CLASSY.ONLINEでは、毎回「間違いやすい漢字の読み方」を出題していますが、今回はいつもと趣向を変えてみます。パソコンやスマホでの文章作成が当たり前の現代ですが、手元でメモを書いたり、手書きの原稿をチェックしたりする機会は完全に失われたわけではありません。そんな時、多くの人がついやってしまいがちな書き間違いを含む文を提示します。表記上のミス(書き間違い)を指摘し、正しい漢字を考えてください。では、始めましょう。
1.「来店したお客様の応待を担当してください」
この文には書き間違った漢字が一文字含まれています。どれか、分かりますか?
「応待」の「待」が違います。正しくは「応対」です。「応対」とは「相手の話をよく聞き、その内容に応じた返事をすること」という意味ですが、似たような熟語に「接待(=客をもてなすこと)」があり、この「待」と混同してしまいがちです。「応待」という熟語はありそうで、実はありませんから、気をつけましょう。
2.「自分の責任を他人に転化する」
間違いの漢字が一文字含まれているのは、先ほどの文と同様です。いかがでしょうか?
「責任テンカ」は「転化」ではなく「転嫁」と書きます。「転化」は「ある状態が別の状態に移り変わること」の意味を持つ熟語で、これ自体は間違いではありませんが、この文で用いるのならば「転嫁」のほうでしょう。「嫁」は「およめさん」のこと。訓読み「嫁(とつ)ぐ」で、この字の意味がわかりますが、ここから転じて「自分の過ちや責任を他になすりつけること」の意味に使われるようになりました。
なお、「テンカ」という熟語は同音異義語が多く、この他にも「天下」「点火」「添加」「転科」などがあります。
3.「難関を突破して有頂点となる」
考え方は前の2つと同様です。いかがでしょうか?
「喜びや得意の絶頂にいて他をかえりみないこと」を「ウチョウテン」と言いますが、正しくは「有頂天」と書きます。ですから「点」ではなく、「天」と書かなければいけませんね。
ちなみに「有頂天」とは、仏教の世界観で最も高い位置にある「天」のことです。
さて、今回の「誤字訂正」はいかがでしたでしょうか?パソコンなどの変換機能に頼りすぎていると、いざ手書きをしなければならない時に、「……?」となってしまうことがあります。「文明の利器」を最大限に利用しながらも、基本的な語彙力は身に付けていく意識や覚えるための書く努力は、これからの時代でも必要であると私は考えていますが、皆さんはどう思われますか。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「知らずに使っている残念な日本語」(宝島社)
・「知っておきたい日本語常識ドリル」(朝日新聞社)
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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