「43歳、キラキラ男子と友達になる」Over40こじらせ男子の婚活奮闘記【第10回】

連続ドラマの原作となった小説『サバイバル・ウエディング』の著者が、婚活してみたら…。Over40こじらせ男子の奮闘記をお届けします。

「43歳、キラキラ男子と友達になる」Over40こじらせ男子の婚活奮闘記【第10回】

キラキラ男子と友達になりました☆

43歳にもなると未婚の友人がいなくなります。Tシャツを作って、路上で販売していた友人ですら結婚していきました。
一緒に遊ぶ友達がいなくなると、毎日同じような行動パターンになってしまうんですね…。年齢を重ねたせいもありますが、出会いの場所に行くのが面倒だし、無理して一人で行くとものすごくテンションが下がります。一気に老け込んでいきます。こうして僕は43歳にして「友達がいない」という小学生のような悩みに直面することになったのです。
願わくばアクティブで、女友達が途切れないキラキラした人と友達になりたいです。そんなことを考えてたら、あったんです。キラキラ男子との出会いが!最近太ってきたので、運動でもしようとバスケをしたのですが、そこに陽キャのオーラをまとった、EXILE系とジャニーズ系をいいところどりしたようなイケメンがいたのです。もちろん年下です。
バスケの合間、腰に湿布を貼った僕はドキドキしながら、最新のスポーツウェアに身を固めるT君に話しかけます。
「T君って、休みの日は何やってんの?」
「渋谷にあるアディダスでフットサルしてます☆」
いまっぽい‼そのとき、心の中の悪い僕は思いました「こいつは使えるかもしれない」と。同じことを聞かれ、僕が「在宅勤務なんで、よくカフェで仕事してる」と答えると、「この近くだと、エスプレッソDか、ドットか、Mハウスですか☆」と聞いてもいないのに、おしゃれなカフェを並べてきます。
いい!T君すごくいい!本当はスタバとドトールをローテーションしているのですが、「まあ、そこもたまにいくかな」と、つい見栄を張ってしまいます。家を聞けば「代官山の〇〇です☆」とタワーマンションの名前をあげてきます。「今度、恵比寿あたりでパーソナルジムを開こうと思ってんすよ☆」僕の予想を超えるキラキラ度です。どんだけ、いまっぽいんだ!
フレンドリーなT君は「コウスケさん、今度サクメシでもいきましょうよ☆」と誘ってくれます。こういうところも、キラキラ男子のよいところです!しかもです。普通なら、そういうときって「水曜日と木曜日はどうですか?」みたいに誘うじゃないですか。でも、キラキラ男子のT君は違います。「これが僕の来週の予定です」と頼んでもいなのに自分のスケジュールを送ってきます。
・水曜夜はフットサル&サウナ
・木曜夜はヘッドスパで、ワンチャンお姉ちゃんとその後ご飯狙ってるので(笑)
誌面に書けないのが残念ですが、このメッセージには絵文字がふんだんに使われています。
僕は君のような逸材を待っていたよ。この年になると、出会いとかないからね。そのワンチャンのお姉ちゃんに誰か連れてきてもらって、このおじさんをどんどん合コンとか合コンとか合コンに誘いだしてくださいよ。(※昭和生まれの僕はあえて「飲み会」でなく「合コン」と書きます)僕の心の中は歓喜につつまれます。やった!やった!
そして数日後、T君の行きつけの「しゃぶしゃぶ屋」へ食事に行きました(※この店は野菜が食べ放題なので、意識の高いT君は、週2で通っているそうです)。「ちなみに仕事は何してんの?」気になっていたことをT君に聞くと、ここから話は変わっていきます…。
「会社を経営してます。年商3億です☆」3億…。自分の醜態を晒し、光文社から日銭を稼ぐ僕は、なんだか恥ずかしくなります。「だいぶ稼いだんで、次は、人に役立つ仕事がしたいから、フィットネス店をやるんですよ。ほら、トレーナーって一日中、力仕事してるんで、働きやすい環境を作りたくて」「あと、身近な人を幸せにしたいと思って、家族を年に一回旅行に連れていっているんです」月に2回、親に掃除と洗濯をしてもらっている僕は、言葉を失います。「それでいつかは母校で講演するのが夢なんです」弱冠32歳のT君はとてもしっかりしていたのです…。返す言葉を失った僕は体が固まりました、同時にしゃぶしゃぶの肉も固くなりました。

この記事を書いたのは「大橋弘祐」

大橋弘祐(おおはしこうすけ)
撮影/小田駿一

大橋弘祐(おおはしこうすけ)
作家、編集者。 立教大学理学部卒業後、大手通信会社を経て現職に転身。初小説『サバイバル・ウェディング』が連続ドラマ化。
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』はシリーズ40万部を超えるベストセラーに。

撮影/小田駿一

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