新型コロナで変わった世界の現状【海外生活中の駐在妻は見た!】

世界で感染拡大を続けている新型コロナウィルス。配偶者の仕事の都合で、世界各国に移り住んだ「駐在妻」たちは、このような状況の中どんな生活を送っているのでしょうか。アンケートを実施した、駐在妻65人のうち約6割の人は日本に戻り、約4割の人は駐在先に残っているようです。そこで今回は、【駐妻白書2020】の番外編として、駐在妻たちに起こった出来事や、現地に残っている方たちが目撃した世界の現状をご紹介していきます!

1.外出制限が続く「フランス」!罰金付きの外出禁止令の中身とは?

「日本の空港の検疫所が行列にな

「日本の空港の検疫所が行列になっているという情報を聞いた事と、14日間の隔離期間を考慮し、フランスに残ることに決めました。現在フランスは、外出禁止令が出ており、1日1回1時間の外出のみ許可されています。外出の際は許可書を携帯し、警察とすれ違う際に見せる必要があります。許可書を持っていない場合と、許可された内容以外の外出は、罰金の対象となります。最近はさらに厳しくなり、ジョギングなどの健康の為の外出さえ、10時から19時まで禁止に。外出禁止の苛立ちから、フランスでは家庭内暴力の増加がとても問題になっています」(フランス在住の駐在妻)

許可証がないと外出禁止という国も、ヨーロッパでは多いようです。以前はジョギングも許可されていたけど、現在は夜と早朝のみに限られているそう。外出禁止の苛立ちから家庭内暴力が社会問題になるというのは日本でも報道されているので他人事には思えません。

2.外出自粛要請中の「タイ」では、脱獄者が出るなど治安が悪化!

「バンコクは3月末から外出自粛

「バンコクは3月末から外出自粛要請が発令され、午後10時〜午前4時までは外出禁止となり、従わなかった場合には罰金もしくは禁固刑が科されます。新規のビザ発行はもちろん、国際線の着陸禁止や国境も閉鎖。学校や公園、商業施設も休業、公共交通機関ではマスクの着用が義務化されました。それに加えて、4/10〜4/20までアルコール類の販売が禁止に。スーパーでの買い物とテイクアウトやデリバリーは許可されているので、食に関しては不自由していません。また、タイ東北部の刑務所内でコロナ感染が広がっているとの噂が流れ、受刑者が多数脱獄しました。ひったくりや強盗などが増え、治安は悪化しています」(タイ在住の駐在妻)

一部のアジアの国でも、罰則付きの外出自粛要請が出されているようです。治安の悪化や受刑者の脱獄など心配なニュースもある中、アルコール類の提供ストップというのも驚きです。デリバリーやテイクアウト文化が根付いているということで、食に関して不自由していないというのは何よりです。

3.ロックダウン中の「アメリカ」NYで、夜7時に鳴り響く拍手の理由とは?

「NYが完全にロックダウンする

「NYが完全にロックダウンする前から夫は在宅勤務に。ロックダウンしてからは全員在宅勤務で、毎日オンライン会議しています。外に出るのは1週間に1度、スーパーに行くときだけです。午前中の人が少ない時間に行って、長居せず帰ってきて、手洗いうがいはもちろん、着ていた服は即洗濯、シャワーを浴びています。食品が入っていた袋やダンボールはすぐに廃棄。ニューヨークでは夜7時になるとみんながベランダに出て、こんな状況でも働いてくれているEssential Worker※の方たちへ拍手を送っています。ニューヨーク市民みんなで一丸となって戦っているんだなと思って心が温かくなりました」(アメリカ在住の駐在妻)

※Essential Worker…医療従事者やインフラ関係、警察、消防士など。生活を維持するのに必要不可欠な仕事をしている人たち。

ロックダウン後は全員在宅で仕事をしているというのも、在宅勤務という形態が日本よりも馴染みがあるからかもしれません。外出後のケアもかなり本格的なものが推奨されているようで、できる範囲で日本でも参考にしていきたいですね。

4.終息ムードの「香港」!人口密集都市ならではの悩みも…

「香港は娯楽での外出には制限が

「香港は娯楽での外出には制限があります。土地柄密集しやすいので、買い物時のソーシャルディスタンスは香港も保たれているとはいえず、スーパーに行く度ヒヤヒヤします。また香港は家の作り上、音が響きやすいので、引きこもるには逃げ場が無く辛いです。香港は早い段階から自主的に自粛ムードだったので、初期(第一波)の抑えこみは順調にいっていましたが、欧米からの帰国者による第二波で再び感染者が急増し、一時はどうなることかと思いました。現在、感染者数は1日1桁台までになりましたが、気の緩みによる第三波が懸念されています。長い戦いになると思うので、私も自粛疲れと向き合いながら、今の生活に順応していきたいです」(香港在住の駐在妻)

過去の経験もあり、感染症対策にかなり力を入れている香港。コロナの封じ込めは比較的うまくいっているようです。人口密度の高い場所柄、スーパーなどでのソーシャルディスタンスを保つのが難しいというのは、東京とも共通しているかもしれません。家で大半の時間を過ごさなくてはいけない時に、騒音に悩まされるのは辛いですね…お互い気持ちよくStay Homeしたいものです。

5.罰則付き外出制限中の「ドイツ」!差別が悪化している地域も⁉

「ドイツでは、生活必需品や個人

「ドイツでは、生活必需品や個人的な運動以外は外出制限が出されている状況です。店舗への入場制限や列の間隔を2m取ること、レジには飛沫防止のプラスチック板が設置されるなど…罰則もあるので、買い物に出てもきちんと管理されていて安心感はあります。出勤が必要な職種以外は在宅ワークが推奨され、荷物の配送、レストランのテイクアウトやデリバリーはOK。経営の厳しいローカルのレストランを助ける意味でも、週に数回レストランのテイクアウトをするのが、わが家の生活の楽しみになっています。もともと日本人の多い町なので、大きな差別もなく過ごしていますが、時々ドイツの他の町では怖い思いや嫌なことがあったとも聞いています…残念ですね」(ドイツ在住の駐在妻)

ドイツもフランスと同じように、罰則付きで外出を制限しているようです。飲食店が打撃を受けるのは世界共通で、週に何度かはテイクアウトをして応援するというのもぜひ真似したいアイデアですね。小さな町ではアジア人に対する差別があるようで、お住まいの方は心配な日々を過ごされているようです。

6.外国人が入国できなくなった「中国」…単身赴任を強いられる人が続出!

「中国では旧正月(2月上旬)の

「中国では旧正月(2月上旬)の長期休みがあり、夫と日本に一時帰国していましたが、コロナの影響で休暇が延長に。当時の中国は現在の日本のような状況でしたが、会社の指示があり夫はコロナ流行真っ只中の中国に戻ることに。他の会社で働く友人のご主人は日本に一時帰国して中国・日本の間でリモートワークしている中、夫が感染のリスクを負ってまで中国に戻ることはかなり衝撃でしたが、サラリーマンだから仕方ない。と自分に言い聞かせて見送りました。日本でコロナが蔓延してしまった今、私が中国に戻ることも出来なくなり、終わりの見えない単身赴任状態が続いています」(中国在住の駐在妻)

中国駐在の方のアンケートで多かったのがコロナの影響で、夫婦どちらかが残っている中国に戻ることが出来ず予想外に単身赴任を強いられているケース。とくにお子さんがいる家庭ではワンオペ育児が辛いという声も多数寄せられました。

7.その他にも…

「私の住んでいる街はアメリカでは一番に外出禁止令が出ました。バスがほぼ空で走行しています。また、強盗などから店を守るためにベニヤ板が貼られた店が目立つようになっています」(アメリカ在住の駐在妻)

「会社からの命令で強制帰国に。住んでいた地域では空港も封鎖され、完全にロックダウンしています」(セルビア共和国在住の駐在妻)

世界の駐在妻たちは、変化する生活の中にも楽しみを見つけて過ごしていた!

中には罰則付きの外出制限や治安の悪化を心配する声もある中、不自由な生活を強いられているのは世界のどこに居ても同じことのようです。今は家から出られないけれど、その中で楽しめることやストレス解消法を見つけていきたいという前向きな声が多かったです。筆者自身も駐在妻の一人として、終わりの見えない単身赴任生活を過ごしています。この状況が少しでも早く収束することを願って、家での時間を充実させていきたいですね。

文・写真/山水 由里絵(やまみ

文・写真/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に駐在員の夫に帯同し中国へ引っ越し。気づけば駐在生活も4年目に突入。現在は旅行関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで随筆をスタート。
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