堀田茜さん「間違ったことを言うのが怖い」→村上フレンツェル玲さん「それは日本の『論破』風潮のせい」【大人のモヤモヤ対談】

堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載10回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!

合っているのか、どう思われるのか…政治に関しては意見を何も言えません

今回のゲストは...村上フレンツェル玲さん

【今月の茜のモヤモヤ案件】 大

【今月の茜のモヤモヤ案件】
大人になってから政治的なことも自分ごととして考えられるようになったけど、知識のなさゆえ声を上げるのは不安で、嘆くことしかできません。社会問題をきちんと考え、行動にうつしたりしたいけど何から始めたらいいかもわからない。選挙に行く以外で、私たちにできることは何ですか?

「こういう社会問題がある」と認識していることを話すだけでも十分(村上)

茜:間違ったことを言うのが怖いんですよ。自分が考えていることや自分が持っている意見は正しいのか。自分が見えていない側面があるんじゃないか。確信を持って言えないといけないだろうなと思ってしまって。私、普段考えている何気ないことをSNSに投稿するのも不安になってしまう性格で。

村上:これも日本の「論破」風潮のせいだと思います。いろんな立場の人が違う意見を持ち、答えはひとつじゃないとわかった上でディスカッションをしていくことが大事なんですけど、日本はどうしても「こうあるべきだ」とひとつの答えにしようとしてしまう。自分と違う意見や間違った意見を攻撃して論破することがすごいことのようになっているのは大きな問題だなと思います。それと、問題意識を持っていると言ったときに「じゃああなたの意見は何なの?」とすぐ問われるのも私は良くないと思っていて。自分の中で結論が出ていなくても「こういう社会問題がある」と話すだけでも十分なんですよ。その認識がある人がたくさんいるだけで社会にとってはいいことで、大きな問題が起きたときにひとつの力になると思うんです。その感覚が受け入れられる世の中になると、日本でも議論しやすくなるかもしれませんね。

茜:そうなってほしいです。村上さんはどういう立場で社会問題を気にされることが多いですか?

村上:さっきも少し話しましたが、あらゆる社会問題の当事者が政界にいないので、いろんなバックグラウンドの人の意見が届くようにしたいとは常々思っています。人の生活の悩みや不満を聞いていると、それって政策提言になるのにと思うことが多いんですよ。「このレベルで?」って驚かれるんですけど、本当にそのくらい、一生活者の悩みが政界に届いていないんですね。こういうものだとあきらめている生活の不満も、実は政治責任だったりします。生活をするということは政治に関わっていることと同じだったんだと驚かれることもよくあるのですが、その事実にも気づいてもらいたいです。

茜:生活の悩みが政治責任というのは考えたことがなかったです。

村上:今芸能界も色々と騒がしいですよね。どんな業界でもその業界なりのグレーな問題と直面することがあるかと思いますが、そういうことも法整備が行き届いていない政治責任ということになるので…。

茜:言われてみればたしかに…。声を上げてもっと仕事がしやすい環境が手に入る可能性があるのかと思うと、モヤモヤ考えて終わらせずに社会課題としてきちんと向き合いたいと思えます。たくさんのニュースも自分ごととして見られそう。

村上:何もかも自分の生活に直結しているとわかれば、難しく考えなくていいと気づけますよね。政治の話をするなら支持政党がなければいけないというわけでもありません。気になった人や団体がいたらまず応援するところからはじめてみてください。きっとそこから変わってくると思いますよ。

茜:おっしゃる通り、勝手に難しく考えすぎていた気がします。まずは推し探し(笑)からやっていきたいと思います。ありがとうございました!

\茜の取材ノート/

「日常に政治責任になる出来事は

「日常に政治責任になる出来事はある」と言っていらしたのが印象的でした。生活の中で不自由を感じたとき、それは私たちに変えられる可能性があるんだと思考の転換ができたら、もっと社会問題が身近に感じられるんだろうなと思いました。村上さんみたいに女性と政治を結ぶ存在の方がいることで私みたいな政治素人も関心を持てるのだなと気づくことができたのも大きな発見。今後また政治的ニュースを聞いたときにも難しい話だと思考停止せず、自分ごととして認識したいです。

一般財団法人 村上財団 代表理事/村上フレンツェル玲さん
1994年生まれ。慶應義塾大学卒業後、三菱商事に勤務。その後INSEADにて経営学修士を取得。現在はハーバード大学公共政策大学院 エグゼクティブ養成講座に在籍しながら現職。日本のジェンダーギャップに強い危機感を持ち、政治家を志す10〜30代の女性を支援する「パブリックリーダー塾」を立ち上げる。

【茜】ジレ¥24,200(Stola./ストラ)トップス¥14,300(スローン × デミルクス ビームス/デミルクス ビームス新宿)
※村上フレンツェル玲さんの衣装は私物です。CHANELブティックへのお問合せはご遠慮ください。

撮影/杉本大希 スタイリング/阿部絵莉香 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

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表紙モデル:山本美月

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