今回は漢字一文字の読みを集めてみました。私たちが日常生活で主に使う漢字として定められている常用漢字2,136字からの出題ですが、読み自体がその音訓表にはない、いわゆる「表外読み」で、おまけに送りがなもありませんので、例文がないとちょっと難しいかもしれません。
読めそうで読めない1文字の漢字3選
1.「現」
常用漢字表では、「ゲン/あらわ・れる、あらわ・す」の音と訓が示されていますが、一文字だけの読みはおわかりですか? では、例文として「趣味に現を抜かす」でどうでしょう。
正解は「うつつ」です。「夢」の反対語、「目覚めているときに確かに存在すると意識される現実」ですね。「夢うつつ」と続けた形で、「ぼんやりした状態」を表わすことがありますが、これは「夢」と「うつつ(現)」を同じ意味に考えてしまった使い方で、本来は誤用と言えるものです。
2.「邪」
常用漢字表では、「ジャ」の音読みだけが示されています。表外の訓はおわかりですか?例文として、「邪な思いを抱く」を挙げましょう。
正解は「よこしま」です。意味は、「正しくないこと。道にはずれていること」です。発音だけだと、「横じま(縞は常用漢字外)」と間違えそうですが、「横」という漢字の意味には、本来「見当はずれで無関係な(道理に合わない)方向や場所」という意味があります。「よこしま」の語源には、この「横」の意識があるという説もあるようです。
3.「術」
これも常用漢字表では、「ジュツ」の音読みだけが示されています。「相手の術にはまる」など、「計略、はかりごと」という意味で、一文字でも「ジュツ」と音読みすることもありますが、「なす術もない」だったら何と読みますか?
正解は「すべ」です。「問題解決のための手段方法」という意味なら、この訓で読みましょう。古典語の時代から「術なし」という形容詞がありますが、この語や先の例文でもわかるように、下に否定表現を求める傾向があります。
では、この辺で。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「古語林」(大修館書店)
・「1秒で読む漢字」(青春出版社)
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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