婚活の末結婚を決めた彼が、結婚したばかりの夫が、急に海外転勤になったら…あなたならどうしますか?サラリーマンである以上、辞令は急にやってきます。今の時代珍しいことではなくなりつつある海外転勤。それに帯同して海外に移り住んだ奥様達を世間では『駐妻(ちゅうづま)』なんて呼ぶらしい。実は、筆者自身も新婚早々夫に帯同して海外へ引っ越した、いわゆるアラサー「駐妻」の一人です。
【駐妻白書2020】では、世界各国に住む駐在員の奥様72名にアンケートを実施!すでに駐在している方や駐在予定の方はもちろん、未知の世界をちょっと覗き見してみたい!なんて方にも分かりやすく、謎のベールに包まれた「駐妻」の生活や実情、リアルな声をお届けしていきます。
最終回では、駐妻生活から学んだことについてご紹介。価値観の変化や人間関係に関するヒントが見つかるかも!?最後に、これから駐在する予定の方に向けたアドバイスもご紹介していますので、プレ駐妻の方はぜひチェックしてみてくださいね。
駐在妻として生活する中で何を学びましたか?
72名の駐在妻へのアンケートの最後に、「もし何か学んだことがあれば記入してください」という形式で質問した内容でしたが、日本の社会でも共通する部分や、今後駐在する方の参考になりそうな内容が多かったため今回シェアすることにしました。
駐妻生活から学んだこと①価値観や考え方が変わった
「○歳までに結婚して、子どもを作るかや、学歴などに関する偏った考えは持つ必要はない」(20代/アメリカ在住)
「自分の置かれた環境を受け入れて、毎日楽しむ努力をする事の重要さ」(20代/タイ在住)
「色んな人がいる。考え方も主張も宗教も違うので一概にこれが正解、というものはないということ」(30代/アメリカ在住)
「日本にいた頃の、他の人とくらべて悩んだりした自分から解放された」(30代/イギリス在住)
「何事もほどほどで満足できるようになった」(30代/アメリカ在住)
内容は様々ですが、『価値観が変わった』『考え方が変わった』という回答されている方が圧倒的に多かったです。キャリアや日本での生活と距離を置き、海外に引っ越しをするというイレギュラーな経験から、今までの価値観が大幅に変わるきっかけになったという方が多くいらっしゃるようです。
駐妻生活から学んだこと②日本について改めて考えるきっかけに
「自分が見ていた世界だけが全てではないということ。思ったよりも異国の方々は親切で、日本にくらべても生きやすい」(20代/アメリカ在住)
「”郷に入れば郷に従え”何もかも拒否するわけでなく、その国のよさや食事、習慣などを理解する。海外に住むことによって日本を客観的に見ることができ、改めて日本のよいところ、悪いところが発見できた」(50代/中国在住)
「日本は恵まれていて、すごく住みやすい国だということ」(20代/セルビア共和国在住)
「海外で生活すると日本の風潮、文化を客観的に見ることができる」(30代/イギリス在住)
日本のよさはもちろん、悪い面も含めて、日本の文化を客観的に見ることができたという声もたくさん集まりました。筆者も、現地での生活を通して日本のよさを痛感する機会も多い反面、日本でもこんなことを取り入れられたらいいなと思うことも多くありました。
駐妻生活から学んだこと③人間関係について
「会社によってお給料や福利厚生も違うので、他人とくらべないこと」(30代/中国在住)
「人間関係は多くを語らず、適度な距離感」(30代/香港在住)
「駐在したことで今まで出会えなかった、年齢を越えた様々な人に出会い、現在も繋がっていられることに感謝しています。海外に出ている日本人同士、繋がりも深く協力し合うことができます。何かトラブルがあったとしても、自分で解決する力が備わると感じています」(40代/中国在住)
日本社会でも共通している点も多いようです。他人とくらべない、適度な距離感を保つことって意外と忘れがちですよね!現地での駐妻コミュニティは日本社会の縮図とも言えます。海外国内問わず、人間関係においては応用できる点が多くありそうです。また、駐在先での生活を通して今まで出会う機会のなかった人たちと知り合うことができたというのは、駐妻コミュニティならではのポジティブな面かもしれません。
駐妻生活から学んだこと④その他
「母国以外で生活するということはとても大変なことです。私も日本にいるときは、他国から来ている方の力になりたい、親切にしたいと思うようになりました」(30代/中国在住)
「私の場合、駐妻というよりは留学生のように現地の人とコミュニケーションをとりたかったので、語学をとくに学ぶことができました!世界で起こっているニュースも、身近なことに感じられるようになったと思います」(20代/フランス在住)
「現地の人に対しては期待をしない、諦めること」(20代/インド在住)
これから駐在妻になる方へのアドバイスも!
「まずは、勉強道具は必ず日本で確保してから渡航したほうがいい。現地で調達しようとすると、結局ネットで注文することになり輸送費も時間もかかる。そして、自分の貯金をできるだけしてから渡航した方がいい。旦那さんに頼ればいい、と考えていると専業主婦になった時に好きなことがやりにくくなる」(20代/イスラエル在住)
「時間が限られている海外生活なので、せっかくなら引きこもらずに楽しんだ方がいい!と1年目の自分に教えてあげたいです」(30代/アメリカ在住)
「現地の生活に積極的に触れた方が新たな発見があったり、価値観が変わったり、楽しい生活が送れると思います」(30代/タイ在住)
華やかに見える駐妻生活の裏には様々な苦労や葛藤が
最終回では駐在生活を通して学んだことについて調査しました。海外生活を通しての学びがや気づき以外に、海外の日本人コミュニティを通じて、人間関係や日本社会について考える機会も多くあります。華やかに見られがちな駐妻生活ですが、今までの連載を通しても分かったように、実は様々な苦労や葛藤があるようです。そして意外かもしれませんが、地に足をつけて生活をしている方が圧倒的に多いように感じました。
最後に…
今まで駐妻をうたった企画では、どうしてもネガティブな部分や脚色された華やかな部分ばかりがピックアップされがちで、筆者自身が駐妻記事を積極的に見ることはありませんでした。そんな経緯もあり、しっかりと事実を伝えることに焦点を当てた記事にしました。ネガティブなことやゴシップだけでなく、ポジティブなことやリアルな生活についてしっかりと伝えたい、という思いでの12回分の連載。駐在妻のリアルな生活や悩み、現状などが少しでも伝わっていれば嬉しいです!
今まで多くの方にご覧いただき、ありがとうございました!アンケートにご協力いただいた72名の駐在妻の方々にも、改めて感謝申し上げます。
今までの【駐妻白書2020】も、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね!
文・写真/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に駐在員の夫に帯同し中国へ引っ越し。気づけば駐在生活も4年目に突入。現在は旅行関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで随筆をスタート。
Instagram:@yuuurie_1211
Blog:Travel in Style~海外在住トラベルライターの旅Blog~