堀田茜さん「アートって難しく考えなきゃいけないと勝手な固定観念に囚われていた」

堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載8回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!

作品の意図に沿う正解の感想を持たなければ〝わかってない人〟になるのが怖くて…

今回のゲストは...耳で聴く美術館・aviさん

【今月の茜のモヤモヤ案件】 今

【今月の茜のモヤモヤ案件】
今アートが身近なものになってきていますが、気軽にアートが好きだと言い出しにくい敷居の高さを感じます。作家や作品について理解を深めていないと語ってはいけないですか?一歩踏み込んで学びたい気持ちもありますがどう深めていけばいいのかもわからず周りにアートの話をできないままです。

「美術を知っていると固定観念に縛られず、生きやすくなる」(avi)

avi:美術館で作品鑑賞する際にはぜひ音声ガイドを利用してみてください。聴きながら見ると充実度が高いですよ。それから、気になった部分は自分の手で調べるひと手間もとても大切です。

茜:自分で調べると記憶に残りますね。私はwikipediaに頼っちゃうんですけど、それだけでも発見があって楽しくなります。

avi:いいですね。そんな手軽な感じでOKです。それから美術館だけでなく、ギャラリーにも足を運んでみてほしいです。

茜:美術館とギャラリーの違いがわからない…。

avi:簡単に説明すると美術館はお金を払って鑑賞しに行く場所。ギャラリーは無料で入れて作品を買うこともできる場所です。ギャラリーは展示作品の作家さんが在廊することも多いので、お話しもできますよ。

茜:えーお話ししてみたいけど緊張します。たとえば何を話せばいいですか?

avi:作品のテーマ、使っている画材について質問するのは間違いないです!

茜:直接お話しできたら作品にももっと興味が持てそうですね。どこか行きやすいギャラリーはありますか?ギャラリーって美術館よりももっと敷居が高そうですが。

avi:最近は昔と違って入りやすい雰囲気のところが増えてきています。天王洲(東京)にあるWHAT CAFEはアートカフェというコンセプトで、名の通りカフェ併設で気軽に入れるのでスタートにいいかもしれません。それから、好きな作家さんに出会ったら作品も買ってみてください。

茜:作品ってそんな気軽に買っていいものなんですか?今家に何か飾りたくて。

avi:今を生きる作家の作品を買うことは、作家の活動資金になって応援になるから、推し活みたいな感覚でいいと思います。私も最近、大河 紀さんの作品を買ってみたんですけど、買った日から家に届くまで毎日ドキドキして楽しみでした。届いてからの空間も含め全部、他では味わったことのない素敵な時間なんですよ。美術品って高額なイメージがありますけど、現代作家だと数万円から買えるので、30代のはじめての経験としてもいいかもしれないですね。

茜:美術を楽しむことって、私自身は仕事にいい影響をもらえるなという感覚があるんですけど、aviさんが思う、美術を好きでいるといいことってありますか?

avi:私が美術の世界を好きな理由は価値観の自由さなんです。大学を卒業して鉄鋼会社で働いたとき、みんなが同じものを好きじゃなきゃいけない風潮があって、何事も右向け右で、それがすごく窮屈でした。大学時代は周りにいる人がとても魅力的で、自分の好きなものや価値観を主張できたし、あなたはあなたでいいんだよと尊重してもらえる環境。CLASSY.読者世代だと「みんな結婚してるからしなきゃ。子供も産まなきゃ。出世しなきゃ恥ずかしい」と同調圧力に悩む人は多いと思うんですけど、美術の世界に生きる人って本当に多様で、他人がどうあろうが関係ないんですよ。強いですよね。だから、美術を知っていると固定観念に縛られず、生きやすくなります。

茜:私まさに固定観念に縛られて悩むタイプなので、もしこれからその類で悩むことがあったら、美術館に足を運ぶことにします。

avi:ぜひ。そういう美術作家たちの魅力にも気づいてもらえたら。そしてもっと気軽に美術を楽しんでください。

茜:今すぐ美術館に行きたくなりました。ありがとうございます!

\茜の取材ノート/

アートって難しく考えなきゃいけ

アートって難しく考えなきゃいけない、小難しいことを言えなきゃいけないと勝手な固定観念に囚われていたのですが、もっと自由に好きだと言っていいんだと教えてもらえてうれしくなりました。正解の解釈を言えなきゃいけないとも思っていたけれど、その考えこそがアートの敷居を高くしていたのかも。少しずつ美術の世界のことを知っていけたらと思います。お話ししやすくてとても魅力的な方でした。

アートインフルエンサー/耳で聴く美術館・aviさん
1992年・大阪府生まれ。大学で美術教育を学ぶも一般企業に就職。その後美術の自由な世界観と魅力を伝えるべく独立し「心が震えるアートの話をしよう」をテーマに各動画サイトやSNSにて〈耳で聴く美術館〉を展開。美術をもっと身近に感じてほしいという想いから、初心者にもわかりやすい作品解説や展覧会情報動画を発信する。2023年8月時点でTikTokフォロワー17万人、YouTubeフォロワー16万人を誇る。

【茜】ベスト¥16,500(マイストラーダ)ブラウス¥26,400(Sov./フィルム)ピアス¥28,600(ete)
※aviさんの衣装は私物です

撮影/杉本大希 スタイリング/阿部絵莉香 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

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最新号 202411月号

9月28日発売/
表紙モデル:今田美桜

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