【アラサー世代の多様化するリアルな働き方】歳を重ねることがポジティブでカッコいいという社会変革を目指す

働き方が多様化して、起業も以前より身近な選択肢に。なかでも一緒に働く人や社会、世界や地球の未来をよりよくするための事業を起ち上げた、〝ウェルビーイングな起業〟に注目が集まっています。社会問題の解決に取り組む4人の女性のストーリーをお届けします。

赤木円香さん(「MIHARU」CEO)

シニア世代をハッピーにするサービスが孫世代にとっての学びに

「みんなでアイデアを出して『ま

「みんなでアイデアを出して『まずはやってみよう』が会社のスタイル。失敗することも多く、うまくいくのは30個のうち一つくらい。そのスピ ード感の中から新たな事業が生まれています」

赤木円香さん
ʼ93年東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。在学中、オレゴン大学への留学や、メディア運用やウェブ広告のインターンを経験。’17年大手食品会社に入社。’20年に株式会社MIHARUを創業。

歳を重ねることがポジティブでカッコいいという社会変革を目指す

今の事業を始めたのは、憧れのおばあちゃんの存在がきっかけ。私に料理、裁縫、書道を教えてくれた大好きな祖母にこれから恩返しをしようという時に、怪我をして家にこもりがちになり、お手伝いすると「ごめんね」と言うようになってしまって。どうして、祖母のように感謝されるべき人が謝ってばかりいるんだろうと、悔しくてショックでした。
シニア世代をサポートする事業を一人で自宅で起業後、すぐにコロナ禍に突入。仕事もなく孤独で「元気で営業ができる人」がいないかと聞いて回ったところ、共同経営者の辰巳を紹介されました。辰巳は最高にシニアに気に入られる奇跡の人材。彼の「血縁関係がなくても最高の関係になれる」と信じる想いや「どんな人にも親切で対等であれ」という信念は、現在のシニアのお客様との深い信頼関係につながっていると思います。
とはいえ、シニアを狙う詐欺が横行する中で「若者がシニアのために何でもします!」と言うと怪しまれることも。トライ&エラーを重ねる中で「スマホの困りごとを解決する」という切り口を見つけ、自治体にアプローチ。昨年は年間約300回の自治体主催のスマホイベントを受託するまでに拡大しました。
加齢による変化があったとしても、できないことが増えてもポジティブに歳を重ねる「Age Well」が事業のテーマ。「今日も物忘れをしちゃったけど、若者にグーグルレンズを教わったからOK」といったふうに、若者との世代間交流を通じてシニアができるようになることを増やしてワクワクしてもらう経験ができれば、少しずつ歳の重ね方の意味合いも変わってくると考えています。
現場では学生を中心としたメンバー約30人による訪問サービスを提供。独居のシニアにとっては孫や子のような存在となったり、「早くお迎えが来ないか」が口癖だった方が、今ではメンバーの結婚式に参加するのが夢とおっしゃるようになったり。お客様と家族のような関係を築き、生きる希望を持っていただくことができるなど嬉しいエピソードが絶えません。私自身も創業して最初のお客様のところには今も週1回訪問していて、いやなことや大変なことがあってもドアを開けてもらった瞬間のお客様の笑顔ですべてが吹っ飛ぶくらい、いつも幸せをもらっています。
社会課題の解決はビジネスモデルから作り上げなければならないのですごく難しい。でも難しさをクリアした先には社会変革があると思っています。「ポジティブに歳を重ねる」と伝え続ける中で価値観や文化が変わり、制度も変わるはず。100歳で働くのが当たり前という社会を作りたい。そんな社会の一端になれれば、自分が生きた価値や会社でやる意味もあると思っています。

シニアがリスペクトされる社会にしたい

訪問サービスは優秀な人材が集まる人気の仕事に

\ウェルビーイングな起業を目指す人へのアドバイス/
「この仕事をしてる自分が好き、自己肯定感も上がる」
「目の前の人を笑顔にできることで自分も幸せを感じられて、生きている価値を実感できるから、結局自分のためになる。ゆくゆくは社会も変えられるかもしれない。人も自分も幸せにできるから、大変だけど辛くないんです」

\ウェルビーイングな仕事の魅力は?/
「必要なのは〝お願いする力〟と〝やり抜く力〟」
「『いつか起業したい』という人は今日してほしい!『このスキルを身につけてから』という人もいるけれど、経営者に必要なのはお願いする力とやり抜く力だけ。折れることなく最後まで立ち続けることが重要だと思っています」

撮影/渡邉力斗 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc

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最新号 202406月号

4月26日発売/
表紙モデル:山本美月

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