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カツセマサヒコ「それでもモテたいのだ」【バツイチになった友人たちが、軒並み言う言葉】

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カツセマサヒコ「それでもモテたいのだ」【「共感できなかった」に振り回されています】

昨年末から年始にかけて、友人の

昨年末から年始にかけて、友人の離婚報告が続いた。報告のテンションはさまざまで、「ヤッホー!独身に戻ったわー!」と一言だけLINEが届いたものもあれば「ごめん、ちょっと報告あるんだけど」とわざわざ喫茶店に呼び出して話してくれたものもあった。
以前から結婚生活への不満をチラホラと話してくれていた友人もいたし、この時代だから、報告されたところで大した驚きはない。ただ、子供が小さい友人だけは「子育てが落ち着いたら離れるつもり」と、デカフェのコーヒーを口にしながら静かに言って、なんとも言葉にしづらい気持ちが声帯に引っ掛かっていた。
きっと私に話してくれた愚痴や報告は、氷山の一角に過ぎないのだと思う。彼女ら/彼らの感情の海には、もっともっと大きな悩みや不安や葛藤がうごめいていたはずで、軽く伝えてくれた離婚の報告も、本当はズシンと重く、控えめに言っても大変だったに違いない。
ただ、冷たく感じるかもしれないけれど、彼女ら/彼らの離婚は私にとってまったく大きな問題ではないのだ。だって、友人は友人であって、誰かのモノになった覚えなど一度もないし。だから友人には、「これでしばらく、自由を謳歌だねえ」などと無責任な祝いの言葉を告げて、乾杯をする。
誰かと共に暮らすこと、誰かと人生を歩むことは、すなわち、自分の時間を分け与え、誰かの時間をいただくことであって、純粋に全ての時間を自分だけのものにできる時期なんて、独身の一時だけなのだと思う。だから、「めっちゃ遊んだり、好きなことしたほうがいいよー。どうせいつかは『落ち着きたい』とか言い出すんだからさあ」と無責任に告げて、酒をあおる。その酒が、やけにうまいのだ。
話は変わるが、同じ年末に、二十代中盤くらいの女性読者から悩み相談が届いた。
「周りが結婚しすぎて焦るんですけど、どうしたらいいですか!?とりあえず彼氏の意思を結婚に向けられるように、全力で頑張ってるんですけど!」
こちらの助言を差し込む隙間もないほど勢いと焦りに満ちた文面だった。その迫力にたじろいで、思わず返事をし損ねたので、今この場で、一つ思ったことを書きたい。
「やばい!結婚せねば!」と焦る若者がいる一方で、三十代に突入し、離婚組となった先輩方が口を揃えて言う言葉がある。
「こんな予定じゃなかった」だ。SNSやWEBメディアには、育児や家事をしない配偶者への愚痴が日常的に溢れており、好きで結婚したであろう二人が、猛烈に忌み嫌い合っているようにすら見える。
――どうしてそうなることが、結婚前から見抜けなかったの?
その疑問への答えが「周りはみんな結婚してるし!」ではないだろうか。要するに、恋人よりも世間の顔色を見て結婚を決めると、最も肝心な「二人の相性」をうっかり見落としてしまう、ということだ。「あー、この人、生活レベル低そうだけど、それはまあ、結婚したら直るかもだし!食事は手料理じゃなきゃ嫌だとかぬかすけど、それも、結婚したら直るかもだし!とりあえず、好きだし!いいや!結婚しちゃお!」じゃないのだ。人の生活習慣が簡単に変わるなんて、思っちゃいけない。誰だって少しずつ、年輪を重ねていくようにしか変わっていけないのだ。合わせるべきは世間ではなく、自分や恋人のペース。結婚は今じゃないなとか、この人じゃ難しそうだな、と思ったなら、別れたり、自分ひとりの時間を楽しんでいい。もちろん、妥協なきカンペキな結婚なんてあり得ないから、どこかで譲れるポイントは必要なのだけど。
そこまでして離婚になったなら、それはそれで仕方ない。離婚したくらいで人生が終わるわけじゃないのだ。最近、バツイチになった友人たちが軒並みこんなことを言う。
「ねえ、今、超絶モテ期なんだけど」
そんなモテ方もあるのかー!

この記事を書いたのは…カツセマサヒコ

1986年、東京都生まれ。デビ

1986年、東京都生まれ。デビュー小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)が大ヒットを記録し、2021年12月に映画化。二作目となる小説『夜行秘密』(双葉社)も発売中。

イラスト/あおのこ 再構成/Bravoworks.Inc

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