今井翼さん×塚本高史さんに聞く「素敵な大人になるために、アラサー世代でやるべきこと」

7月8日より全国公開の映画「TELL ME 〜hideと見た景色〜」。本作の中で、伝説的ロックバンドX JAPANのギタリストかつソロアーティストとして、時代を超えて支持されるロックのカリスマ“hideが遺した音楽を届けるために奮闘する主人公・松本裕士役を演じる今井翼さんと、hideの共同プロデューサーI.N.A.役を演じる塚本高史さんが、CLASSY.ONLINEに登場。作品の見どころと聞いた前回に続いて、今回はCLASSY.世代の先輩である2人に、「年齢との向き合い方」を教えてもらいました。

20代、30代を経て…年齢を重ねて見えてきたこと

―お2人がアラサー世代の頃は、

―お2人がアラサー世代の頃は、どんなことを考えていましたか? その世代を経て、何か変わったことはありますか?

塚本さん:ちょうど30歳くらいの頃は「20代ではないから勢いだけではダメだ」という責任感が芽生えた頃だと思います。でも、キャピキャピした気持ちや尖った自分を忘れたくはない、というもどかしさがありましたね。20代の頃って、何も怖くなかったし、不安がなかったと思うんですよ。でも、30代に入ると、自分自身は変わっていないつもりでも周りから向けられる視線が変わるんですよね。「ちょっとはしっかりしないといけないよな、でも変わりたくないな」と、漠然とした不安がありました。

今井さん:今年41歳になるんですけれど、30歳の頃と比べて変わったことといえば、色んなものがシンプルになってきたことかな。自分のスタイルみたいなものがようやく見つかってきて、例えばファッションにしても人との関わり方にしても、余計に考えすぎなくなったというか。30代って、欲望や現実、理想のはざまにありますよね。もちろん、人間生きていれば一生迷うことはあると思うんですけれど、40代になってシンプルになってきました。年齢だけが理由ではないけれど、その年代だからこそ迎えるべきターニングポイントが人それぞれにあって、それに直面することで自分自身が照らされていく気がします。20代や30代の頃って、何か問題と直面したときに自我の強さと問題の食い違う部分にぶつかってしまうと思うんですけれど、年齢を重ねてくるとそれがもうちょっとニュートラルになってくるというか。「この人はどう考えているんだろう?」「ここは自分が引いた方がいいのかな?」とか、他人を受け入れるキャパシティが広がってきましたね。

「自分の“好き”に突き進めばいい」アラサー世代へのアドバイス

―では、現在進行形でモヤモヤを抱えているアラサー世代に言葉をかけるとしたら、どんな言葉を選びますか?

今井さん:迷いなく自分が愛するものを大事にしていけばいい、ですかね。それを突き詰めていくことで、さっき言った通りいろんなことがシンプルになっていくんじゃないかと思います。

塚本さん:翼くんが言っていること、すごく分かります。シンプルになっていくというのは、いい意味で変に熱くならなくなることかもしれない。僕は周りからは「丸くなった」と言われることもあるんですけれど、それは自分のことを分かってくれる人をきちんと大事にすればいい、と思うようになったからかなって。20代、30代の頃は、「僕はこう思うんですよ!」とか「いや、ここはそうじゃなくてね」とか、自分に対して理解がないと感じた時にむやみに熱くなっていたけれど、今は他人の考え方を一回「うん」と聞けるようになったというか。だから、僕から30代の読者の方たちに言葉をかけるとしたら、好きな人や愛すること、信じるものを持ってきちんと大切にしていれば、40代になってもそれらが周りに残っているよ、と伝えたいですね。

好きなものがわからなくなったらー「成功よりも幸福を大事にしてほしい」

―「やらなきゃいけないこと」や

―「やらなきゃいけないこと」や「周囲から期待されること」に追いかけられて本当は何が好きなのかわからなくなってしまった時、どうやって自分の大切なものを見極めればいいのでしょうか?

塚本さん:思わず熱くなってしまうことや、時には本気で怒ってしまうこと、それについて考えるべきです。熱くなるのも怒るのも、きっと好きだからなんですよね。自分の体が自然と動くことって、それが好きだからだと思うんです。僕はその気持ちに正直に動いてきたと思っていて、だから40代を目前に控えた今、好きになれることやこれからも一緒にいたいと思える人たちが周りに残ってくれているんだと感じます。

今井さん:20代や30代っていいことだけじゃなくて、きっと挫折だったり、苦しい経験がある年代ですよね。僕も同じでした。でもそれが自分を成長させてくれたと思っています。きっと色んな職業の方が読者にいらっしゃると思うんですけれど、絶対に正解な人生って、ないんです。でも、経験は決して悪いことばっかりではなくて、例えば人の痛みを知ることができるきっかけになったりもします。苦しい経験があったとしても、カッコつけて言えばお酒のように熟成されて、その人にしかできない表現につながっていったらいいですよね。成功よりも幸福を大事にできたら、大切なものが見極められるんじゃないかな、と思います。

映画「TELL ME 〜hideと見た景色〜」
7月8日(金)全国ロードショー

1998年5月2日、日本を代表するロックミュージシャンhideが急逝。マネージャーを務めていた弟の松本裕士(ひろし)がhideの共同プロデューサーI.N.A.たちと共にhideが遺した音楽を世の中に届けるべく、様々な困難を乗り越えて奮闘する実話に基づいたストーリー。原作はhideの実弟・松本裕士著「兄弟 追憶のhide」(講談社文庫刊)、主人公の松本裕士役を今井翼さん、hideの共同プロデューサーI.N.A.役を塚本高史さんが演じている。劇中にはhideの愛車、愛用品や秘蔵映像が登場するほか、hide本人のヴォーカルが入ったライブ音源を使ったライブシーンも必見。

公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/tellme/

©2022「TELLME」製作委員会

[衣装詳細]
<今井さん>AKM
<塚本さん>シャツ¥26,400/Paul Smith(Paul Smith Limited tel.03-3478-5600)ジャケット¥46,200、スニーカー¥35,200/ともにATTACHMENT(Sakas PR tel.03-6447-2762)その他スタイリスト私物

撮影/村松巨規 ヘアメーク/中谷圭子〈AVGVST〉(今井さん)YASU(塚本さん) スタイリング/渡邊奈央〈Creative GUILD〉(今井さん)上井大輔(塚本さん) 取材・文/亀井友里子 構成/宮島彰子〈CLASSY.ONLINE編集室〉

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表紙モデル:山本美月

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