『たとえる技術』をジャケ買いしてみた

こんにちは。副編の中村です。
先日ジャケ買いした本『たとえる技術』が、なかなか興味深かったので勝手にレビューしてみます。
「たとえ」というのは、たとえば「雪のように白い肌」とか、「カモシカのように細い脚」とか、そういう類のアレですね。この本は、そんな「たとえ」についての技術論。「なぜ、たとえないより、たとえたほうがいいのか」に始まり、「たとえを作る上でのさまざまな視点」、「たとえるとできる、いろいろなこと」などについて、無数の実例をあげながら大真面目に考察しています。
興味深かったのは、その大真面目さがむしろユーモラスなこと、そして、実例としてあげられる「たとえ」のハイクオリティっぷり。
ちょっと、その一部をご紹介します。
「この犬、他の人に懐くこと滅多にないのよ」と言われた時のようにうれしい
勝俣のズボンのように短い
テレビをつけたらちょうどバルスのところだったような偶然
仕送りが振り込まれていない時のような絶望
乾電池を取り出してもう一度入れ直してみるようなその場しのぎ
メロスは母親が勝手に部屋に入った時の中学生のように激怒した
髪を切った後に鏡を見せられ「大丈夫です」と言ったような後悔
などなど。この他にも、珠玉の「たとえ」で溢れているのがこの本の一番の魅力と言っていいでしょう。どれもこれもクスリとさせられて、単に「嬉しい」とか「短い」と言うよりも、圧倒的に伝わります。
考えてみれば、ファッション誌の見出しやキャプションでも、たとえて伝えることは不可欠です。いや、成田空港に向かう時のパスポートのように不可欠です。マスタードイエローやワインレッドも「たとえ」と言えるし、「マカロンのようにカラフルなニット」「ミルクティーのようにまろやかなベージュのコート」的な「たとえ」を誌上でご覧になった経験は、一度や二度ではないはず。そういう意味でも、特に我々雑誌編集者にとって興味深い本なんですよねー…と、無理矢理CLASSY.と紐づけてみたところで、勝手なレビュー、終了させていただきます。
『たとえる技術』
せきしろ(著)
文響社
¥1,380
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