【北村一輝×明日海りお】はまり役すぎると話題! ミュージカル『王様と私』で共演【スペシャルインタビュー】
’51年にブロードウェイで初演され、それ以来数々の名優により演じ続けられてきた『王様と私』。日生劇場での上演は28年ぶりとなる今回、ミュージカル初出演となる北村一輝さんが王様を、舞台や映像作品で活躍する明日海りおさんがアンナを演じるという豪華すぎるキャスティングが実現! 4月からの上演を前に、おふたりの対談を2回に渡りお届けします。
――『王様と私』は日生劇場では’96年以来、28年ぶりの上演です。北村さんは7年振りの舞台でミュージカル初出演ということですが、オファーがきたときのお気持ちを教えてください。
北村 お引き受けできるか、とても悩みました。最後の最後まで首を縦に振りませんでしたから。悩んだ一つ目の壁は、ミュージカルで歌があるということです。お金を払って観に来てくださった皆さまの前で歌えるレベルに達せられるのかどうか自問していました。歌手出身でミュージカルにいかれる方は、当然、歌が上手く基礎もありますよね。でも僕は仕事で歌に本腰を入れていたことはないですから、とても不安に思いました。二つ目は「ミュージカルの主人公のキャラなのか? 自分は」ということです(笑)。日本だけでなく本場ブロードウェイのミュージカルも好きで昔から観劇していますが、主人公は好青年のような〝いい人〟が多いので。完全に僕のキャラと正反対ですから(笑)。
――いくつも壁がありながらも、オファーを受けることにした理由はなんでしょうか?
北村 たくさんお話しさせていただいたのですが、僕に〝いい人〟キャラを求めてはいないということと(笑)、お芝居の延長線上に歌があるということに納得がいったからです。お話しして思ったのですが、今のミュージカル界でもお芝居と歌をどう自然に近づけるかということはよく話されているそうですね。僕もミュージカルを観た方の感想で「歌が素晴らしかった」とよく聞きますが、お芝居の感想はあまり聞かないなと。一体化されていないことも多いのかな?と。だったら、僕が「お芝居も歌もよかった」と言っていただけるミュージカルを目指したいと思いました。オファーをお引き受けすると決めたときには「できるかな?」という不安よりも、「僕は演技だけでなく、歌もイケますから!」とぶちかますくらいの強気で挑む決心をしました!
――明日海さんはオファーが来たときのお気持ちはいかがでしたか?
明日海 ミュージカル界の王道であるとてもクラシカルな作品ですし、東宝さんで再演されるのはとても久しぶりです。大切な作品だからこそ長い間温められて満を持しての公演だと思いますので、私に務まるのだろうかととても不安でした。
――明日海さんもオファーを受けるのに悩まれたんですね。
明日海 はい、私で大丈夫かと悩みました。でも今回は信頼する小林 香さんが新しく演出して翻訳も訳詞もされるということなので、やってみたいなと思いました。香さんの作る作品が大好きですし、香さんはどんな舞台を作りたいかが明確なのでやっていて楽しいんです。そして、何より王様を北村さんがやってくださるということに心が躍りました! このような大先輩とお芝居させていただけるなんて、と恐縮しておりますが…。
北村 明日海さんはトップスターですから! 僕に恐縮しないでください(笑)!
明日海 トップスターの時代は終わったんです!
北村 ちょっとやめてください(笑)! なんかいいな、その控えめな感じ。僕は強気にぶちかましちゃいましたよ(笑)! もう一度、インタビューを答え直してもいいですか? 控えめキャラで(笑)。
明日海 その強気な感じ、素敵でした! なので、柄にもなくキャラ変します。
北村 それくらいぶちかましましょう(笑)!
明日海 そうですよね(笑)。「歴代の『王様と私』も素敵だけど、今回の『王様と私』は本当に最高!」というものにしたいです!
北村 そうです! 絶対に「楽しかった!」と言っていただける『王様と私』にします!
――お互いの印象を教えていただけますか?
北村 初めてお会いしたのがポスター撮影で、その時に少しお話しをさせていただきました。今回が二回目ですが(※取材は1月)、いい印象しかないですね。元宝塚トップスターとお聞きしたので、バンッとかピリッとしたものがあるのかな?と思っていましたが。とても気さくで、ほわんほわんした柔らかい雰囲気の方でした(笑)。普段と舞台上では雰囲気がガラッと変わられるでしょうけど。そんなところも楽しみですので、一緒に物作りしたい!早くお稽古したい!と思っています。
明日海 この作品のキャスティングが決まってから、いろんな現場で「北村さんとやるんだって?!」と皆から声をかけられるんです。
北村 なに、それ(笑)。どんな含みがあるの?
明日海 「まだお会いしてないんです」と言うと、皆さん「北村さん、すごいからね!」とおっしゃるんです。演出の香さんをはじめ、制作チームの皆さんがおっしゃっていました。「何がすごいんだろう?!」と脅えていたのですが(笑)、「お会いしてなるほど、これか!」と思いました。
北村 「なるほど、これか!」は何(笑)?
明日海 エネルギッシュさ!! 波動が強いです。「自分はこうしたいんだ!」という意志を感じます。でも、優しさがベースにあるのでその熱さについていきたいと思いますし、心地いいんです。それを皆が「すごいよ!」とおっしゃっていたんだと思いました。
北村 仕事に関わることには熱くなりがちですが、普段はぼえーっとしていますよ(笑)。普段も熱かったら、周りだけでなく自分も疲れちゃうから。
明日海 ギャップがあるんですね(笑)! ぼえーっとしている姿も楽しみです。
北村 たくさんお見せできると思います(笑)!
――今回の舞台を楽しみにされている皆さまへメッセージをお願いいたします。
北村 考えちゃうな。「面白いです!頑張ります!」は当たり前で…。今回は、その上を越えたい!と思っていますから、なんて伝えたらいいのかな。ミュージカル初の僕と舞台に秀でた明日海さんだからこそ作れる『王様と私』になると思います。心も体も歌も最高なものに仕上げますので、是非観にいらしてください。
明日海 北村さんと私とで、どんなケミストリーが生まれるか私自身がとても楽しみです。お客さまには、いつもテレビや映画などの映像の場で活躍されている北村さんや他のキャストと、舞台という同じ空間で今を一緒に生きることを楽しんでいただきたいです。
ミュージカル『王様と私』
『Shall We Dance?』など誰もが知る名曲を生み、日本でも数々の名優によって演じられてきた『王様と私』が28年ぶりに日生劇場で上演。【音楽】リチャード・ロジャース【脚本・歌詞】オスカー・ハマースタインⅡ【翻訳・訳詞・演出】小林 香【振付】エミリー・モルトビー【出演】北村一輝 明日海りお 朝月希和 竹内將人 木村花代 中河内雅貴 今 拓哉 小西遼生ほか【東京公演】4月9日(火)~4月30日(火) 日生劇場【大阪公演】5月4日(土)~5月8日(水) 梅田芸術劇場メインホール
北村一輝
大阪府出身 ‘90年に俳優デビュー。99年に映画『皆月』『日本黒社会 LEY LINES』でキネマ旬報報新人俳優賞を受賞し注目を集める。以降、数多くの映画・ドラマに出演し強烈な個性と存在感を放っている。代表舞台作、近年の作品として、舞台『黴菌』『大逆走』『欲望という名の電車』、映画『沈黙のパレード』『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと』『身代わり忠臣蔵』『カラオケ行こ!』、ドラマ『テッパチ!』『波よ聞いてくれ』『コタツがない家』など。出演映画が『ゴールド・ボーイ』が3月、『陰陽師0』が4月に公開。
明日海りお
静岡県出身 ‘03 年に宝塚歌劇団に入団、’14年に花組トップスターに就任し絶大な人気を誇る。’19年に退団。退団後は舞台に加えて活躍の場を映像にも広げ、幅広い役柄を演じている。近年の主な出演作は舞台『ポーの一族』『マドモアゼル・モーツァルト』『ガイズ&ドールズ』『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』『精霊の守り人』、ドラマ『おちょやん』『コントが始まる』『DCU~手錠を持ったダイバー~』『大病院占拠』『下剋上球児』など。現在放送中のドラマ『グレイトギフト』『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』が放送に出演中。
<北村さん着用衣装>セットアップ(アミ/アミ パリス ジャパン 03-3470-0505)その他/スタイリスト私物
<明日海さん着用衣装>ベスト¥49,500スカート¥69,300(ともにウジョー/エム 03-6721-0406)イヤカフ(右耳)¥24,200(左耳)¥17,600リング¥29,700(すべてブランイリス/ブランイリス トーキョー 03-6434-0210)その他/スタイリスト私物
撮影/木村 敦(Ajoite) ヘアメーク/松本幸子<北村さん>、中村未幸<明日海さん> スタイリング/櫻井賢之(casico)<北村さん>、大沼こずえ(eleven.)<明日海さん> 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)