【生理について】将来妊娠を考えるなら、いま体と向き合ってほしい【婦人科医に聞いてみた】

私たち女性の体や生活と切っても切り離せないものなのに、実は知っているようで知らない生理のこと。悩みがあっても、多少辛くても、毎月のことなのに我慢したり、それが普通だと思い込んでいたり。普段、友だちや親に聞けないこと、疑問に思っている生理のことを、CLASSY.ONLINEでは座談会を開いて、読者世代の女性たちに聞いてみました。生理に関するあれこれは将来子どもを産みたい人には、特に大事なこと。「毎月来る不快なもの」で終わらせず、まずは自分の体と向き合ってみては? この最終回では、グレイス杉山クリニックの岡田有香先生にCLASSY.世代の女性の体のこと、生理のことについてお伺いしました。

お話を伺ったのは、岡田有香先生

グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長。日本産婦人科学会、産婦人科専門医。女性が少しでも毎日をポジティブに過ごすための、女性特有の不調や生理の知識をメディアで発信。インスタグラムアカウント(@dr.yuka_okada)でも生理痛など女性特有の悩みに答えています。

【生理について】将来妊娠を考えるなら、いま体と向き合ってほしい【婦人科医に聞いてみた】

異常な生理は、不妊の原因になることも

生理の悩みを持ちつつも、今回の座談会参加者は一人も婦人科にかかったことがありませんでした。
生理の悩みを持ちつつも、今回の座談会参加者は一人も婦人科にかかったことがありませんでした。

――先生は、長年女性の体の不調や生理のことをメディアで発信され、ご自身もCLASSY.世代と年齢が近いかと思いますが、20代日本女性の体との向き合い方についてどう思われますか?
岡田先生
 生理の前に起こり生理中に改善する食欲やイライラ、眠気などのPMS、生理中に悪化する生理痛や貧血、頭痛などの月経困難症は我慢するものと思っている女性が多く、産婦人科医が異常と思う感覚と、世間一般の女性の異常と思う感覚のズレを強く感じます。
――今回は20代後半の女性4人での座談会でしたが、婦人科を受診したことがある人は皆無でした。婦人科に行くのはハードルが高い印象があるようです。
岡田先生
 アメリカでは、女性は13~15歳くらいでかかりつけの婦人科をもつのが当たり前の状況です。PMSや生理痛で鎮痛剤を飲むのが普通の状態であれば、7割ぐらいが子宮内膜症を発症しており、その中の30~40%程度が不妊症になってしまう可能性があります。まずはそうなる前に、気軽に自分の体のことを相談できる、かかりつけの婦人科を作って欲しいと願っています。
――かかりつけの婦人科はどうやって探せばいいのでしょうか?
岡田先生
 国のがん検診事業で、20歳以上の女性は2年に1回、お住まいの地域で発行されるクーポンで子宮頸がん検診が受けられるので、必ず行って頂きたいです。お住まいの地域にある婦人科のリストを提示されると思いますが、その時は20代の方は女医さんの方が緊張せずに受診できるという人も多いと思いますので、まず女医さんのいる婦人科を調べて選んでみるといいかと思います。また、新日本製薬さんの「おしえて生理痛」というサイトでは、全国の生理痛の悩みに応えてくれる産婦人科が検索できます。都内だけでも42件の登録があるんですよ。「みんなもそうだから」と我慢せず、そういうサイトも利用して、かかりつけ医を探して頂きたいです。
――先ほど、「毎回鎮痛剤が必要であれば受診を」とおっしゃっていましたが、他にも受診の目安、注意した方がいい症状はありますか?
岡田先生
 まず周期は、1回ではなく2~3周期、正常な周期(25日~38日周期)から外れるようであれば、ストレスなどの一過性の原因ではないことが多いので要注意です。血の塊が2~3時間おきに出る人も、子宮筋腫など過多月経原因になる病気の可能性が高いですね。経血の量で言えば、昼間も夜用のナプキンを使って1~2時間で交換しないといけなかったり、ナプキンショーツを履いているような方は受診していただきたいです。特に、20代になってから量が多く変化した方は要注意です。最近事例が多いのは「オリモノ」による異常。排卵日前のオリモノはとろんとした状態になり分泌も増えるのですが、それ以外では2~3時間でうっすら分泌する程度です。それよりも量が多いことを気にし、オリモノシートを日常的につけて、でもこまめに取り換えず、1日つけっぱなしにしている方がいて。そうなると蒸れて雑菌が増え、更にオリモノの量が増えるという悪循環に陥いる。こういった事例を多く見かけます。出血ではないし・・・・・・とたかをくくらず、オリモノの量が多い場合も受診をおすすめします。
――内膜症などは一度なってしまうと治らない、それが不妊の原因になることが多いという事実に驚きました。将来、子供を産みたい女性は、まさにCLASSY.世代の年齢が大事な時期なんですね。
岡田先生
 そうなんです。将来のことを考えて、自分の体に向き合って欲しいと感じています。いざ、妊娠しようと思ったら内膜症があるとわかって、では遅いというときもあります。一方で「自分は毎年人間ドックで子宮頸がん検診を受けているから安心」という方もいますが、実は子宮頸がん検診では超音波での検査はしません。検診を受けることは素晴らしいことですが、超音波を使わないとわからない婦人科系の病気もあるので、それだけでは安心と言えません。
――子宮頸がん検診で安心だと思っていました…。 基礎体温などもつけた方がいいのでしょうか?
岡田先生
 基礎体温を測ることで、ちゃんと排卵できているかがわかります。約14日間続く低温期が排卵をきっかけに約14日の高温期になり生理になって、また低温期に…という、体温が2層になっているのが理想です。排卵しているか、生理がいつ来るかも予想がつくのですが、正しく測ることが重要です。朝起きて、起き上がる前に舌の下にいれて測る必要があるので、興味がある人は枕元に基礎体温計を置いて試してみて下さい。体温が2層にならないのであれば、受診をおすすめしています。
――先生のお話をうかがって、自分の体に対して無知だったと感じる人も多いと思いますCLASSY.世代の読者にむけて何かメッセージをいただけますか。
岡田先生
 仕事が楽しかったり、忙しい時期でつい自分の体のことは後回しにしがちですが、将来のライフプランのためにも、この年代はとても大事な時期です。現時点で子供を産みたいかどうかわからなくても、婦人科系の病気になってしまうと、後から治せないものが多いことをもっと広く知っていただきたいです。この記事を読んで下さった方にはぜひ、1年以内にかかりつけの婦人科を作って、自分に病気が潜んでいないか調べていただければと思います。生理は、子供を妊娠し出産するためにあるものです。その予定がない間は、面倒なこともあるかと思いますが、我慢せず知識を集めて、少しでも快適に過ごせる方法を選択し、病気にならないように過ごしていただきたいです。

――先生は、長年女性の体の不調

撮影/杉本大希 取材・文/味澤彩子 編集/永吉徳子(CLASSY.ONLINE編集室)

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表紙モデル:山本美月

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