石井杏奈さん「難しさ感じる役だからこそ、演じるのが楽しみ」【W主演舞台『SHELL』開幕直前インタビュー】

映画にドラマ、CMと多方面で活躍している俳優の石井杏奈さん。11月に行われるW主演舞台『SHELL』では、年齢も性別も違ういくつもの人生を、いくつもの顔をもって同時に生きるという摩訶不思議な役を演じます。25歳にして11年の俳優キャリアを持つ石井さんに、演技に向き合う今の心境を等身大の言葉で語ってもらいました。

多感な時期ならではの葛藤、悩み、失敗…舞台『SHELL』が描くもの

—11月11日から公演が始まる

—11月11日から公演が始まる『SHELL』で演じる主人公・希穂は、少し不思議な特性をもった人物です。台本を読んだ感想を教えてください。
いちばん最初に読み終えたときは「あれ? 結局希穂は誰なんだっけ?」と不思議な気持ちになりました。何度も繰り返して読んでいくうちに、ファンタジー要素がありながらも共感できる部分がたくさんあると気づけました。読むたびにストーリーの様々な面が見えてきて、そこに面白さを感じました。葛藤したり、悩んだり、失敗したり、高校生という多感な時期特有の出来事や感情が詰め込まれているところも、ストーリーに引き込まれるポイントだと思います。

—とくにどんな部分に共感しましたか?
希穂の人との向き合い方は素敵だな、と感じました。私自身も「こういう人でありたいな」と思う姿がありますが、同じように希穂にも理想があって、そこに近づくためにひたむきに周囲と向き合う姿勢は共感できる部分でした。

未知数な役柄だからこそ、演じるのが面白い

—いくつもの顔を持つ希穂を演じ

—いくつもの顔を持つ希穂を演じるにあたり、役作りで準備していることはありますか?
稽古が始まるまでに(※取材は9月上旬)、希穂としての地盤は固めておきたいと思っています。ただ、希穂は今まで演じたことのない役柄なので未知数なところも多くて。例えば、母親役を演じるとなったら、実際に母親としての経験がなくても、自分の母だったり、子持ちの友達だったり、重ねられる人が近くにいるけれど、希穂にはロールモデルになる存在がいません。そこに難しさも感じますが、だからこそ演じるのが楽しみです。私がどう演じるか葛藤するのと同じように、希穂も葛藤をしながら自分を生きていると思うんです。その感じは、私の役への向き合い方に似ているものがあるので、実際に演じてみてのフィーリングを大事にしたいと思っています。稽古を通じて、みなさんとコミュニケーションを取りながら、希穂の人物像も築いていきたいです。

同世代の役者が多い現場にワクワクしています

—今作の共演には同世代のキャス

—今作の共演には同世代のキャストの方も多いですが、同世代で作り上げる舞台はどんなところが楽しみですか?
まずは、稽古が楽しみです。年齢を重ねて社会人の役が増えてくると、同世代だけの現場はほぼなくて。同世代の役者さんたちと1カ月も一緒に過ごすのは学生以来の経験ですし、ワクワクしています。共演の秋田汐梨さんとは、ビジュアル撮影時に初めてお会いしました。笑顔がチャーミングで優しくて気さくで。撮影でお話ししたもののまだお互い探り探りなので、稽古で距離を縮めたいです。

それぞれの立場で“主観的”に観てほしい

—作品の「ここに注目して欲しい

—作品の「ここに注目して欲しい」という見どころを教えてください。
ファンタジーではあるのですが、どこか現実味を帯びているところが不思議な作品です。高校生、不思議な特性を持った人物像、といった世界観ではあるのですが、「世界が違ったとしても、みんな根っこの部分で抱える感情って同じだよね」というメッセージが主軸にあるので、観る人それぞれに共感できる部分があると思います。たくさんの選択肢がある中で、高校生という多感な時期に、何を考えてどんな決断を出すのか。そこに物語の真意があるので、自分の高校生の頃と重ねたりしつつ、主観的に観てもらえるとうれしいです。


舞台『SHELL』

とある高校の放課後の教室。そこには生徒の未羽(みう)、希穂(きほ)、咲斗(さくと)と数名の友達たち。彼らは、突然学校に来なくなった松田先生について、そしてこの学校の問題について度々話し合っている。ある日、未羽は通りがかったビルからマネキンが落ちてくる現場に遭遇する。そのマネキンを抱きかかえていたのは中年男の高木だが、未羽には高木でもあり希穂の顔にも見えるという不思議な体験をする。同じ人間がいくつもの<顔>を持っている。それは、一部の者だけが知っている世界だったのだが、未羽にはそれを見抜く力があった。
希穂たち以外にも、いくつもの<顔>をもっている人々が分かる未羽。様々な登場人物たちがうごめく中で、顔を見抜けて「絶対他者」を繋げてしまう未羽、顔を持つ人々、そして全く分からない人々との間に、摩擦が生じていく…

【神奈川公演】
会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
開催日時:2023年11月11日(土)~11月26日(日)

【京都公演】
会場:京都芸術劇場 春秋座
開催日時:2023年12月9日(土)、10日(日)

公式ホームページ『SHELL』

【衣装詳細】
ニット¥29,700ジャケット¥74,800パンツ¥48,400(ともにBEIGE,/オンワード樫山 お客様相談室 tel.0120-58-6300)イヤリング¥24,200リング¥30,800(ともにLana Swans/SUSU PRESS tel.03-6821-7739)シューズ スタイリスト私物

撮影/永峰拓也(SIGNO) ヘアメーク/八戸亜季子 スタイリング/二宮ちえ 取材・文/坂本結香 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)

Feature

Magazine

最新号 202406月号

4月26日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup