セレブ?海外かぶれ?駐在妻が抱える人間関係の悩み|日本の友人編【駐妻白書2020】

婚活の末結婚を決めた彼が、結婚したばかりの夫が、急に海外転勤になったら…あなたならどうしますか?サラリーマンである以上、辞令は急にやってきます。今の時代珍しいことではなくなりつつある海外転勤。それに帯同して海外に移り住んだ奥様達を世間では『駐妻(ちゅうづま)』なんて呼ぶらしい。実は、筆者自身も新婚早々 夫に帯同して海外へ引っ越した、いわゆるアラサー「駐妻」の一人です。

【駐妻白書2020】では、世界各国に住む駐在員の奥様72名にアンケートを実施!すでに駐在している方や駐在予定の方はもちろん、未知の世界をちょっと覗き見してみたい!なんて方にも分かりやすく、謎のベールに包まれた「駐妻」の生活や実情、リアルな声をお届けしていきます。

第八弾の今回は、駐妻の人間関係【日本の友人編】について。海外転勤がきっかけで、日本に住む友人との関係性にどんな変化があったのかご紹介していきます。もしかしたら、身近にいる駐妻友達の気持ちが分かるかも!?ぜひ想像しながら読んでみてくださいね!

駐在妻の人間関係アンケート①1年間に何回一時帰国しますか?

3回以上と答えた方のほとんどが

3回以上と答えた方のほとんどがアジア圏在住で、アメリカやヨーロッパ在住の方はほとんどが1、2回という結果に。距離の近さと一時帰国の回数は比例するようです。

駐在妻の人間関係アンケート②日本の友達との関係は変わりましたか?

『はい』と回答したのが23.6

『はい』と回答したのが23.6%に対して、76.4%の半分以上の方が『いいえ』と回答しています。

『はい』と回答した方が感じた具体的な変化とは?

「短い期間しか日本に帰らないので、本当に会いたい人にだけ会うようになった」(30代/香港在住)
「自分にとってマイナスな影響をもたらしていた友人とは、きっぱりお付き合いを絶ってきた」(20代/イスラエル在住)
「LINEも使わなくなり、連絡を取ることが減った」(30代/中国在住)
「赴任先の友達がメインになり、日本の友達とは疎遠になった」(30代/ドイツ在住)
「連絡をとらなくなった、駐在中の話をしづらくなった」(30代/台湾在住)

ポジティブな変化があった方も!

「前より連絡を頻繁に取り合うようになった」(20代/タイ在住)
「頻繁に会えなくはなりましたが、定期的に連絡をとってお互いの近況報告をしあったりしています」(30代/アメリカ在住)

時差がある場合や、今までお互い働いていたのに今は自分だけ専業主婦をしている。など…環境の変化があると、連絡する頻度が減ってしまうのも納得です。また、頻繁に会えないからこそ、連絡をとる頻度が増えたというポジティブな変化もあったようです。

駐在妻の人間関係アンケート③日本の友達の発言で困ったことや嫌だった経験はありますか?

52.8%の方が、日本の友人か

52.8%の方が、日本の友人からの発言で困ったことや嫌だった経験があると回答。47.2%の方は特にそういった経験がないことがわかりました。

駐在妻の人間関係アンケート④日本の友達から言われて困ったこと、聞かれて嫌だったことは?

具体的にどんな内容があったのか

具体的にどんな内容があったのか、エピソードをご紹介していきます!

一番多かった回答は…【現地で何してるの?暇じゃない?】

「優雅な生活で羨ましい!毎日ひ

「優雅な生活で羨ましい!毎日ひまじゃない?何してるの?と聞かれるのがとても嫌でした」(20代/フランス在住)
「平日仕事せずに何してるの?」(20代/中国在住)
「普段何してるの?暇じゃない?」(20代/マレーシア在住)

今まで日本で働いていた場合、引っ越しをきっかけに確かに時間は増えますが、見ず知らずの国で生活の基盤を作っていくのは、想像を絶する大仕事!筆者自身も今でこそ慣れましたが、赴任当初は同じことを聞かれる度、ストレスに感じてしまっていたのを思い出します。

二番目に多かった回答は…【現地の言葉を喋れるようになった?】

「英語喋れるようになった?」(

「英語喋れるようになった?」(20代/インド在住)
「ただ住むだけで英語が習得できると思われている。住むだけでは話せません」(30代/アメリカ在住)
「英語ペラペラになるね!これめちゃくちゃストレスです」(30代/アメリカ在住)

語学に関する回答も、多数集まりました。「語学留学に行ったわけではないので、喋れるようになって当たり前と思わないで欲しい」そんな声も実際によく耳にします。

同率で二番目に多かった回答は…【楽しそうでいいね!優雅でいいね!など回答に困るコメント】

「嫌ではなかったが、アメリカで

「嫌ではなかったが、アメリカでの生活なんて羨ましい!と言われることが多いが、実際はそんなに華やかなものではなく大変なことも多いのに、、と感じる」(30代/アメリカ在住)
「毎日楽しそうで良いね。インスタは思い出を載せているのでそれだけ見ると楽しそうに見えるかもしれませんが、大変なこと我慢していることもその分多くあるのになーと心の中で思っています」(30代/アメリカ在住)
「駐妻のイメージで括られる感じが嫌。”優雅だね、いいなぁ”といった言葉に敏感になってしまう。言われて、というより、変にマウントに受け取られないように自分が慎重になって、疲れる部分がある」(30代/香港在住)

SNSが身近にある今の時代、キラキラした部分ばかりがフォーカスされがち。実際には山ほど苦労もありますが、ネガティブな内容を載せたって誰の為にもならないと思い、ポジティブな楽しい内容をあげたら、「優雅でいいね」って…「SNSやめた方がいいのかな?」なんて、悩んだことがある方も多いのではないでしょうか?

駐在妻に限ったことではありませんが、使い方次第で吉とも凶とも出るSNSの活用法の難しさを感じている方が多いようです。

三番目に多かった回答は…【駐在する国に対する悪口や偏見】

「住んでいる国に対する偏見が多

「住んでいる国に対する偏見が多いのが嫌です」(30代/中国在住)
「イメージだけで赴任地の悪口を言われた」(30代/中国在住)
「自分の住んでいる国の悪い面ばかりを言われたり、日本での悪いニュースばかり言ってきたりする」(30代/中国在住)
「中国には絶対に行きたくない!」(40代/中国在住)

中国在住者からの回答が、多数ありました。中国に限らず、アメリカやヨーロッパや他のアジア在住の方も、実際に住んでみてイメージが変わったという声はよく耳にします。

筆者自身も中国在住なので、同じような経験は頻繁にありますが、確かに大変なこともあるけれど、日本のテレビなどで報道されている非常識な人は一部であって、全員ではありません。むしろ、驚くほど親切な方が多いとと感じました。困っていると声をかけてくれたり、言葉が伝わらない時は理解しようと努力してくれたり、仲良くなると申し訳ない程サービスしてくれたり…全員ではありませんが、こちらが心を開けばどこまでも親切な方が多く、いい意味で驚きました。

四番目に多かった回答は…【セレブな暮らしでいいね!など金銭面に関すること】

「SNSにて、近隣の海外旅行の

「SNSにて、近隣の海外旅行の写真を何カ国かのせたところ(近い国は本当に安く行けるんです)”セレブ全開だね。”と友人からメッセージが来てしまいました。それから学生時代の友人がいるSNSの投稿は控えるようにしています」(20代/イスラエル在住)
「セレブでいいよねー(実際全然セレブじゃない)。お給料どれくらい増えるの?リモートワークしてるの知らない子からは、専業主婦暇でしょ?」(30代/中国在住)
「セレブ生活じゃん!旦那さん給料たくさんもらっているんでしょう!専業主婦いいな〜と言われたこと。私がフルで働いていた共働き時代のほうが世帯収入は多く、海外赴任しても別にセレブになることはない。加えて仕事を辞めたくなかったのに、主婦いいな〜と言われても、なにも良くない。実情もよく知らないのにイメージだけ先行して話をされて、話が通じないと感じ、疎遠に」(30代/中国在住)

駐妻=セレブというのは、限られた企業、もしくは一昔前の話…次回の第九弾で取り上げる予定ですが、駐妻に対する世の中のイメージと現実の差が原因なのではないでしょうか。

その他にも…

「海外に住んでいると海外っぽい性格になっちゃうよね」(40代/中国在住)
「海外かぶれにならないでね」(20代/中国在住)
「遊んで暮らせていいな」(30代/ベトナム在住)

海外に住んでいて多少たくましくなることはあっても、本質的な性格は変わりませんよね…また、遊んで暮らしていると思われていてモヤモヤするという話も、たまに耳にします。知らない国に配偶者の会社都合で引っ越しすることは、”遊び”ではなく大きな決断であり、大仕事です!筆者自身も実際に経験してみて、改めて感じました。

駐妻に対する世間のイメージと実態の格差が浮き彫りに…

『駐妻白書2020』第八弾では、駐妻の人間関係【日本の友人編】をご紹介しました。集まったコメントやエピソードから、駐妻=セレブ、暇、優雅、楽している、というような世間のイメージがあるため、実際に住んでみて感じる大変さや苦労などが伝わっておらず、そのギャップにジレンマを抱えている方が多いように見受けられました。

筆者が駐在妻の苦労を理解できたとしても、国際結婚夫婦の苦労や、子供がいる家庭の大変さを100%理解できない、さらには日本での生活の大変さをリアルタイムには感じられないのと同じように、実際に経験したことのない事柄やその場に居ない場合には、ついついイメージが先行してしまいがち。お互いの違いを認めてコミュニケーションを取るのは、出来ているようで難しいことだと改めて実感しました。

次回、第九弾では駐妻生活の理想と現実について特集していきます!

文・写真/山水 由里絵(やまみ

文・写真/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に駐在員の夫に帯同し中国へ引っ越し。気づけば駐在生活も4年目に突入。現在は旅行関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで随筆をスタート。
Instagram:@yuuurie_1211
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