CLASSY.ONLINEでは恒例の漢字連載記事。前回、四字熟語を取り上げたのに続いて、今回は読み間違いやすい三字の熟語を集めてみました。いつものように、使用されている漢字自体は中学校までで習う常用漢字ですが、読み方には注意が必要です。それでは、始めましょう。
読めそうで読めない漢字3つ
1.「御用達」
「宮中・官庁などに商品を納入すること。また、その商品や商人」という意味ですが、さて、何と読んでいますか?
ごめんなさい。実は、「ゴヨウタツ・ゴヨウタシ・ゴヨウダチ」のいずれの読み方でも正解なのです。恐らくは、「ゴヨウタシ」のみが正解だと思われている人が多いかと思いますが、辞書によっては「ゴヨウタツ」のほうを見出し語に上げ、「俗にゴヨウタシとも言う」と補足しているものや、「ゴヨウタシ」のほうが見出し語で、「ゴヨウタツ・ゴヨウダチとも」と説明するものがあります。特に、「タシ」と「タツ」の違いに関しては、「御用を足(た)す」のか「御用を達(たっ)する」かの違いと説明することもできます。パソコンなどでも、どちらの入力でも変換可能です。では、実際に読まなければならない時はどうしますか?
私見ですが、最も一般的と思われる「ゴヨウタシ」と読んでおき、仮に相手が「ゴヨウタツ」と読んでも間違いとは指摘しないのがよろしいかと。
2.「好事家」
あなたの周りに、「普通の人が何の興味もないようなことに関心を寄せる人」はいませんか? そういう人のことを「好事家」といいますが、さて、何と読みますか?
「事件」「無事」など多くの熟語で「ジ」と読んでいますから、こちらも「コウジカ」と読んでしまいがちですが、この正解は「コウズカ」です。常用漢字表でも「事」の音読みは、「ジ」だけでなく「ズ」も併記されています。「ジ」は最も古く日本に伝えられた音(「呉音」といいます)ですが、後にもっと新しい時代の「ズ」という音(こちらは「唐音」です)が伝えられました。ちなみに、「好事(おめでたいこと)」という熟語なら「コウジ」と読みますが、同じ「好事」の語を含んでいても意味の違う「好事家」の場合は、「コウズカ」と読みます。意味も、何となく誤解されやすい語なので、注意しましょう。
3.「世迷言」
普段使うことはなくても、漢字から意味は類推できる語は多いですよね。それが漢字の利点でもあります。「世迷言」という語も、「いくら言ってもどうしようもないのに、口に出さずにはいられない不平や愚痴」という意味はおわかりでしょう。では、読み方は?「迷う(まよ・う)」につられて、「ヨマヨイゴト」と読んだ人が多いのではないでしょうか。
正解は「ヨマイゴト」です。辞書の中には、「よまふ(=愚痴を言う)」という古語の名刺的用法と説明するものがあります。そうだとすれば、「世迷言」の漢字が後から当てられたのでしょう。「ヨマヨイ」と読み間違えてしまうのも道理ですね。ただし、この言葉は「ヨマヨイゴト」という誤読をする人がますます多くなっていけば、逆に「許容」となっていくことが十分考えられます。これは、他の言葉と同様、自然な流れです。
では、また次回。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源」(角川書店)
・「1秒で読む漢字」(青春出版社)
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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