漢字を区切る位置を意識したことがありますか?「清少納言」と言えば、言わずと知れた、随筆『枕草子』の作者。高校時代の古典の授業を思い出す方も多いでしょう。この名前(というか呼称)は、一息で読めば問題ないのですが、学校では「せいしょう・なごん」と発音する生徒が多い。これは間違いです。「清」は彼女の実家「清原氏」。「少納言」は貴族の官職名(近親者に少納言の男性がいた場合にこう呼ばれることがあった)。だから「せい・しょうなごん」です。
普段、何気なく使っている日本語にもこの手の「区切る位置を間違いやすい熟語」とそれに伴う読み間違いがあります。特に、切る場所が違うと読み方も違ってくるものがありますから注意が必要です。
1.「間髪を入れず」
先日たまたま見ていたテレビドラマで、某女優さんが「かんぱつをいれず」ってはっきり発音されていました。えっ、どこが違うの? と思われる方も多いでしょう。
正しい読み方と切り方は、「かん・はつをいれず」です。「間」はすき間。間に髪の毛を入れるすき間もないということで、相手が何かをした時に、すばやくこちらからも何かをする時に使います。「間髪(かんぱつ)」という言葉はありません。なお、この言葉の出典となった中国の古典では、「容れず」と表記していますが、常用漢字表の読み方には示されていませんので、「入れず」と書いて問題はありません。
2.「綺羅星のごとく」
常用漢字外「綺」を含みますので、「きら星」または「キラ星」の表記もよく目にしますね。なんて読んでいますか?
正解は「きら・ほしのごとく」です。「きらぼしのごとく」ではありません。「綺羅」とは「美しい絹の衣服」のこと。着飾った人たちが立ち並ぶ様子を星にたとえているわけです。「綺羅星」という言葉自体は本来ないので、続けて「きらぼし」と読むのは間違いということになります。ただし、最近の辞書では、「綺羅星」を「誤用から」としたうえで見出し語として取り上げるようになってきています。言葉は生きもの。もとは誤用でも多くの人が使ううちにやがて認知されていくのはよくあることです。
3.「五里霧中」
学校の書き取りテストでは「五里夢中」というのが間違いの定番です。「無我夢中」と混同してしまうのですね。さて、切るとすれば、どこですか?
正解は「ごりむ・ちゅう」です。あれこれ迷って判断がつかない時に使うこの四字熟語ですが、「五里霧(=五里四方に立ち込める霧)」という霧の名前があり、そのために先が見えなくなったわけですから、「五里」と「霧中」では切れません。四字熟語は成り立ちが「2+2」とは限らないということです(「言語道・断」もそうです)。
最後に、漢字ではありませんが、「どこで切る」つながりのクイズを出題します。
「ヘリコプター」「キリマンジャロ」「カメハメハ」の3問。
正解は「ヘリコ・プター」「キリマ・ンジャロ」「カ・メハメハ」でした。では、今回はこの辺で。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「なぜなに日本語」(三省堂)」
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室
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