橋本愛さん(30)の人生とキャリア「あの時違う選択をしていれば、と思うこともあります」
朝ドラや大河ドラマをはじめ代表作多数、まさに国民的俳優の橋本愛さん。ミステリアスな役どころからコメディまで変幻自在な表現力で、13歳のデビュー以来第一線で活躍し続けています。今回は、30歳を迎えた橋本さんの取捨選択にフォーカスします。
似合わないけれど“可愛い”が好きだった私。
でも、持って生まれたこの体を祝福しよう!と
最近は“カッコいい”にシフト中
本来の自分と与える印象とのギャップに悩んだ時期も
最近、髪を切ったこともあり、自分の中で方向転換を試みています。これまではフェミニンな系統が好きだったのですが、マスキュリンやボーイッシュなテイストにシフト中。“可愛い”を捨てたわけではないのですが、一旦置いておいて“カッコいい”を選び取るようになったのは大きな変化です。自分の生まれ持った性質的に「カッコいい方が似合うだろうな」とずっと思ってはいたんです。でも反骨精神で、似合う方に行きたくない気持ちがあって。誰になんと言われようと、「ドリーミーでキラキラしていて、ときめくものが大好き」のスタンスを貫き、“似合わないけど好きなもの”を優先して約20年間生きてきました。その反骨精神を手放した今は、「生まれ持った自分の体を祝福しよう!」というマインドで、素直に自分の特性に合うものを模索しています。“可愛い”最優先だった頃は、与える印象と本来の自分が真逆すぎて、そのギャップの大きさに苦しんだ時期もありました。素の自分を出すと「イメージと違った」と思われたり、それが怖くなることも。今も誰かのイメージに当てはめようとは思っていなくて、あくまで自主的に「カッコいいに振り切ったらどうなんだろう」と面白がって試している感じです。実験的なトライアルを楽しんでいます。
後悔はあるけれど
過去の自分を否定はしたくない
人生やキャリアに対して、前提として「思い通りに進まなくてもいいや」の心構えでいるようにしています。心が弱いので自分の期待を裏切ったときに傷ついてしまうから、それを防ぐためにも、夢は叶わなくていいし、執着もしなくていい、とマインドセット。そのうえで、夢をたくさん持っておいて、一番上に一番無謀な夢を掲げています。そうすることでひとつひとつの夢の実現が積み重なってすべてがプロセスになり、不完全燃焼に陥ることもない、というのが私の持論。とはいえ、最近でも滅入ってしまうことや焦ることはあります。そんなときは「仕方ないしな」とか「取り返すしかないな」と思うように。振り返ると、高校生くらいの頃が仕事もプライベートも一番激動でした。いわゆる下積みがないまま、割とすぐに作品に恵まれたので、思考する間もなくやってくる現実に適応するだけで精一杯の日々。だから「あのとき、違う道を選択していれば」と思うことも多いです。大学進学もそのひとつ。早い段階で学校生活を終えたので、もっと勉強したかったし、いろんな人とコミュニケーションを取って、同世代のリアルを知りたかった。10代の頃に高校生役を演じながら、「高校生ってなんだろう?」と思っていたので(笑)、学生生活が楽しくなかったとしても経験したかったし、自分に足りない部分を実感するたびに、喪失感を覚えていました。後悔もありますが、当時の選択がそのときの最善だったことは間違いがないから、過去の自分を否定はしたくないな、とも思っています。
働くみなさんにとって
スパイス的な作品になって欲しい
映画『祝山』で共演した石川(恋)さんや久保田(紗友)さんは比較的年齢も近いので撮影中は、推しているアイドルの話で盛り上がっていました。ホラー作品ですが、現場はほのぼの&キャピキャピした雰囲気で楽しかったです。『CLASSY.』読者のみなさんの中にもホラー好きな方がいると思いますが、この作品が日常の刺激やスパイス的な存在になって欲しいし、ほんの少し切ない物語も盛り込まれているので、その部分も見どころとして期待してもらえるとうれしいです。
橋本 愛さんの〝取捨選択〟
【取】
ソファの位置も気になったら毎日動かす!
家で過ごす時間が満たされます
インテリアに凝り始めて、時間をかけて好きなテイストの家具を探しています。温かみのあるデザインが好みで、お気に入りはイサム・ノグチのAKARI。半月型のチャーミングな形に惹かれた照明です。今までは家具よりも服をリサーチする時間が多かったのですが、しばらく作品が続いていて、現場服はジャージが定番なので、服よりもおうちの空間をアップデートしたい欲が高まっています。空間に敏感で少しでも違和感があると落ち着かないタイプ。ソファの位置も「今日はここがいいな」と感じたら動かしたいので、その日の気分でフレキシブルにレイアウトを変えられる空間作りがマイルールです。インテリアにこだわり始めてからおうちで過ごす時間が満たされ、さらに家好きになっています。
【捨】
仕事の優先順位を上げすぎない。
睡眠、友達、旅…生活も疎かにしたくない
最近心掛けているのは、仕事の優先順位をあまり上げないこと。以前は仕事最優先で体調を崩すこともあったので、意識的に「人生も大事だぞ」と思い込むようにしています。仕事以外で優先順位が高いのは実はゲームかもしれません(笑)。が、割とアクティブなので旅に行ったり、友達と過ごす時間も確保します。これまでは寝る時間を削ってでも作品に向き合ってきましたが、今は睡眠も大事に。きちんと食べて、寝る。当たり前のことですが、心と体の健康のためにも日常の生活を疎かにせずにいたい。20代の頃にギリギリまで自分を追い込んだ経験をしたからこそ、選べたことだと思っています。
素の自分に戻れるのは
ハムスターのぽめと過ごす時間
妹が飼っていたハムスターを預かったことがきっかけで、今年私も迎え入れたハムスターのぽめ。これまでの人生で動物を育てたことがなかったので、「命を預かる責任を全うできるかな」と迷っていたのですが、「そこまで考えられるのは、愛情深い証拠だよ」と周りが背中を押してくれて、一大決心。自分が守らないといけない大事な存在がいることは日々の原動力にもなっています。ぽめと暮らし始めて、自分は意外と過保護なんだな、という新たな発見もありました。
橋本 愛さん/AI HASHIMOTO
1996年生まれ。熊本県出身。2009年に俳優デビュー。以来、数多くの映画、ドラマに出演。2013年には、映画『桐島、部活やめるってよ』などの演技が評価され、第86回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な代表作は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、大河ドラマ『西郷どん』、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』、『青天を衝け』、『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』、日本テレビ『家庭教師のトラコ』など。
INFORMATION
映画『祝山』(6月12日公開)
日本のホラー文学を牽引する小説家・加門七海の実体験に基づく禁忌の物語『祝山』(光文社文庫)が遂に映画化。スランプに陥っているホラー小説家・鹿角 南(橋本 愛)のもとに、中学の同級生・矢口朝子(石川 恋)から一通の不穏な手紙が届く。ネタ探し目的で矢口と再会したことで鹿角の周辺でも不可解な出来事が立て続けに起こる、“見えないもの”への恐怖と狂気のストーリー。
【衣装クレジット】ジャンプスーツ¥86,900腰に巻いたシャツブルゾン¥69,300シューズ¥75,900(すべてエイトン/エイトン 青山)中に着たトップス¥29,700(イロット/ザ・ウォール ショールーム)
撮影/伊藤 圭 ヘア/関根 恵 メイク/Yuka Washizu〈beauty direction〉 スタイリング/清水奈緒美 取材/坂本結香 編集/越知恭子、小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年7月号「私たちの取捨選択」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。
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