体にいい?悪い?避妊薬?それとも治療薬?認識不足による誤解も多い低容量ピルだけどいつも調子がいい自分でいるための救世主になることも。働く私たちが知っておきたい、「生理のコントロール」としての服用のお話です。
低用量ピルで生理をコントロールすることで仕事のパフォーマンスもQOLも上がります
「低用量ピルは生理前の不調や生理痛の軽減、出血量の減少、子宮内膜症の予防、排卵回数を減らすことで卵巣の損傷を防ぎ卵巣ガンのリスクを下げるなど、女性特有のトラブルを改善する方法の一つとして選択できる薬です。生理の日にも仕事があり、出血や生理痛のせいで集中できず普段なら1時間で終わる作業が3時間かかるなんてことがある場合、経済損失にもつながりかねません。生理によってやりたいこと、やらなければならないことに支障をきたすことがある人にとってピルはメリットが大きいはずです。
海外では避妊目的にピルを使用することで生理痛、月経過多、生理前の不調などをそもそも経験せずに済んでいる人が多数派という国も多い一方、日本で『ピルを飲むことはよくない』という空気が少なからずあるのは、ピルが避妊を目的とした薬として日本で導入されたという歴史と関係があるかもしれません。私はスポーツドクターでもあるのですが、アスリートが試合の日に生理が当たらないようピルを飲むことを家族に許可されないケースも目の当たりにしてきました。これはママブロックとも呼ばれ、世代による認識の差がもたらすもののひとつ。自分たちの時代には選択肢になかった薬を大事な娘に飲ませられない気持ちも理解できますが、時代は進化していることをいろいろな世代の方に知ってほしいと思っています。
ピルの種類が多いのは、エストロゲンと黄体ホルモンの種類の組合せがさまざまなため。ホルモンやピルに詳しい専門医ならその人に合ったピルを提案できるので、HPなどでクリニックの専門領域をチェックしてみて。
今はピルにできることが確立されてきて、上手に使っている人も周りに増えているはず。不安なことはまず友達と話してみると『それなら私も大丈夫かな』というよい循環が生まれると思います。鎮痛剤だけが生理の不調の解決策ではありません。ピルの正しい知識を学んで、選択肢に加えてみて。『知っていて選ばない』のと『知らないから選べない』のはぜんぜん違いますから」
教えてくれたのは…産婦人科医・高尾美穂先生
イーク表参道副院長。「全ての女性により良い明日を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの面から女性の健康に関する専門知識を発信。メディア、SNSでの情報発信のほか著書多数。
撮影/笹本美和〈読者、静物〉 取材/加藤みれい 編集/陣内素実 再構成/Bravoworks,Inc.
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