【アラサー世代の多様化するリアルな働き方】ケニアからバラを輸入…カーボンオフセットにも取り組む

働き方が多様化して、起業も以前より身近な選択肢に。なかでも一緒に働く人や社会、世界や地球の未来をよりよくするための事業を起ち上げた、〝ウェルビーイングな起業〟に注目が集まっています。社会問題の解決に取り組む女性のストーリーをお届けします。

萩生田 愛さん(AFRIKA ROSE創業者)

ケニアからバラを輸入。カーボンオフセットにも取り組む

「広尾店はクラウドファンディン

「広尾店はクラウドファンディングを募り、応援してくれる方々と一緒に内装を仕上げるなど一緒に作り上げました」。バラ1本につき5円の寄付を募り、輸送で発生するカーボンオフセットも実施。

萩生田 愛さん
’81年東京都生まれ。大学卒業後、大手製薬会社勤務を経てʼ11年にボランティアでケニアに渡航。’12年にケニアからのバラの輸入、オンライン販売を開始。’15年に広尾に路面店を、’19年に六本木ヒルズ内に店舗を出店。

「リジェネラティブ」が新たなライフワークになっています

起業したのは、ケニアで出会ったバラの美しさや力強さに心から魅了され「このバラの可能性や魅力を一人でも多くの方に知ってもらいたい」という思いから。ビジネスとして成功させたいというより、「すごいバラを見つけた!」という右脳的な気持ちからでした。フェアトレードのケニアのバラを日本に届けると決めてから、一人でケニアに行ったり市場調査で花屋を回ったり、当時の会社の上司や先輩でビジネススクールを卒業した方々に事業について相談しました。最初の輸入は母が手伝ってくれ、成田空港まで車でバラを受け取りに。夜中に2500本のバラが届いた最初の感動を母と共有しました。
創業から無我夢中でやってきたのですが、出産を機に働き方について考え直すようになりました。スタッフは私を休ませてくれようとしたものの、産後1週間で戻らざるを得なくなってしまって。一人一人がウェルビーイングで働きやすい組織を意識して育ててきたつもりでしたが、自分が抜けると会社が機能しないことがわかり辛かったですね。命の次に大事にしていた仕事が子どもとの幸せな時間を邪魔するものに思えてくるほど追い詰められてしまったことも。
そこから専門家に経営に参加してもらい、2年かけて自立分散型組織に移行。同時に、今までは自分のテーマとして貧困解決、社会貢献、国際貢献に取り組んできましたが、次のテーマとして、今ある状態をよりよくして次世代に引き継いでいこうという「リジェネラティブ」という考え方に行き着き、それをいち早く実践している北欧で、人々のライフスタイルや社会制度を学びたいと思い、デンマークに4カ月間留学しました。
留学先ではサステナビリティを専攻、滞在中に「スローフラワー」という考え方にも出会い、自分の心も穏やかさを取り戻しました。自分が4カ月抜けても組織が回ったので、帰国後に代表を辞任。今は絵本のプロジェクトや今年起ち上げたスローフラワー協会の活動に力を注いでいます。スローフラワーは環境に配慮した季節の花を地産地消で楽しむという考え方。全国の耕作放棄地を活用して花を育てたり、土の中の微生物の多様性を増やし地球を再生する活動をしています。百年後、千年後、何が残るんだろうと考えた時、最終的に残るのは「人々が豊かで希望にあふれていてほしい」「すべての人、植物、動物がありのままで自分らしく輝いてほしい」というピュアな祈りなのかなと思っています。大きな目的、目標がなくても目の前の小さなこと一つ一つに祈りを込めて大切にしていきたいと思って仕事をしています。

アフリカでのボランティアが起業のきっかけに

店頭での接客や子どもたちとの絵本作りも

\ウェルビーイングな起業を目指す人へのアドバイス/
「無理をせずいやなこともせず、楽しいを追求して」
「自分のしたくないことや無理はウェルビーイングにつながりませんよね?まずは楽しいことだけしてみる。結果的に仕事になればいいし、ならなくてもいいくらいのスタンスで」

\ウェルビーイングな仕事の魅力は?/
「自分の喜びが結果として周りや地球のためになる」
「自分の得意なこと、喜びで始めたことを心を込めて突き詰めていった結果、それが巡り巡って周りの人や地球のためになるという、いい循環が作れると思います」

撮影/木村 敦 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc

Magazine

最新号 202411月号

9月28日発売/
表紙モデル:今田美桜

Pickup