という意味でも使われます。
このシリーズまだまだありますので、いずれ続編をやります。では、今週はこのへんで。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源(角川書店)」
・「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(二見書房)
・「挑戦! よくばり漢字道場」(角川文庫)
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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