【漢字】「五月雨=さみだれ」以外の読み方知ってる?実は意外に読めない漢字3選

先週は、関東甲信地方も「梅雨入り(したと見られる)」との発表がありました。これからしばらくはスッキリしない天気が続くと思われますが、大雨の備えだけは十分に行ったうえで、ちらほら咲き始めた「紫陽花(あじさい)」を愛でるなど、この「雨」の季節を楽しむことにしましょう。そんなわけで、今回は「雨」を含む、読み方が難しい漢字を集めてみました。

1.「五月雨」

やはり最初の問題は、「五月雨」

やはり最初の問題は、「五月雨」から。何と読むか分かりますか?

正解ですが、一般的に言うと「さみだれ」になります。しかし、「さつきあめ」という読み方もけっして間違いではありません。旧暦の五月は、現在のカレンダーで言えば、六月から七月ごろにあたります。この頃に降り続く長雨が「五月雨」ですから、そう、「梅雨(つゆ)」のことです。この「さみだれ」の「さ」は、旧暦五月を表す「さつき(皐月)」の「さ」、「みだれ」は「水垂れ」ですね。古語では「五月雨(さみだ)る」と動詞としても使われました。「五月雨(さみだれ)」はその名詞形です。
ところで、職場などで、たとえば上司の方が「五月雨式(さみだれしき)」という言葉を使うのを聞いたことがありませんか。「断続的に何度か行うこと」の意味ですが、降ったり止んだりしながら、しとしと降り続くこの雨の降り方に由来した言葉です。

2.「驟雨」

次は、「驟雨」です。「驟」は常

次は、「驟雨」です。「驟」は常用漢字外となりますが、何と読みますか?

正解は「驟雨(シュウウ)」でした。「驟」は「馬偏(うまへん)」の漢字ですので、「馬が速く走る」ことを表しますが、ここから「突然・急に」の意味も持ちます。したがって、「驟雨」とは、「突然降り出す雨」、つまり「にわか雨」のことです。
ちなみに、「にわか雨」は漢字で表記すると、これも常用漢字外ですが、「俄雨」となります。また、「村雨(むらさめ)」という言葉もありますが、これも「驟雨」「俄雨」とほぼ同じタイプの雨です。

3.「小糠雨」

最後は、今回一番の難読語「小糠

最後は、今回一番の難読語「小糠雨」です。こちらも「糠」が常用漢字外ですが、何と読みますか?

正解は「こぬかあめ」でした。「糠」とは「玄米などを精白する際に、果皮・胚芽(ハイガ)などが砕けて粉状になったもの」です。漬物(つけもの)や肥料・飼料などにも使いますね。ことわざでも「糠に釘(ぬかにくぎ)=いくら努力しても手ごたえや効き目のないことのたとえ」というのがあります。
この「糠」のことですから、「ごく細かい」わけです。さらに「小(こ)」がついて「量が少ない・わずか」の意味を重ねます。ですから、「小糠雨(こぬかあめ)」とは、「霧雨(きりさめ)」と同じく「きわめて細かい雨」のことを言います。
昭和の時代の歌謡曲に、「雨の御堂筋(みどうすじ)」というのがありました。この歌の歌い出しが、「〽小糠雨降る御堂筋~」でしたが、当時小学生の私は、意味もわからずテレビの前で歌っていました。

梅雨入りに関する「雨」の漢字はいかがでしたか? では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源」(角川書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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