1月13、14日に「共通テスト」(旧 センター試験)が実施されました。今回は、終わったばかりの「共通テスト」で出題された漢字を紹介します。漢字問題は「国語」(80分)の大問のうち、第1問のいわゆる「評論文」と呼ばれる文章の中で出題されます。もちろん、すべてマーク式の試験のため、実際に書かせるのではなく、選択肢の正解を選びます。
今年は、「本文傍線部のカタカナに相当する漢字が含まれるものを、同じくカタカナで書かれた選択肢から選ぶ」という定番のスタイルでした。実際には5問出題(各2点)されましたが、そのうち3問をピックアップします。では、始めましょう。
1.WEBサイトに「ケイサイ」されたCDのレビュー
「ケイサイ」が本文中にあります。傍線部に相当する漢字を次の四つから選びます。
①「名著にケイハツされる」
②「連絡事項をケイシュツする」
③「方向転換のケイキとなる」
④「一族のケイズを作る」
さて、おわかりですか? まず、本文の漢字は「掲載」です。
選択肢のカタカナを漢字に直すと、①「啓発」②「掲出」③「契機」④「系図」ですから、正解は②「ケイシュツ」でした。「掲載」は簡単にわかるのですが、選択肢の「掲出」(=人目に付くように示すこと)は、高校生が普通に使う言葉ではないでしょうから、戸惑ったかもしれません。ただ、残りの選択肢は、比較的やさしい熟語(「啓発」さえわかれば)、消去法でクリアできたと思います。
2.あらゆる音楽をコンサートモデルでとらえるのは「アクヘイ」にすぎない
「アクヘイ」のイメージがわかない受験生には難しいかもしれません。 では、選択肢を示します。
①「機会のコウヘイを保つ」
②「心身がヒヘイする」
③「室内にユウヘイされる」
④「オウヘイな態度」
さて、おわかりですか? まず、本文の漢字は「悪弊」(=悪いならわし)です。
選択肢は、①「公平」②「疲弊」③「幽閉」④「横柄」ですから、正解は②「ヒヘイ」でした。選択肢も「公平」以外は、入試問題として難易度の高いグループに含まれます。ただ、「ヘイ」を選ばせる漢字問題の場合、「貨幣」「紙幣」の「ヘイ」が含まれることが多く、「弊」と「幣」の違いには、注意が必要です。
3.「マギ」れもなく宗教行事である
「マギれもなく」が本文中にあります。いままでの問題と違って「訓読み」の漢字です。しかし、選択肢はやはり「音読み(熟語)」で、多くの人が苦手としているタイプであり、選択肢もなかなか手強いと思います。
①「不満がフンシュツする」
②「フンベツのある大人」
③「議論がフンキュウする」
④「決算をフンショクする」
今回一番レベルが高い問題だと思います。本文・選択肢ともにすべてが入試漢字の定番語と言えます、日頃の漢字トレーニングによって差がつくところです。まず、本文の漢字は、「紛れ」です。
選択肢は、①「噴出」②「分別」③「紛糾」④「粉飾」ですから、正解は③「フンキュウ」でした。最大のポイントは、「紛」と「粉」の区別です。「紛糾」「粉飾」ともに、実際に書くとなると社会人でも間違いやすいのではないでしょうか。また、これ以外にも、①「噴」を「墳」「憤」と書いたり、③「糾」を「叫」と書いたりしてしまいがちです。
いかかでしたか? 約50万人の受験生がこのような漢字問題に取り組みました。「共通テスト」というと、難しいというイメージを持たれている方も多いと思いますが、少なくとも漢字問題に関しては、「一般常識」レベルだということがおわかりいただたけたでしょう。では、今回はこのへんで。
《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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