【アラサー女子のお悩み相談】「子供は欲しいけどキャリアが心配です」プロの回答は?

子供を持つ将来を考えつつも、産休や育休期間、そして育児によって積み上げてきたキャリアが崩れてしまうかもしれない…そんな不安を抱えているCLASSY.世代。子供を育てながら自分の人生を自分で動かすために、今からできることを考えてみませんか?

不安が絶えない産休・育休・子育てのこと…

復職したら元いた場所に戻れるのか、まわりは子供を持つママに寛容なのか、保育園に預けられなかったら…。未知なる仕事と育児の両立についてそれぞれが考える不安を聞いてみました。

実際、今の日本で出産・育児で女性のキャリアは止まってる?

コンサルタントとして多種多様な企業を見てきた経験から働く女性のキャリア構築を研究されている山田さんに日本社会における出産とキャリアの考え方について取材しました。

今は、「男性が働いて女性が家庭に入る」ことで回っていた従来の社会から、新しいフェーズへの転換期。新しいシステムを作るのは私たちの「声」です

第一子を出産した女性の産後復職率は?

産後に復職している女性が増えて

産後に復職している女性が増えているものの、有職者のうち約3割が出産を期に退職をしていることを表すデータも。復職率のうち、育休利用者は約4割。
出典:2021年国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(結婚と出産に関する全国調査)2021年
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp

〝正解〟はない社会の転換期会社に残るか、転職するのか「決断」できる自分になろう

今いる会社に子供を持つ女性向けの制度が整っていなくても、それはあなたのせいではありません。そこで出てくる選択は、会社に残るのか、制度が充実している会社に転職するか。
まずはその会社にどのような制度があるのかを自分でしっかりと確認しましょう。外部から見たら育児をしながら働くための制度が揃っているように見えても、実は社員が制度を使えておらず、形骸化してしまっているケースも多くあります。わからないことをそのままにして産休に入り、復職してから後悔する方が本当に多いという現状もあり…人事担当者だけでなく、実際に働く現場の人たちのリアルな声を聞くなど、決断に必要な情報は自分で取りに行く姿勢が必要です。
また、属している会社をつい絶対的なものとして捉えてしまいがちですが、会社はあくまでもあなたのキャリア形成の手段の一つに過ぎません。自分の持つ資質や可能性を発揮できるのは今所属している会社だけではないということを忘れずに、自分の得意分野を言語化し強化していくことで、産後のキャリアプランの幅がグッと広がります。

育児と自分のキャリアを両立している先輩は不安をどう乗り越えた?

誰もが子供を産んで育てながらキャリア形成を続けるために私たちが今できること

自身も出産とキャリアの葛藤の経験がある社会学者の富永先生と女性のキャリア構築を研究するコンサルタントの山田さんに出産未経験のCLASSY.世代が今できることをお聞きしました。

私たちは会社や社会に対してもっと図々しくなっていい!

富永先生(以下、敬称略):大学の教員として働く私が妊娠・出産を秘匿していた理由は、誰かにポストを剥奪されてしまうのではないかという恐怖と、母になることで、仕事上自分の見られ方が未来永劫変わると思い込んでしまっていたからでした。
山田さん(以下、敬称略):女性はこれまで積み上げてきたキャリアが一気に崩れてしまうかも…と不安になってしまいますよね。
富永:でも、いざ復職してみると、自分が思っていた不安はさほど現実にならなくて。私は自分が積み重ねてきたものをあまりに軽く見ていて、自分自身を取り替え可能な存在だと思いすぎていたのかもしれません。
山田:日本の女性にはまだまだ「私にはこの程度の仕事しかできない」と一歩引いた状態で働いている方が多く見受けられます。それは、女性自身が働く上での強みをきちんと理解していないことが原因になっていて。自分の存在意義を知り、まわりにも認識してもらうことで、女性がもっと働きやすい環境に変えられると思っています。
富永:社会学者としては、本来会社や社会が制度をきちんと整備して不安を解消するシステムを用意していないといけないのに、なぜ産む側がここまで気にしないといけないんだという憤りもありますが、たとえば会社員は労働力をもって会社に貢献しているわけですから、「自分は会社の役に立ってやってる」くらい図々しく思ってもいいと思っています。休む権利、働き続ける権利を求めることが、結果として自分も後続の人々も大切にすることにつながると思います。
山田:誰かに認めてもらうために必死に頑張るよりかは、自分がなぜそこで働くのかという目的を重視して優先しつつ、それをちゃんと実現できる自分であることも大事です。

連帯感を持つことで私たちはもっと強くなれる

富永:一人で戦ったり頑張ることには限界があるので、同じ属性の人と不安を共有し、不安を声にしていくことが新しい制度を作る一歩になりますよね。
山田:あとは、励まし合える仲間を持つことも大切。今の日本社会は個人評価だけではなく、チームで新しい価値を生み出そうという「共創」の思考を重要視しています。お互いに気づいたことを伝え合える関係が女性のキャリアに関する悩みを改善すると考えています。
富永:たとえば産休に入る同僚にも「いつでも戻ってきてね」など、優しい言葉を掛けると、その言葉が未来の自分を救うことになります。連帯できる環境を自ら作ることも大切なのかもしれません。

撮影/杉本大希 取材/岸本真由子 再構成/Bravoworks,Inc.

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