【カンヌ出演作も話題】ブレイクの実感はゼロ? 注目俳優・黒崎煌代(24)の現在地/映画『急に具合が悪くなる』出演

2023年の俳優デビュー以来、映画『見はらし世代』での主演をはじめ、Netflixシリーズ『九条の大罪』など話題作への出演が続く黒崎煌代さん。順調なキャリアを歩んでいるように見える一方で、本人は「ブレイクの実感は全然ない」と笑います。俳優を目指したきっかけから、プレッシャーとの向き合い方、成長を感じる瞬間、そして意外なリフレッシュ法まで。今の黒崎さんを形づくる仕事観と素顔に迫りました。

Profile

2002年4月19日生まれ、兵庫県出身。2022年、レプロエンタテインメントの第1回「主役オーディション」で応募者約5000人の中から選ばれ、芸能界入り。2023年、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインの弟・六郎役で俳優デビューを果たす。その後、『さよなら ほやマン』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』など話題作に出演。2025年公開の映画『見はらし世代』で主演を務め、高い評価を獲得した。近年は、Netflixシリーズの『九条の大罪』や『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)などドラマへの出演が続き、次世代を担う若手俳優として注目を集める。

コロナ禍の退屈から映画の世界へ。名匠との出会いを引き寄せた映画愛

――そもそも俳優を目指したきっかけは何だったのでしょうか。
高校卒業後に上京して、普通に大学へ入ったんですけど、ちょうどコロナ禍で一年生のほとんどがオンライン授業だったんです。ずっと家にいる生活で、つまらなくて。もともと映画業界には入りたいと思っていたんですけど、何をすればいいのかも分からない。とりあえず家でカメラを回してみたりもしたんですけど、全然面白くなくて(笑)。そんなときに、今の事務所のオーディション募集をSNSで見つけたんです。

――コロナ禍が人生を変えた。運命的ですね。
どうなんでしょう(笑)。もともと映画が好きだったので、俳優という仕事への憧れはありました。でも、自分がなれるとは思っていなかったんです。ただ、コロナ禍で時間だけはあったし、「何かやりたい」という気持ちがずっとあった。それで思い切って応募したのが始まりでした。

――映画好きになったきっかけは何だったんですか?
すごくベタですよ(笑)。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『ダイ・ハード』とか。子どものころからアメリカ映画ばかり観て育ちました。中高生のころなんて、ほとんど洋画しか観ていなかったと思います。

――邦画を本格的に観るようになったのは俳優になってから?
そうですね。邦画に関わる仕事をする以上、ちゃんと観なきゃ駄目だと思ったので、40〜50年代から80〜90年代と、順番に年代ごとに観ていったんです。だから勉強し直した感覚に近いですね。

――その中で濱口監督の作品とも出会った?
やっぱりすごい監督ですよね。間違いなくその時代を代表する監督だと思いますし、日本映画史に残る方だと思う。その監督とご一緒できたことは、俳優人生において本当に大きな出来事でした。

勝負の場では生意気になる。プレッシャーを味方につける独自の仕事論

――デビューから約3年。近年、映画『見はらし世代』で主演を務めたほか、Netflixシリーズの『九条の大罪』など話題作への出演が続き、まさにブレイク。ご自身では変化を感じていますか? 
ブレイクなんて、全然そんな実感はないですね(笑)。ただ、街とかで一般の方に気づいていただくというより、同じ業界の方から「あれ観たよ」と言っていただく機会は増えました。そういうときに、ちょっとずつ顔を覚えていただけているのかな、という感覚はあります。でも、まだまだ不安のほうが大きいですし、これからも謙虚にやっていきたいなと思っています。

――大きなチャンスやプレッシャーと向き合うとき、意識していることはありますか?
どうなんですかね。楽しめばいいんじゃないですか(笑)。もちろん緊張は嫌なんですけど、その状況そのものを面白がるというか。オーディションだったら、「なんだこれ、大人がいっぱいいる中で前に立たされてるぞ」みたいな(笑)。一回ちょっと俯瞰して見るというか、「なんだこの状況」って思うんです。

――挑戦そのものを楽しむ?
そうですね。普段は謙虚でいるべきだと思うんです。でも、オーディションみたいな勝負の場は別なんですよ。勝負のときに謙虚なやつなんか勝てませんから(笑)。そこでずっと謙虚なままじゃ勝てないと思うんです。だからそういうときは、思い切って生意気になるくらいでいいんじゃないかなって。自分を信じて前に出るというか、「負けるか」という気持ちでいたほうがいい気がします。

――なるほど。それはCLASSY.の読者世代に刺さりそうです。
いやいや、恥ずかしいな(笑)。普段から生意気なわけじゃないですよ。でも、自分を信じなきゃいけない瞬間ってあると思うんです。

カメラが回っていないと気が抜ける。ステーキにはこだわりアリ!

――仕事をしていて成長を感じる瞬間はありますか?
成長かあ……自分ではあまり感じないですね。ただ、この仕事を続けていると素敵な出会いがどんどん増えているな、という実感があって、それはすごく嬉しいことだと思います。続ければ続けるほど、好きな人が増えていくんですよね。

――それは素敵ですね。
本当にそう思います。仕事を通じて出会えた人たちのおかげで続けられている部分も大きいですから。

――逆に、直したいと思っているところはありますか?
ありますよ(笑)。仕事そのものは真面目にやるんですけど、カメラが回っていないときに気が抜けるんですよね。共演者やスタッフさんとの会話で、たまに適当な相槌を打ってしまう。それで「今、適当に聞いてたでしょ」って言われるんです。「あ、バレてた」って(笑)。

――緊張が解けるとそうなってしまう。
そうなんです。自分でもなんでなのか分からないので、直しようがないんですけど(笑)。

――人として直したいところはありますか?
スーパーでの買い物ですね。もっと節約できるだろうと思うんです。服を買うときは何万円単位でめちゃくちゃ悩むんですよ。でもスーパーに行くと、数十円、数百円くらいなら、まあいいかって何でもカゴに入れちゃう。

――レジで驚くタイプですか?
驚いてないふりをしながら驚いてます(笑)。「え、こんなにいった?」って。最近は物価も上がっているので、なおさらですよね。

――忙しい日々の中でリフレッシュ方法はありますか?
やっぱり食べることですね。特にステーキをジーッと焼いている時間が好きなんです。ただ焼くだけじゃなくて、フライパンや火加減、オイル、ガーリック、ハーブとか、いろいろこだわるんですよ。焼いた後に寝かせたりもしますし。

――本格的ですね。
そういう細かい工程をやっている時間が好きなんです。ただ肉を焼いているだけなんですけど、気づいたら集中していて。それでビールを飲む。最高ですね(笑)。

Information

映画『急に具合が悪くなる』 6月19日TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

濱口竜介監督が、宮野真生子・磯野真穂による同名の往復書簡集を原作に、フランス、ドイツ、ベルギーとの国際共同製作で映画化した最新作。
舞台はフランス・パリ郊外の介護施設「自由の庭」。理想的なケアの実現を目指す施設長マリー=ルー・フォンテーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)は、人手不足や現場の課題に向き合う日々を送っていた。そんなある日、がんと向き合いながら創作活動を続ける日本人演出家・森崎真理(岡本多緒)と出会う。真理が演出するのは、自閉スペクトラム症の孫・智樹と行動を共にする俳優・清宮吾朗の一人芝居。偶然の縁から交流を深めていく二人だったが、真理の病状は次第に進行。限りある時間の中で、二人は互いの人生や死生観に向き合いながら、深く魂を通わせていく――。

ジャケット¥808,500ニット¥276,100パンツ¥315,700シューズ¥469,700(すべてZEGNA/ゼニア カスタマーサービス03-5114-530)

撮影/木村 敦(Ajoite) ヘアメイク/Tomoe Chika(artifata) スタイリング/能城 匠(TRON) 取材/服部広子 編集/宮島彰子