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CLASSY.編集部員より

笑える映画の次は、泣くと決めてから観る映画をいかがでしょうか。

「扉をたたく人」――去年の夏に映画館で初めて観た時、
年末にDVDでもう一度観直した時、そのどちらもぼくは涙が止まりませんでした。
声高にではなく、大切な誰かにそっとその良さを伝えたいと思う、
そんな映画をご紹介したいと思います。

申し遅れました、編集部の田頭です。書きながら、またちょっとウルッときています。

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本作の主人公・ウォルターは妻に先立たれ、
人生に倦怠を覚える孤独な大学教授。
典型的なアメリカ東部のインテリWASPとして描かれています。
ぼくなど、こんな暗そうなキャラ設定はむしろ盛り上がってしまうのですが(笑)、
このセンセイ、とにかく気難しいうえ、仕事にも対人関係にも万事やる気がありません。
そんな無愛想でイヤな感じの彼が、ひょんなきっかけで
不法滞在中のシリア人青年・タレクと知り合うところから物語は大きく動いていきます。

ウォルターの閉ざされた心を開いたのは、
ミュージシャンであるタレクが演奏するジャンベというアフリカの打楽器でした。
ジャンベのリズムに抗いがたく心惹かれてしまうウォルター。
理屈っぽく響くクラシックの四拍子ではなく、
思わず体を動かしたくなるアフリカン・ビートの三拍子こそが、
彼の頑なな心を溶かしていくのです。

やがてジャンベのレッスンを通じてどんどん深まっていくふたりの友情。
しかし、ある日タレクは永住権を持たない不法移民のため、ついに警察に拘束されてしまいます。
タレクの解放を求めて奔走するウォルターは、その最中に運命的に出会い、恋をし、
自分の人生やアメリカ社会について思いをめぐらせていく
・・・
というのが大まかなストーリーの流れです。

ぼくがもっとも泣けたのは、ちょうど前半の山場の部分。
この映画らしくさりげなく、しかしぞくっとするほど繊細に作られています。
このシーンで響く三拍子を、ぼくはたぶんこの先ずっと忘れないことでしょう。

それは拘置所で自由を奪われたタレクに、ウォルターが二度目に面会に行った時のこと。
接見場のガラスの壁越しに受話器で交わされる会話の最後、
タレクは「上達ぶりを見せて。音楽が必要なんだ」と訴えます。
自分の胸を三拍子で叩き、ウォルターが応えてくれるのを待つタレク。
初め躊躇していたウォルターは、やがて勇気をふりしぼり、
ハニカミながら、そして不器用ながらも机を叩き、
ここに世代を越え、国籍を越えたふたりのセッションがガラス越しに実現するのです。

このわずか1分ほどのシーンこそ、
この映画でもっとも美しい瞬間である、と個人的には思います。
主演を務めたリチャード・ジェンキンスの演技は本当に素晴らしい。
ほとんど無名の俳優だった彼が2009年度のアカデミー主演男優賞に
ノミネートされたのも当然と思えるくらい、感動的な演技でした。
映画のラスト10分はもう必見。必ずや泣けることでしょう。

それにしても、「ガラス越し」というのはなんとドラマティックで、
エモーショナルなシーンばかり
なのでしょうか。

「シティーハンター」の冴羽獠と香の、
炎上する船内でのガラス越しキスシーン(今井正監督「また逢う日まで」が
オリジナルなのでしょうが、世代的にはこちらをハズせません!)。
西川美和監督「ゆれる」の、
オダギリジョーが香川照之に拘置所で接見するシーン。
加えてこの「扉をたたく人」のセッションシーンを併せたお気に入り3つを、
ぼくは「三大ガラス越しシーン」と勝手に名づけています(笑)。

ちなみにCLASSY.4月号にもガラス越しの写真が掲載されています(ヒント:モデルはケリー!)。
こちらもとても印象的で素敵なカット。ぜひ探してみてくださいね。

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  • 今泉 祐二です。編集長やってます。

  • CLASSY.を作っているのはこんな人たちでした。女性3人、男性3人。似ているようで似ていない、まさに「六人六色」な編集部員のプライベート像をお届けします。

  • エネルギッシュで、好奇心旺盛なCLASSY.のライター&スタイリストの、充実ライフをお見せしちゃいます。