【向井理さんスペシャルインタビュー】大好評のドラマ『パリピ孔明』に続き、主演舞台『リムジン』に出演!

放送中の主演ドラマ『パリピ孔明』が大好評の向井 理さん。11月に幕を開ける舞台『リムジン』で主演を務める向井さんへのスペシャルインタビューを2回にわたりお届けします。インタビュー前編では、緊迫感あふれる人間ドラマという今回の舞台のお話をメインに伺いました。

――小さな田舎町を舞台にした〝

――小さな田舎町を舞台にした〝嘘が嘘を呼ぶ、心理サスペンス〟という今作。台本を読んだときの印象はいかがでしたか?
表現するのが難しいと思いました。明確な敵がいるようなわかりやすい構図ではないので、観ている人にとっては何が起きているのか、わかりづらいかもしれない。何かが爆発するわけでもないし、誰かが人を刺すわけでもないし、誤射という事件はあったとしてもかすり傷程度だったりするし…。演じるのが難しいというより、伝えるのが難しい舞台になると思います。登場人物が自分の悩みを吐露するわけでもないから、「この人達は何を考えているんだろう」ってことも人間関係も表情やリアクションで見せていくしかない。台本にあるのは文字だけなので、空気感を出すのが難しいんじゃないかな。

――向井さんが演じるのは親から受け継いだ小さな工場を営む男・康人。自己保身のためについた一つの嘘が嘘を呼び、追い詰められますが、どんなキャラクターでしょうか?
どこにでもいる人ですね。〝普通の人〟の役が難しいってよく言われますけど、本当にそのとおりで。特徴のない人って日常生活でも記憶に残りづらいと思うんですけど、それを何百人のお客さんの前で演じるのはなかなかハードルが高いことだなと。悪い人でもないし、かといって嘘をつくのは悪い人かっていうとそういうわけでもないし、こっちでもない、あっちでもない役って難しい。悪役みたいに振り切ったほうが全然ラクですね。

――そんな〝普通の人〟をどう演じようと思っていますか?
何を見せるのかっていう具体的な型がないので、どう演じるかっていうと、とにかく生々しくやるしかない。極端な言い方をすると、エチュード(即興劇)をやっているように見えるくらい生々しくやるしかないのかな。外しちゃいけないポイントはありますが、基本的には、記憶に残らないような会話のなかでキャラクターが見えてくるのが一番理想的かなと思ってます。

――一つの〝嘘〟から始まる恐怖

――一つの〝嘘〟から始まる恐怖を描いた作品。向井さんご自身は〝嘘〟について、どんな思いがありますか?
嘘はなるべくつかないようにしてますけどね。子供の頃、さんざん嘘をついて失敗してますから(笑)。噓がばれたとき、正直に言った時より大変なことになりますし。ついていい嘘と悪い嘘ってあると思いますけど、なるべく人と接する時には嘘のないように。子供の嘘は、まだ子供だからしょうがないって一言で片づけられることってたくさんあると思うんですけど、大人になると守らなきゃいけないものや手に入れたいものがあって、経済的な要因も出てくるのでタチが悪い(苦笑)。いろんなことを見ていると、正直に生きていたほうが傷はつくけどまだ浅いと思います。

――今作では康人の妻を演じる水川あさみさんをはじめ、小松和重さん、青木さやかさん、田口トモロヲさんなど個性豊かな共演者が揃いました。どんなカンパニーになりそうですか?
水川さんは明るくて関西人特有のノリもありますし、ムードメーカーになっていくんじゃないかなって想像しますし、小松さん、トモロヲさんなど面白い人たちが集まったなと(笑)。ピリピリした現場には絶対ならないだろうなって思います。現場ではトモロヲさんがどしっと構えてくれると思いますし、小松さんと青木さんでわちゃわちゃしてくれそうですし、同じタイプの人がいないバラエティに富んだキャストだなって思いますね(笑)。

――その中で、座長の向井さんはどんな居方になりそうですか?
僕は皆さんを俯瞰して見てる感じになると思いますけど(苦笑)。水川さんにすごく頼るところもトモロヲさんに頼るところもたくさんあるでしょうけど…。自分が座長ということはあまり考えてないですね。みんなで作り上げるものですし。主演といっても年齢的には7人のなかで真ん中くらいだし、主演だから頑張らなきゃって思ったこともあんまりないですし(苦笑)。『リムジン』という作品全体を通して、どう受け取るかは観た人それぞれでいいと思うし、人によってとらえ方が全然違う作品になればと思っているので、そこで目立つつもりもないですね。

――映像作品での活躍で多忙なス

――映像作品での活躍で多忙なスケジュールのなか、最近は年1本ペースで舞台にも出演しています。向井さんにとって、舞台のお仕事はどんなものですか?
部活みたいな感じなんですよね。稽古場で練習を重ねて、台詞はもちろん動きも練習して、いざ本番で皆さんに披露するっていう感じが部活のようで。土臭さっていうのかな。スマートにやっていくんじゃなくて、ディスカッションしたりいっぱい失敗もしたり、泥臭さみたいなものがある感じ。中学高校、大学とサッカーをしていて、チームメイトと練習して試合に臨んでいたから懐かしいというか。劇団☆新感線の作品に出たときも、橋本じゅんさんが「稽古は部活で、本番は試合だ!」って言ってましたけど、まさにそうだなと思いました。映像作品だと自分で考えたことを現場でやるという孤独な作業がどうしても多くなるんですけど、舞台はみんなで作り上げていく感じがわかりやすくあって、物作りしてるなって感覚が強いので。今作は地方公演もありますし、座組としていろんな所に行くっていうのも楽しみです。

――今回の『リムジン』がどんな作品になればいいなと思っていらっしゃいますか?
まず満席になればいいんですけど(笑)。あとは…賛否両論あるのがいいのかなと思いますね。みんなが手放しで「最高!」っていうのはちょっと違うと思うんです。今回はそういう作品じゃないと思うし「すごく楽しかったです!」っていうんじゃないとも思うけど、何か引っかかりのある作品になればいいなと。比較することじゃないかもしれないけど、前出演作の『ハリーポッターと呪いの子』と今回の会話劇では全然違うものですし、バンバン魔法が出てくる『ハリーポッターと呪いの子』もあれはあれで引っかかるものがあったと思うけど、今作ではまったく違う引っかかりを感じてもらえればいいなと思います。

――‘20年にコロナ禍で全公演

――‘20年にコロナ禍で全公演の中止が発表され、3年を経て上演が叶ったという今作。作・演出の倉持 裕さんは「この3年で『ささやか』で『些細』なものが再評価された今こそ、発表するのが楽しみ」とコメントしています。 向井さんご自身が幸せや喜びを感じる「ささやか」で「些細」なことは何でしょう?
仕事終わりのビール。20年くらい変わってない気がします(笑)。仕事から帰ってきてプライベートに戻る瞬間の切り替えにもなりますし。日々のことなので本当に「ささやか」ですけど、そうしていられる自分も幸せだなあと思います。仕事もなんとなくあるし飲むお金もあるし(笑)、それだけでも幸せだなあと思いますね(笑)。

向井 理
‘82年2月7日生まれ 神奈川県出身 血液型 O型●’06年、俳優デビュー。’10年、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でヒロインの夫を演じ一躍注目を集める。以降、数多くのドラマや映画、舞台に出演。最近の主な出演作はドラマ『先生のおとりよせ』『警部補ダイマジン』、映画『イチケイのカラス』、舞台『狐晴明九尾狩』『ハリー・ポッターと呪いの子』など。主演ドラマ『パリピ孔明』(フジテレビ系)が放送中。


M&Oplaysプロデュース『リムジン』

主人公の男が自己保身のためについた一つの嘘が次の嘘を呼び、逃げ場のないところまで追い詰められていく恐怖をブラックな笑いを交えて描く心理サスペンス。主人公を向井 理、その妻を水川あさみが演じる。作・演出/倉持裕 他の出演/小松和重 青木さやか 宍戸美和公 田村健太郎 田口トモロヲ●11月3日(金)~11月26日(日)東京・本多劇場にて上演。東京公演後は富山、愛知、熊本、福岡、広島、大阪と全国へ巡演。https://mo-plays.com/limousine2023/

撮影/平井敬冶 ヘアメーク/宮田靖士(サイモン) スタイリング/外山由香里 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

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表紙モデル:今田美桜

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