今回は、漢字一文字の読み方を取り上げます。たまに見かけるけれど、どっちだっけ…と迷ってしまう、そんな似ている漢字がありますよね。間違えやすい組み合わせで紹介しますので、両方の読みを考えてみてください。
1.「蜆」と「硯」
最初は「蜆」と「硯」です。どちらも常用漢字外の漢字ですが、訓読みで読んでください。どちらも3文字ですが、どなたも見たことはあるはずです。さて、何と読むでしょうか?
正解は「蜆(しじみ)」と「硯(すずり)」でした。「蜆(しじみ)」は、「川や湖に棲息する二枚貝で食用となる」もので、一般には味噌汁などの料理に使います。「貝」なのに、なぜ「虫へん?」とよく話題になりますが、「虫」自体が、もともと「大きな頭を持っている蛇(へび)」の意味ですから、「虫へん」は、いわゆる「昆虫類」だけではなく、「爬虫類」や「貝類」などの小生物を表わす部首として使います。「蛇」はもちろん、「蛙(かえる)」、「蛤(はまぐり)」などです。生き物ではない「虹」も、「大きな蛇が天地を貫いている」と考えられたことによります。 もう一方の「硯」は、「墨をする道具」です。今はすっかりごぶさたでも、かつての学校の書道の時間を思い出す人も多いことでしょう。
2.「雹」と「霙」
次は「雹」と「霙」です。どちらも常用漢字外の漢字ですが、訓読みで読んでください。三文字ですが、空から降ってきます。さて、何と読むでしょうか?
正解は「雹(ひょう)」と「霙(みぞれ)」でした。
この二つに、もう一つ「霰(あられ)」を加えた三つは、漢字の読み方だけでなく、気象そのものの違いもわかりにくいものだと思います。違いは、「空気中の水蒸気が氷結して降る」もののうち、「霰(あられ)」が「5ミリ未満」、と「雹(ひょう)」は「5ミリ以上」のもの。それに対し、「霙(みぞれ)」は、「空中で溶けかかった雪が雨と混じって降る」ものです。
3.「「厨」と「厠」
最後は、「厨」と「厠」です。どちらも常用漢字外の漢字ですが、訓読みで読めますか?これも三文字ですが、どの家の中にもあるものです。
正解は、「厨(くりや)」と「厠(かわや)」でした。
「厨(くりや)」とは、「食べ物を調理する場所」、つまり「台所」のことです。その由来は、火で煤(すす)けて黒くなった「黒屋」のことと言われます。「厠(かわや)」とは、今の「トイレ」のことで、その由来は、もともとは川の上に設けた「川屋」のこととも、家の脇に建てた「側屋」のこととも言われます。
いかがでしたか?一つだけでも何だろうと考えてしまうのに、似ている漢字が二つ並ぶと、どっちがどっちか、余計にわからなくなるときがありますよね。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「古語林」(大修館書店)
・「漢字源」(角川書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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