常用漢字に含まれる簡単な漢字の訓読みも、送りがなが変わると、ちょっと読めないものがありますよね。その多くは、表外読み」と呼ばれる、常用漢字表には記載のない読み方です。訓読みとは、中国から渡ってきた外国語である漢字を本来の日本語の意味で読んだ、一種の「翻訳読み」です。なので、一見すると読めないものも、漢字の持つ意味をよく考えれば読めることがあります。
1.「潰れる」と「潰える」
「潰れる」は常用漢字表にある訓読みですが、これ自体が難しいですよね。「会社が潰れる」「深酒で酔い潰れる」の「潰(つぶ)れる」です。では、「潰える」はどう読みますか?
例文は「計画失敗で夢が潰える」です。これでわかりますね。「潰(つい)える」と読みます。なお、この「潰」は、音読みも注意の漢字です。漢字の右側に「貴」があるので、「キ」と読んでしまいがちですが、「潰瘍(カイヨウ)」「潰滅(カイメツ)=壊滅」などの熟語でわかるように、音読みは「カイ」です。
2.「萎える」と「萎びる」
「萎(な)える」は「草花が萎える」と使いますね。これは「しおれる」状態を表します。また、「闘志が萎える」とも使えます。この「萎(な)える」は「気力が衰えてぐったりする」状態を表します。では、「萎びる」はどう読みますか?
例文は「冷蔵庫の中の野菜が萎びる」でどうでしょう?これで「萎(しな)びる」と読めるはずです。「水気が失われてしぼむ」という意味ですね。なお、この「萎」は、「萎える」「萎びる」以外にも、「萎む」「萎れる」と使うことがあります。こちらは読めますか? 「萎(しぼ)む」「萎(しお)れる」でした。
3.「解く」と「解れる」
「解く」は、「試験問題を解く」のように使いますが、この場合は、常用漢字表の記載通りに「解(と)く」と読みます。しかし、「靴のひもを解く」だとしたら、「解(ほど)く」と読んだほうがよいですね。これは、「表外読み」です。
「解れる」はどうでしょう。2つの例文を出します。「髪の毛が解れる」と「緊張した気分が解れる」。同じ「解れる」ですが、より文意に合うように読み分けてください。
では、正解です。前者が「解(ほつ)れる」、後者は「解(ほぐ)れる」と読んでください。送りがな同じで、意味も近いこの2つの言葉ですが、「解(ほつ)れる」は、「縫い目・編み目などがほどける。束ねてあるものがほどけて乱れる」という時に、「解(ほぐ)れる」は、「もつれたもの、かたまったものがとけてはなれる。こりかたまったものがやわらいで、おだやかな状態になる」という時にそれぞれ使います。なかなか難しいですね。
では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「もっと1秒で読む漢字」(青春出版社)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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