「自分の人間としての度量は、お芝居のなかにも映ってしまう」杉咲花さん(28)が語る俳優としての仕事観【Prime Originalドラマシリーズ『クロエマ』主演】
配信中のPrime Originalドラマシリーズ『クロエマ』で、主人公のエマを演じる杉咲花さん。ご自身とは「物事をポジティブに捉えようとするところが似ているかも」と語ります。俳優として唯一無二の存在感を放ちながら、どこかで出会ったことのあるような親近感とリアリティのあるキャラクターを演じられるのはさすがのひとこと。その表現力は、日々の生活を豊かにしようとする姿勢に支えられているんだとか。ドラマの魅力はもちろん、杉咲さんの仕事観についても話を伺いました。
Profile
1997年生まれ。東京都出身。幼少期から芸能活動を開始。2016年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞を受賞。2020年、NHK連続テレビ小説『おちょやん』に主演。近年の主な出演作は、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(2024年)、『冬のなんかさ、春のなんかね』(2026年)、映画『市子』(2023年)、『朽ちないサクラ』(2024年)、『ミーツ・ザ・ワールド』(2025年)など。
誰かと他愛もない話をする時間に、救われる夜もある
――まずは、本作の脚本や原作マンガを読んだときの感想を教えてください。
登場人物たちが、それぞれの人生に流れる“ほつれ”や“しがらみ”のなかを、ゆるやかにサバイブしていく様子が素敵だなと思いました。そしてドラマの締めくくりには、特別なパフェを食べて自分を労ったり癒したりする時間が描かれているんです。そんなところもとても好きな要素でした。
――たしかに、ラストに必ず登場するパフェには特別感があります。ご自身でドラマの完成版をご覧になっていかがでしたか?
気負わずに観られて癒される作品になっているのではないかなと感じました。登場人物たちが抱えるさまざまな問題は、物語のなかですべてが解決するわけではなくて。それでも、そばにいる人たちとおいしいものを食べて、とりとめのない話をする時間が救いになる夜もあるよな、と。
――演じられたエマについては、どんな人物だと捉えられていますか? 役作りで意識したポイントも教えてください。
どこかあっけらかんとしているというか、大変なことが身に降り掛かっても、それをひょいっとかわしながら生き抜いていく術を持っている人なのではないかと思いました。独特でエキセントリックな思考をもちながら、人の懐に入っていけるような愛嬌も併せ持っている人で。その絶妙な塩梅を表現できるように意識していました。
――ちなみに、エマと杉咲さんに共通点はあるのでしょうか?
私自身はエマほど軽やかなタイプではないのですが、起こった物事に対してなるべくポジティブに捉えようとするところは似ているかもしれないです。落ち込むこともありますが、気持ちを切り替えるのは比較的早いほうだと思います。
表現のなかには、自分の日々の生活がにじみ出る
――CLASSY.読者と同世代である杉咲さんの仕事観についても伺いたいです。まずは、俳優を続けてきた原動力について教えてください。
私はあまり人とのコミュニケーションが得意なほうではないのですが、誰かと一緒に何かを作り上げていく過程はすごく好きなんです。初めてこの仕事に関わらせていただいたときから、そのよろこびはずっと変わっていない気がします。私は1人で黙々と何かを生み出せるようなタイプではないので、それぞれのプロフェッショナルな方々と協力して作品づくりに関わっていく時間は、やっぱり特別で。自分にはなかった視点や価値観に触れられるととても感動します。
――これまでのキャリアのなかで、仕事への価値観や取り組み方が変わったような瞬間はありましたか?
分岐点があったというよりは、それぞれの現場を通して一歩一歩進んできた感覚があるのですが、仕事をがむしゃらに続けているだけでは不得意なことはそのままだし、必ずしも成長として比例していくわけではないのかもしれないと思うようになりました。昔は、いろいろな作品で経験を積んでいけば、自然と表現力も豊かになるものだと思っていたんです。でも最近、表現のなかには自分の生きてきた時間がにじみ出るということなのかもしれないと考えるようになって。人間としての度量や心意気、他者に向ける眼差しのようなものは、お芝居のなかにも映るものなのではないかと思うようになってから、自分の生活をおろそかにしないことを心がけるようになってきました。
1番の目標は「部屋をきれいに保つこと」
――プライベートな時間も充実させるように意識されているんですね。ちなみに、どんなことを大切にして過ごされているのでしょうか?
忙しいときこそ部屋をちゃんと片付けたり、自分のためにご飯を作ったり。あとは、世の中で起きていることに関心を向けることでしょうか。当たり前のことですが、いま自分がいる場所から、1歩踏み出したところにも意識を向けることを大切にしたいなと思っています。
――たしかに、そういう積み重ねこそが豊かな生活につながっていく気がします。オフの日もまずは身の回りを整えることに時間を使いますか?
そうかもしれません。でも本当に、部屋を片付けると自分の頭の中も同時に整理されていくような気がするので、意識的にやることを心がけています。でもお出かけすることも好きなので、家の中での時間も外出する時間も、どちらも大切に過ごしたいですね。
最近の趣味は山登り「風の気持ちよさや水のおいしさを感じられる」
――外に出かけるときには、どんなところへ行くことが多いですか?
最近は山登りが好きです。 この間、2つの山に続けて登頂する“縦走”にも挑戦して。他にもいろいろな山に登れるように、少しずつ鍛えていきたいなと思っています。
――登山を始めたきっかけは何だったんでしょう?
周りに登山が趣味の方が何人かいて、山の良さを聞いていたのでずっと気になっていたんです。私はもともとインドアで、自然に触れる機会がほとんどなかったのですが、山に登り始めてから、風の気持ちよさや水のおいしさをすごく実感して、豊かだなと思ったんです。
――先ほど、人とのコミュニケーションがあまり得意ではないというお話がありましたが、苦手なことに対してはどんなふうに向き合っていらっしゃいますか?
私はどちらかというと人見知りで、集団行動も得意な方ではないんです。みんなで集まってひとつのものを作り上げていく時間は好きなのに、自分でも矛盾してるなと思うのですが(笑)。でも、そうですね。大人数の前に立ったり、話したりするのは、たぶんこの先も得意になることは難しい気がしているのですが、誰かとすれ違ったときに自分から挨拶することを心がけたり、相手の名前を意識的に呼んでみたり、1対1の関係を築くことをちゃんと大切にできたらいいなと思っています。
Information
Prime Originalドラマ『クロエマ』(全5回・配信中)
杉咲花さんが多部未華子さんとW主演を務めるドラマ『クロエマ』はPrime Videoにて全5話独占配信中。恋も仕事も家も失ったエマ(杉咲花)は、謎めいた資産家・クロエ(多部未華子)と出会い、ひょんなことから共同生活を始めることに。正反対に見えてどこか共鳴し合うふたりは、クロエの趣味である占いを通して、さまざまな相談者たちの抱える謎を解き明かしていく。
<着用衣装>
ドレス¥275,000(ラドロー https://ludlow.jp/)その他/スタイリスト私物
撮影/山村祐太郎 ヘアメイク/宮本愛(yosine.) スタイリング/中澤咲希 取材/近藤世菜 編集/宮島彰子
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