「教えて恋愛部長さん!この恋、捨てるべき?」Vol.③【悩めるアラサー女子への処方箋】

「もう傷つきたくないし、踏み込みたくない」…大人になると発生する、20代の頃とはまた質の違う恋愛の悩みの数々。女性メディアで活躍する恋愛部長が、読者のリアルなお悩みにお答えします。さて、今回の恋のお悩みは?

「教えて恋愛部長さん!この恋、捨てるべき?」Vol.③【悩めるアラサー女子への処方箋】

理想の人!と思ったのに、節々で感じる違和感

知り合って1年、何度も飲みに行き、コロナ中も何かと連絡をくれていた男性がいます。外見が好みなこともあり、彼と会う日はオシャレやメークに気合を入れていたりしていたのですが、ちょこちょこと違和感を感じることが。たとえばご飯やさんに入っても彼がスタスタとソファ席に座るし、私に『何食べたい?』と聞いてくれることなく自分が食べたいものを注文しています。ボクちゃんタイプで気が利かないだけなのか、私に気がないから気を使う必要がないのか…その割にいつもご馳走してくれたりするので、判断できずにいます。後者は後者で切ないですが、前者なら前者でたとえば交際を始めたあとがいろいろ大変そうだなと…。

もうひとつ気になるのが、「決定打をうてない」タイプらしい、というところ。前の彼女とも「自分が結婚に怖気づいて」別れたそうです。そのような気質はなんとなく感じていて、たとえばラインで連絡をとっていても、私から誘ってほしそうな雰囲気を出してきたり。うまくいく相手には、このような違和感って感じないものですよね?学生の頃から付き合っていた彼と別れてれから彼氏ができておらず、大人同士の恋愛の始まり方がどいうものなのかわかりません…。彼とは「何かが合わない」ということで飲み友達のままでいるべきか、こちらから何かアクションを起こすことで進展があるのか…。彼の外見、センス、雰囲気は長年私が思い描いていた理想の人そのものとうこともあり、それだけで彼を好きだと錯覚しているだけなのでしょうか。

野生の勘は馬鹿にできない

今回のご相談。見た目も条件も理想の彼、まだ付き合う前だけど、時折感じる違和感。このまま進んでいい?それとも引き返すべき?というご相談ですね。これ、難しいんですけど、「本来的には引き返すべきだけど、あえて進んでみるのもアリ」という玉虫色なお答えが正直なところです。(ご、ごめんなさい!)

というのも。私の見る限り、その男とは相談者さんは結婚しないと思う。結婚しても苦労するだけだし。私の過去彼にそっくりなタイプがいたんですけど!一瞬、元カレ本人かと思いました(笑)。

優しいし紳士的だし顔も頭もいいし、はた目には理想の彼氏なんだけど、すごく気になったのが「食事をしに行ったときに、自分の頼みたいものしか頼まない」ってこと!私が「○○とか食べたいな~」って横で言ってるのに、スルー。まるっきり無視。「え?聞こえなかったのかな?」って最初は思ってたけど、毎回そうだから、「あー、この人私の食べたいもの頼む気ないんだ!」って気づいた。ビックリしましたよー。そんな男がこの世にいるとは思わなかったので。でも、そのほかはすごく優しいんですよ。なんなんでしょうね。でもその違和感ってすごく大きくて。そこを目をつぶって、「彼は理想の彼氏、今度こそ結婚できるチャンスなんだ!」「みんな彼は素敵って言ってくれてるし」って自分に何度も言い聞かせていたんですけど、ふとした拍子に、「やっぱり彼は違うかも」って思っちゃうんですよね。ひどいときは、一緒に旅行に行った先で朝起きて急に、「彼とは別れたほうがいいんだ!」って突然悟っちゃったり。そういう違和感はいくら頭で考えて押さえつけようとしても何かのきっかけですぐ頭をもたげてくるものです。結局私はその違和感のために彼とは別れたんですが、やっぱり別れて正解だったと今でも思います。あの彼と結婚してたら、ホントしょっちゅう泣かされてただろうなと。そもそも、「この人のこういうところだけはどうも気になる」って部分がある人とは、結婚しないに限ります。

「一緒にいるうちに私が変えればいいか」とか、「いつかは変わってくれるかも」とか思うのは勝手ですが、大体において、人間はそんなに変わりません。結局、最初から最後まで気になるものは気になる、ということになりがちです。離婚した先輩(男性)がこんなことを言っていました。「結婚する前、そもそも出会った時から気になる部分は、結婚した後もやっぱり変わらないし、結局、その気になる一点が理由で、別れることになるんだ」って。

そういえば、別の彼ですが、愚痴っぽくていつも自分の不遇を環境や周りの人のせいにする人がいて、そこがずーっと気になっていました。やんわり注意しても変わらなかった彼とは、最後は、まさにその「愚痴」が原因で別れてしまいました。それも、たった一点の気になることで別れた事例です。これは、相手に欠点があってはいけない、という意味ではありません。どんな欠点でも、それが気にならなければ、問題はないんです。でも、欠点というほどのことではなくても、ちょっとしたことが「気になる」場合、そっちのほうが問題です。結婚したら、その「気になる点」を毎日目にすることになります。欠点も気にならないくらい好きな相手だって、365日顔を突き合わせていれば衝突するのが当たり前、赤の他人同士の結婚です。最初から気になることがあったら、そこがどんどん増幅されて気になるようになる、と考えたほうがいいのです。

でも、そもそも、付き合っていく上での違和感というのは、とても大事なことだと私は思います。人間には、頭で考えたこと以上に、自分を支配している動物的本能があるから。

しかもそれは、こと恋愛に関してはより一層強く出る。「生殖」という動物的な側面が絡んでいるからです。例えば、「生理的にこの人は受け付けない」っていう感覚あるじゃないですか。手を握られただけでゾッとするとか。キスしたら違和感を感じるだとか。どんなに相手が素敵でも、ダメな人はダメって言う感覚。それは、DNAのなせる業なんですよね。自分との遺伝子上のマッチングが悪い相手だと、本能的に拒絶反応が出る。それって、頭じゃない、動物的本能が動かしている部分。でも実は、将来を考えるとすごく大事な部分なんじゃないかなって思うんです。どんなかすかな違和感でも、それは、自分の本能的な感覚が教えてくれているサインなのかもしれないなって思う。「そっちに行ってはダメだよ」っていう、神様からのサイン。

頭で理性的に考えると、どうしても打算的になります。「この人と付き合えば、こんなメリットがある。」そう思えば、多少の違和感などに目をつぶって付き合ってしまえ、と思うはず。でも、理性で押し通した恋愛って、そうそう長続きはしないものです。恋は、始めるものじゃない、落ちるもの。それはお互いに感じる引力のようなもの。抗いがたい力であるはずです。そうではなく、頭で判断し、「始めよう」と考えて始まった恋愛は、何をするにも力が足りない感じになる。モチベーションが湧きにくい。

恋愛は非常にめんどくさいコミュニケーションです。相手が好きだって言う強いモチベーションがなければ、乗り越えていくのは難しいと思います。ましてや、結婚をや。理屈では説明のつかない力が働いてこそ、結婚という恋愛以上にめんどくさい手続きも乗り越えていけるのです。

というわけで、今回のご相談で言うと、相談者さんが今感じている違和感は、かなり大事にしたほうがいいってことです。そしておそらくは、頭で理屈を並べてその彼をと付き合いたいと思ったところで、それはあくまでも頭で考えたこと。結局はうまく行かないと思います。

「リハビリ」としてのお付き合いならアリ

が!ここで最後に、「あえて付き合うのもアリ!」と思う理由も書いておきます。

それは、あまりに長い恋愛空白期間をおくのは危険だから!です。学生時代以来恋愛してない月日が‥とありますが、その年月が長ければ長いほど、ちょっとマズイです。恋愛とはスポーツに似ていて、ずっと続けていれば、何度も失敗しながらもだんだん勘どころがわかってきて上達していく部分があるのです。相手の気持ちの起伏を読む力とか、どーでもいいことを気にしないようにするスキルとか。そういう、恋愛の勘みたいなものは、長く恋愛がご無沙汰だとどんどん衰えていってしまいます。なので、今回は、「恋愛の勘を取り戻すための恋愛」と割り切って、あえてその彼と付き合ってみる、というのもアリはアリだと思います。実際に彼と付き合ってみて、やっぱり気になる部分が気になるなら、別れればいい。「私の力で彼の悪い癖を直さなきゃ!」とかは思わないようにね。

気になる部分も受け入れて、それでもその欠点も愛おしく思えるのかどうか、自問自答しながら付き合ってみる。そして、違和感って、どういうものなのかを、付き合いの中でよりリアルに感じ取って学んでみる。そういうまたとない機会ととらえることもアリでしょう。あまりに自分と合ってない人と長く付き合うのは時間の無駄ですが、半年とか1年とか期間を決めて、いっぺん飛び込んでみて体験するのは決して無駄にはならないと思います。

恋愛、というか異性との付き合いって経験を積めば積むほど学ぶところが多く、それは結婚した後もすごく役立つものですから。なんだか「どっちなのよ?」というお答えに聞こえるかもしれませんが、最後はご自身の意思がすべてです。「進むか、止まるか」決められるのは、ご本人だけ。一度、あらゆる雑念を捨て、まっさらな心で、「どっちにしたいか?」を自分に問いかけてみてください。そのとき、自分が選んだほうが、結果的に正解になると思います。

いちばんよくないのは、中途半端な状態で立ち止まってしまうこと。それは、時間の無駄です。進むなら、進む。やめるなら、やめる。どうせその彼とはその2通りしかないのです(男友達としてキープするのも、やめるうちの一つですね)。だから、自分で、どっちにするかは選択して。相手の出方次第なんかにしないことを、オススメします。恋愛は、つねに主体性が大事ですよ!!

恋愛部長

自らの恋愛の失敗をもとに、独自の恋愛論を編み出し、恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。モテない20代、さまよう30代を経て、40歳で結婚。様々な人の恋愛相談に乗っている。著書に『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
Webサイト:renaibucho.com
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