「況や(いわんや)」「夥しい(おびただしい)」など、何とか読めそうなのに、実は読み方が珍しい漢字は意外と少なくありません。こうした漢字は、普段ひらがなで表記されることが多くありますが、ごくたまに漢字表記されている場合も。そんな時、すらすら読めたら周囲に知的な印象を与えられるはず。この記事では、“簡単そうに見える、読めそうで読めない漢字”をご紹介します。
1.「宿直」
思わず「しゅくちょく」と読んでしまう人が多そうな「宿直」。もちろん「しゅくちょく」とも読みますが、今回はもう1つ、別の読み方を考えてみましょう。
「宿直」のもう1つの読み方には、「宮中や役所に泊まって勤務し、警護にあたること」という意味があります。
そんな「宿直」のもう1つの読み方は……
「とのい」です。
ちなみに「殿居」と書いても「とのい」と読みます。意味も「宿直」と同じで「夜の警備」という意味がありますよ。
2.「希代」
「世にもまれなこと」「めったにないこと」を意味する「希代」。良い意味・悪い意味どちらの場合にも使える言葉です。
おそらく「きだい」と読む人も多くいるでしょう。もちろん「きだい」という読み方も正解ですが、同じ意味で、もう1つ別の読み方があるのをご存じでしょうか?
ポイントは「代」の読み方。「だい」ではないとすれば……?
「きたい」です。
「希代」は「きたい」または「きだい」と読むことができます。ちなみに「稀代」と書いても、読み方も意味も同じですよ。
3.「有体」
「有体」とは「ありのままであること」を意味する言葉です。
「有体」は、単体で用いるよりも「有体に言えば(ありのままに言うと)~」と用いられることが多くあります。この場合、「ゆうたい」「ゆうてい」とは読みませんよ。
「有体」の正しい読み方は……
「ありてい」です。
ちなみに、元々は「有体」と表記されていましたが、現在は「有り体」と書くこともあります。
4.「熱」
「熱」は、普通に読むと「ねつ」ですが、意味が違えば、漢字の読み方も異なるもの。今回は、「高まった感情や関心」という意味を持つ「熱」の読み方を考えていきましょう。
今回の意味で言う「熱」は、たとえば身に覚えのない噂話が広まってしまった時などに「仕方がない。熱がさめるまで待とう」といった使い方をしますよ。何となく、ピンときた人もいるでしょうか?
「熱」のもう1つの読み方は……
「ほとぼり」です。
「熱」を「ねつ」と読むか「ほとぼり」と読むかは、文章によっても異なります。その都度、文脈から判断して読むようにすると良いでしょう。
読めそうで読めない漢字、あなたはいくつわかりましたか? 今回ご紹介した漢字は、普段はひらがなで書かれていることが多いため、たとえ読めなかったとしても、日常で困ることはあまりないかもしれません。
でも、多くの読み方を覚えておくことで、いざという時に迷わず読めたり、話のネタとして使えたりと、便利なことも多いはず。覚えておいて損はないでしょう。
参考文献
現代言語セミナー〔編〕『つい他人に試しくなるもっと読めそうで読めない漢字』角川ソフィア文庫
文/大内千明 画像/Shutterstock(Andrey_Popov、Lyudmyla Kharlamova、WAYHOME studio、Johan Swanepoel)
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