【漢字】「牝馬=かば」は間違い!意外と読めない、競馬にまつわる漢字3選

2021年末の競馬のドリームレース「有馬記念」はいかがでしたか?普段、競馬をやらなくても、「有馬記念」だけは、馬券(正式には「勝馬<かちうま>投票券」と言います)を購入するという人もいらっしゃるのではないでしょうか。ところで、この「競馬」にも、いわゆる専門用語があります。普段から競馬を楽しむ人には問題なく読める言葉であっても、そうでない人には意外と読めないものです。数十年来の競馬ファンであるライターが、この「競馬難読語」とも呼べる言葉を紹介していきます

1.「牝馬」

最初は、「牝馬」です。「牝」は

最初は、「牝馬」です。「牝」は常用漢字外ですが、さて、何と読みますか?これが読めなくても、「雌(めす)」の性別を表わす言葉であることはお分かりだと思いますが、もちろん「カバ」ではありませんよ。

正解は「ヒンバ」でした。2021年の競馬界では、「クロノジェネシス」「ラブズオンリーユー」「グランアレグリア」などの「牝馬」が大活躍して、競馬を盛り上げました。5月に東京競馬場で行われる3歳牝馬の最高峰レースは「オークス」という副称のほうが広く浸透していますが、「優駿牝馬(ユウシュンヒンバ)」が正式名称のレースです。
なお、この「牝馬」に対する言葉で、「雄(おす)」を表わす言葉が「牡馬」が「ボバ」です。こちらの「牡」も常用漢字外ですので、競馬難読語に入ると思います。先ほど紹介した「オークス」に対するレースが広く知られた「ダービー」ですが、こちらも「東京優駿(トウキョウユシュン)」と呼ぶのが正式名称であることを知っていましたか?

2.「稍重」

次は、「稍重」です。「昨日の雨

次は、「稍重」です。「昨日の雨の影響で、今日のレースは稍重で行われた」などと使います。さて、何と読みますか?

「ショウジュウ」と読む人がいるのではないかと思いますが、正解は「ややおも」でした。「稍」という漢字も常用漢字外ですが、「いくらか・少し」という意味を持つ漢字です。したがって、「レースの行なわれる馬場が水分を含んで(濡れて)いて少し重い」ということを表わします。ちなみに、現在の日本の競馬では、馬場の状態を「良(リョウ)<稍重(ややおも)<重(おも)<不良(フリョウ)」の4種類で表し、右に行くほど含水量が多くなります。馬によっては、この馬場の得意と不得意があり、レースに大きな影響を及ぼすことがあります。

3.「厩舎」

最後は「厩舎」です。この「厩」

最後は「厩舎」です。この「厩」も常用漢字外です。競走馬を所有する馬主から馬を預かり、レースに出るための調教や管理を行う所のことです。さて、何と読みますか?「ガイシャ」と読んだ人はいませんか?

正解は「キュウシャ」でした。この漢字「厩」は、音読みでは「キュウ」と読みますが、訓読みでは「うまや」と読むように、「馬を飼っておく場所」、つまり「馬小屋」のことです。この「厩舎」や、ここで馬の世話をする人を指す「厩務員」以外は、現在はあまり使うことがない漢字ですが、「馬」の飼育に縁(ゆかり)のある地方では、全国各地の地名にそれが残っています。ところで、この「厩」と似ていて間違いやすい漢字に、「厠」と「厨」があります。「厠」は「かわや」と読み、「川屋(もと川の上に作られた)」であることから「トイレ」のこと。「厨」は「くりや」と読み、「黒屋(火を使うので黒くなった)」であることから「台所」のことをそれぞれ表します。いずれも「常用漢字外ですが、特に「厨房」などは通常も使う言葉だと思いますので、覚えておきましょう。

今回の「競馬編」はいかがでしたか? 競馬に限らず、直接携わる方やファンには普通に読める言葉であっても、そうでない皆さんには読めない言葉ってあるものですよね。では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「競馬語辞典」(誠文堂新光社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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