「大人が恋愛で自分の意見を伝える方法」をプロに聞いてみたら…【付き合う気があるのかはっきりさせたい】

仕事では自分の意見をきちんと伝えられるのに、恋愛だとつい受け身になってしまったりNOと言えずにモヤモヤしたりする…。そんな関係は長い目で見ると、損かもしれません。少し勇気はいるけれど相手に想いを伝える方法、コミュニケーションの専門家に聞いてきました。

<CASE>付き合う前

友人を交えての複数人での食事会で出会った彼。その後ふたりで3、4回食事に行ったり、毎日連絡をとったりとお互いに好意があるのは認識していたはず。けれど彼の仕事が忙しい時期に入り、連絡の頻度や会う頻度がかなり減るように。私からの誘いや連絡が彼の負担になるのも嫌で連絡するのを少し控えたりもしたけれど、このままよくわからない関係でいるのも辛い。好きだけど仕事が忙しくて今は恋愛モードから離れてしまったのか、全く気がないのか。彼の気持ちを聞きたい。(Y.Kさん)

「大人が恋愛で自分の意見を伝える方法」をプロに聞いてみたら…【付き合う気があるのかはっきりさせたい】

駆け引きや回り道せず自分の気持ちを率直に伝えることが大切

「付き合う前の微妙な時期にふたりの関係性について切り出すのは緊張しますが、『思い切って質問してもいい?』とダイレクトに聞くのが最善。怖いからと予防線を張ったり、駆け引きをすると疲れてしまうし、それがふたりのやり方として定着すると将来的に苦しい状況に陥ってしまいます。

最初の段階で、飾らず、濁さず、ごまかさずに率直に聞き合える関係を築いておくと、その先のコミュニケーションにも役立ちます。率直に聞くと、『自分がすがっているようで嫌』と考える人もいると思います。覚えておいて欲しいのは、〝自分と相手の間に優劣はなく、人間としての価値は一緒〟ということ。探ったり疑ったりすると、どうしても相手より下になってしまうから要注意です。

令和になったとはいえ、未だに女性は男性の付属物という認識がゼロになった訳ではないから、恋愛の場面でも思いがけず下に見られることもあるかもしれません。だからこそ、対等なスタンスを貫いて、凛と背筋を伸ばして接することは大事。お互いを尊重し合いながら、横並びでフラットに聞く。相手を誘うときも『食事に行きませんか?』とか『連絡先を教えて』と、上からでも下からでもなく、堂々と単刀直入に。そしてもし、よくない返事だったとしても、感情的にならず、自分の正直な気持ちを伝えましょう。それが結果、自己肯定感につながっていくと思います」

会話例はこちら

彼女:〇〇くん、今ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?

彼氏:いいよ。

彼女:めっちゃ言いづらいんだけど(言いづらい宣言)、〇〇くんは私と付き合う気ってあるかな?(ズバリ単刀直入に)

彼氏:え?どうしたの突然…。

彼女:ごめん、突然でびっくりしたよね(理解を示す)。実はさ、このまま気持ち高めていっていいのか、それともフェードアウトしたほうがいいのかよくわからなくて…。この状態が続くのは私も辛いんだよね(私を主語にする、素直な気持ちの言葉)。だから、付き合う気があるのかないのか、率直なところを教えてもらえないかな(「率直」や「ぶっちゃけ」など枕詞をつけて相手が答えやすいように促す)

\いい返事の場合/
彼氏:いや、俺はもうそろそろ付き合い始める感じかなって思ってたんだよね。わかりにくかったかな…。

彼女:ホント?嬉しい!勇気を出して聞いてみてよかった!言いにくい話なのに、ありがとう!じゃあ、これからもよろしくお願いします!

\悪い返事の場合/
彼氏:俺は、ぶっちゃけ、いい友達になれるかなって思ってたんだよね。

彼女:そうか、友達かぁ…(オウム返しする)。それは残念だな…(正直な気持ちを伝える。気持ちを伝えられたことがのちの自己肯定感につながる。何も言えないとしこりとして残りやすい)。うん、わかった、残念だけど仕方ないね。でも早めにわかってよかったよ。教えてくれてありがとう(肯定的に終わらせる)

互いの意見を尊重し伝え合う〝アサーティブコミュニケーション〟

1950年代にアメリカで生まれた〝アサーティブコミュニケーション〟が恋愛においての意思疎通にも役立ちます。まずは相手に何かをわかってもらおうとする前に、自分の希望を整理しておくことが重要。自分のモヤモヤを他人に察してもらうのは至難の業。何がイエスで何がノーなのか、自分の中で明確にした上で、相手とコミュニケーションを取りましょう。その際に心掛けておきたいのは「自分にも相手にも自由な意見を持つ権利がある」こと。女性が性に関する悩みを話しにくいように、男性側も「男はこうあるべき」という概念にとらわれて、口にしにくい悩みを抱えています。相手だけ、自分だけに求めるのではなく、ふたりで着地点を探る。グローバルなマインドにアップデートして、主体的に動くことがウェルビーイングにつながるはずです。

教えてくれたのは...

◼︎鈴木早苗さん(実践女子短期

◼︎鈴木早苗さん(実践女子短期大学日本語コミュニケーション学科非常勤講師)
自分も相手も大切にするアサーティブ・コミュニケーションの講師歴19年。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラーの資格も有し、自身の不妊治療経験をもとに、2017年、ブログ「心が軽くなる不妊治療中のコミュニケーション」を開設。著書に『不妊治療成功のカギ!夫婦の妊コミBOOK 心・体・お金のダメージを解消する』(河出書房新社)。

\CLASSY.世代 新人ライター/
【篠田の編集後記】
自分本位ではなく思いやりのある言葉で、はっきりと気持ちを伝えることが大切だと感じました。全く同じ価値観の人などいないもの。我慢したり駆け引きすることなく、大切な相手こそお互いの価値観を尊重し、素直に向き合える関係を築きたいと思えるようになりました。

イラスト/kame 取材/坂本結香、篠田夏帆 再構成/Bravoworks.Inc

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表紙モデル:山本美月

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