皆様、あけましておめでとうございます。今年も、CLASSY.ONLINEでは、気になる言葉や漢字を取り上げていきます。このページを担当するようになってから、これまで以上に「言葉」について敏感になったような気がします。どうぞご一緒に、漢字や日本語について勉強していきましょう。さて、前回に引き続き「年末年始特別企画」として、この時期ならではの漢字を集めてみました。
1. 「去年」
最初は「去年」です。もちろん、「きょねん」と読みますが、日本古来の和語として、何と読むかご存じですか
正解は「こぞ」です。俳句の世界にも、新年の季語として「去年今年(こぞ・ことし)」というのがあります。「大晦日(おおみそか)」の夜をはさんで、去年と今年とが一晩で移り変わる、たとえて言ならば、「ゆく年くる年」の世界ですね。ところで、年賀状では、去年の出来事の感謝の気持ちなどを賀詞の後に添え書きすることが多いものですが、年賀状自体が改まった挨拶文ですから、文面にこの「去年」を使うことは避け、「昨年」「旧年」と書きましょう。
2. 「御節」
次は「御節」です。皆さんは、もう召し上がりましたか。さて、どんな料理のことでしょうか?
正解は「おせち」です。漢字「節(せち・せつ)」とは、「季節の変わり目の節目となる大切な日」のことです。「五節句」と言って、それが1年間に5回あった(「ひなまつり」や「こどもの日」のルーツが含まれます)わけですが、その時のごちそうが「御節(おせち)」です。やがて、年の最初の「節」である、正月に食べる料理を指すものとなっていきました。ですから、「御節」は本来縁起物であり、それぞれの料理には「願い」がこめられています。たとえば、「黒豆」には、「まめに働く」の意味があり、「健康」を祈ることにつながります。「金団(きんとん)」には、「金運や勝負運」向上の願いがこめられます。今年のようなお正月は、これら「御節」料理をおいしくいただくことで、皆の「健康」や「悪霊退散」を祈ることにしましょう。
3. 「独楽」「骨牌」
お正月と言えば、まだ幼かったころの楽しかった記憶が思い起こされる方も多いことでしょう。皆が一堂に会すお正月には、大人たちの飲み食いを横目に、お年玉をもらった子どもたちが「正月ならではの遊び」に興ずる姿がどこの家でも見られました。コンピューターゲームの出現など想像もできなかったあの時代、遊びと言えば、「独楽」や「骨牌」がその代表でした。さて、何と読むかおわかりですか?
正解は「こま」「かるた」です。「こま」は古典にも登場する「こまつくり(こまつぶり)」の短縮(圧縮)形。「かるた」はポルトガル語の音訳で、「歌留多」などの表記も併用されました。こうしたかつての「遊び」も、やがて、文献でしか見られないものとなっていくのでしょうか。ちょっと、寂しい気もしますね。
2回にわたり特集した、この「年末年始シリーズ」ですが、少しはお楽しみいただけたでしょうか。来年のお正月こそは、帰省やレジャーを楽しむ昨年までの「普通のお正月」が戻ってくることを信じ、皆で頑張りましょう。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源(角川書店)」
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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