漢字自体は簡単なのに、なぜだか正しく読めない漢字ってありますよね。職場やビジネスの場で間違ったまま読んでしまって恥ずかしい思いをした経験がある人も少なくないはず。
そこで今回は、“周囲の人が読めるか試したくなる、読めそうで読めない漢字”をピックアップしました。いくつ読めるか、チェックしてくださいね。
1.「時偶」
頻度が低い意味を指す「時偶」。「時々」や「たまに」というときに使います。「時偶」を正しく読むポイントは、「偶」の読み方! 「偶」を使った漢字で「偶々(意味:時おり、偶然に)」という言葉がありますが、「時偶」の「偶」と「偶々」の「偶」は、同じ読み方をします。
では「時偶」の正しい読み方は……
「ときたま」です。ちなみに「偶」を一字で読むと「たまさか」。「めったになくてたまたま」という意味がありますよ。
2.「泡銭」
「泡」と書いて「あわ」と読むことから「あわぜに」と誤読してしまう人も多いでしょうが、そのように読んだら恥ずかしい思いをすることに……。「泡銭」とは「働かずに、苦労しないで得たお金」を意味する言葉です。
正しくは……
「あぶくぜに」と読みます。「泡のようにすぐに消えてしまうお金」ということから「泡」という漢字が使われているそうです。また、上記の意味に加えて「不正な方法で儲けたお金のこと」を「泡銭(あぶくぜに)」という場合もありますよ。
3.「前場」
「証券取引所の午前の取引」のことを「前場」と言います。株取引をしたことがある人なら、おそらく迷わず読めるでしょう。「場」は「ば」と読むにしても……迷うのが「前」の読み方ではないでしょうか。つい「まえば」と読んでしまいそうですが、そんな「前場」の正しい読み方は……
「ぜんば」です。ちなみに午後の取引は「後場(ごば)」と読みますよ。
4.「返戻」
「返す」「戻す」と書いて「返戻」。「返戻」とは、漢字のとおり「借りたものを返すこと」や「返却」を意味する言葉です。
「返戻」は、よく「返戻金」「借りた書類を返戻する」などといった使われ方をします。特にお金を扱う仕事に就いている人は業務上、何気なくこの漢字を目にしているはずです。
そんな「返戻」の正しい読み方は……
「へんれい」です。よく「戻る(もどる)」「戻す(もどす)」などと読まれることがありますが、「もど(る)」や「もど(す)」は「戻」の訓読みで、音読みは「れい」。音読みも忘れずに覚えておきましょう。
4つの漢字のうち、いくつ正しく読むことができましたか? 社会人として、ぜひ正しい読み方を意味と一緒に覚えておきましょうね。
参考文献
日本語倶楽部〔編〕『読めないと恥ずかしい漢字完全制覇本』河出書房新社
出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見文庫)
一校舎漢字研究会〔編〕『きっと誰かに教えたくなる読めるようで読めない漢字2500』永岡書店
日本語倶楽部〔編〕『読めたらスゴイ!漢字1000』河出書房新社
文/大内千明 画像/Shutterstock(Min C. Chiu、BlueSkyImage、Rawpixel.com、bbernard)