今回は、漢字一文字の読みを取り上げます。常用漢字表に含まれない漢字というと、画数も多く、いかにも難しそうな漢字のイメージがあるかもしれませんが、見た目はそうでもないのに何て読むのだろう?という漢字があります。そんなタイプの漢字を集めてみました。いずれも訓読みで読んでみてください。
1.「頁」
最初は、「頁」です。「項」「頂」「頃」など、この「頁」を部首に持つ常用漢字はたくさんあります。この部首名を尋ねると答えられない人が多いのですが、「おおがい」と言います。ところが、漢字「頁」そのものは常用漢字の中にはありません。「ケツ・ヨウ」の音読みがありますが、ほとんどお目にかかりません。ヒントになる例文は、「青春の一頁を開く」でどうでしょう。さて、何と読みますか?
正解は、「頁(ページ)」です。訓読みなのにひらがなではなく、カタカナで「ページ」というのはよく考えてみると、おもしろいですよね。ちなみに、「頁」の音読みの一つ「ヨウ」が、枚数を数える「葉(ヨウ)」の音に通じることから、英語「page(ページ)」を表わす当て字として使われるようになったのです。ですから、「一頁」は「いち・ページ」、「次頁」なら「ジ・ページ」と読んでください。
2.「閂」
次は、「閂」です。部首の「門(もんがまえ)」の漢字の中で、「門(モン)」そのものを除けば最も画数の少ない漢字ですが、こちらも常用漢字の中にはありません。「サン・セン」の音読みを持ちますが、やはりお目にかかりません。ヒントになる例文は、「入口の門の閂を掛ける」でどうでしょう。さて、何と読むでしょうか?
正解は、「閂(かんぬき)」です。「閂」とは、「門や戸を閉める時の横木」のことを言います。なお、相撲(すもう)の技の一つで、「相手の両差(もろざし)の腕を上から抱え込んで締め上げる」のも、この「閂(かんぬき)」です。
3.「釦」
最後は、「釦」です。部首に「金(かねへん)」を持つ漢字は、「鉄」「針」「銀」など、常用漢字外の中に30種類以上もありますが、「釦」はその中に含まれていません。「コウ・ク」の音読みを持ちますが、お目にかからないのは先に紹介した2つと同様です。ヒントになる例文は、「どこかで釦の掛け違えが生じた」でどうでしょう。さて、何て読むでしょうか?
正解は、「釦(ボタン)」です。この「ボタン」は、「タバコ(煙草)」「カルタ(歌留多)」「テンプラ(天婦羅)」などと同じく、「ポルトガル語」由来の言葉です。英語では「button」となります。つまり、日本語となった外国語です。これに「金銀などで器物の口やへりを飾る」という意味を持つ漢字「釦」を当てたわけです。
見た目は簡単そうだけど、ちょっと読めない漢字の特集は、いかがでしたか?では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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