【菊地凛子×オダギリジョー】国内外で活躍する2人が考える〝ウェルビーイングなこと〟 【スペシャル対談】

菊地凛子さん主演の映画『658km、陽子の旅』で父娘役を演じている菊地さんとオダギリジョーさんへのスペシャル・インタビュー。後編では国内外の作品で活躍しているお二人が考える〝ウェルビーイングなこと〟についてお話を伺いました。

――仕事への向き合い方やプライ

――仕事への向き合い方やプライベートの過ごし方など、お二人が心身ともに健やかでいるためにメンタル面で意識している〝ウェルビーイングなこと〟があれば教えてください。
オダギリ「ウェルビーイング…うーん、ちょっと考えます(笑)」
菊地「私は日常を大事にしています。朝起きたら朝食はパンにするかご飯にするか、みたいに選択の毎日じゃないですか。そんなふうにひとつひとつ選択して今の仕事にたどり着いたんですが、日常があるその先に仕事があったり人間関係があったりするので、日常が大事だと思ってますね。あとは、役者なので共感性を持っていきたいと思っています。理解するのが難しいことも世の中にはいっぱいあるけど、『そういうこともあるよね』みたいな寛容な部分を持っていたい。肯定することはできなくても否定することがなく、共感できるような。それがウェルビーイングなことになるのかはわからないんですけど…。オダギリさんは、そもそも健やかな感じですよね」

オダギリ「今言われて思ったのは

オダギリ「今言われて思ったのは、無理してもしょうがないっていう思いがあって。自分の範囲内でしか生きていけないし、自分の範囲以上のことはおもてなしできないので」
菊地「わかります」
オダギリ「相手にこう思われたいっていうのって、願望の押し付けなのかなと思うんですよ。簡単に言うといくらカッコつけたところでカッコつかないものはつかないし、カッコつけてる時点でカッコ悪い。自分を大きく見せたり、背伸びしても、いずれ無理が生じてバレるんです。だったら無理しない。無駄に自分以上の自分でいようとしない。それが結果的に自分の良さを伸ばしていくと思っています」

――若い頃から、そう思ってらっ

――若い頃から、そう思ってらっしゃいましたか?
オダギリ「無理なものは無理、と思ってました。たとえばさっきの撮影でも『笑ってください』と言われましたが、残念ながら無理なんです(苦笑)。自分の本心を抑えて笑ったところで自分にいいことが起こるとも思えないし、観てもらう人たちに対しても無理した姿を届けてもしょうがないと思うし。昔からそういうところがありますね。だから若いときはそれが生意気に見えたんだろうし、言うこと聞かないとかネガティブに思われたんですけど、この歳になると〝癒し〟って言ってもらえますからね(笑)。歳を取ると変わるんだなって(笑)」

菊地「(笑)。でも昔からそう思

菊地「(笑)。でも昔からそう思ってましたけどね。穏やかな人だなって。若い頃、そんなに尖がってました?(笑)」
オダギリ「まあ、人によっては尖がって見えたんでしょうね(笑)」

――菊地凛子さん初の邦画単独主

――菊地凛子さん初の邦画単独主演となる『658km、陽子の旅』で、20年以上断絶してた父と娘を演じたお二人。上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀女優賞の三冠を受賞した話題の映画は全国公開中です。

菊地凛子
‘81年1月6日生まれ 神奈川県出身●’99年『生きたい』で映画デビュー。‘01年『空の穴』ではヒロイン役に抜擢。’06年、海外映画『バベル』にてアカデミー助演女優賞を含む多数の映画賞にノミネート。以降『パシフィック・リム』シリーズ、『47RONIN』など海外作品に多数出演。主な出演作は映画『ノルウェイの森』、米国ドラマシリーズ『TOKYO VIVE』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など。今年後期のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』に出演。

オダギリジョー
‘76年2月16日生まれ 岡山県出身●アメリカと日本で演技メソッドを学び、‘03年『アカルイミライ』で映画初主演。以降、作家性や芸術性を重視した作品選びで独自のスタイルを確立。海外の映画人からの信頼も厚い。ドラマでも活躍し、最近の主な出演作はNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』『アトムの童』など。脚本・演出・出演・編集を務めた『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』で東京ドラマアウォード2022単発ドラマ部門グランプリを受賞。

『658km、陽子の旅』
熊切和嘉監督と菊地凛子さんが20年ぶりにタッグを組んだ、東北縦断ロードムービー。人生を諦めて過ごしてきた在宅フリーター陽子(菊地凛子)は、20年以上断絶していた父(オダギリジョー)の訃報を受け、従妹の茂(竹原ピストル)とその家族と車で弘前に帰ることに。しかし途中のサービスエリアでトラブルが起き、置き去りにされてしまう。所持金がなくヒッチハイクで弘前に向かう陽子だが…。他の出演/黒沢あすか 見上 愛 浜野謙太 / 仁村紗和 篠原 篤 吉澤 健 風吹ジュン オダギリジョー 監督/熊切和嘉 脚本/室井孝介 浪子 想●全国公開中

【菊地さん着用衣装】ジャケット¥86,900ジャンプスーツ¥63,800(ともにCFCL/CFCL Inc.  support@cfcl.jp)その他/スタイリスト私物 【オダギリさん着用衣装】ジャケット¥60,500シャツ¥35,200ベスト¥26,400パンツ¥30,800(すべてISSEY MIYAKE/ISSEY MIYAKE 03-5454-1705)
撮影/木村 敦 ヘアメーク/中村了太(3rd)<菊地さん>、砂原由弥(UMiTOS)<オダギリさん> スタイリング/小嶋智子<菊地さん>、西村哲也<オダギリさん> 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

Feature

Magazine

最新号 202406月号

4月26日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup