【漢字】「齷齪=おくそく」は間違い!実は意外に読めない漢字3選

さて、今回のCLASSY.ON

さて、今回のCLASSY.ONLINEでは漢字そのものの画数が多く、いかにも難しそうであるけれど、実はよく使っている言葉を出題します。

1.「憂鬱」

まずは、常用漢字の範囲内から。

まずは、常用漢字の範囲内から。問題文は「何かと雑事が多く、憂鬱になる」。この「憂鬱」は何と読むでしょうか?

常用漢字2,136字の中で最も画数の多い漢字は、「鬱」で29画になります。この字は最初の常用漢字制定時(1981年)には入っていなかったので、「憂うつ」と表記されることも多くありました。これが2011年の改定で追加となり、晴れて「憂鬱」と書けるようになったわけです。この字を含む熟語には、「鬱憤」「鬱蒼」「躁鬱」などがありますが、やはりよく使われるのはこの「憂鬱」でしょう。「気持ちがふさいで、晴れ晴れとしないこと」の意味で、「ユウウツ」と読みます。
なお、この「憂鬱」の読み方には落とし穴があって、「ユウツ」と読んでしまった方もいるのではないでしょうか。話し言葉の発音としては、「う」が重なるので、つまって「ユウツ」になりがちですが、「憂(ユウ)」+「鬱(ウツ)」ですから、やはり正解は、「ユウウツ」です。「唯一(ユイイツ)」という言葉、「ユイツ」の本来誤りである読みが市民権を得つつあります(辞書の見出しにあったり、パソコンで変換可能だったりするようになりました)が、こちらはそこまでいっていないと思われます。

2.「顰蹙」

次は、どちらも常用漢字外の漢字

次は、どちらも常用漢字外の漢字を使った熟語です。ただし、言葉としてはよく使っていると思います。問題文は「会議で問題発言をしてしまい、周囲の顰蹙を買った」。この「顰蹙」は何と読むでしょうか?

苦しまぎれに「ヒソク」とか読んだ方もいるのではないでしょうか? 正解は「ヒンシュク」でした。では、漢字の説明から。「顰(24画)」は「しかめる・ひそめる」と訓読みすることからわかるように、「眉(まゆ)に皺(しわ)をよせる」という意味の漢字で、「蹙(18画)」もほぼ同様の意味を持ちます。この例文のように、「顰蹙を買う」の形で使われることが多く、「人が眉をひそめるような言動をして、嫌われ軽蔑される」という意味になります。
なお、「顰(ひそみ)に倣(なら)う」という慣用句を、学生時代に習った記憶はありませんか? 「顰」は「顰蹙」と同じく、「眉に皺を寄せる」こと。こちらは、「古代中国の美女が病気で苦しんで顔をしかめたところ、それを美しいと思った他の女たちが真似(まね)をした」ことから、「良し悪しを考えずに人の真似をする」という意味で使われます。

3.「齷齪」

最後も、常用漢字外の漢字を使っ

最後も、常用漢字外の漢字を使った「今年は、連休中も齷齪と働き続けた」。この「齷齪」は何と読むでしょうか?

こちらも「オクソク」とか読んだ方がいるでしょうか? 正解は「アクセク」でした。「齷(24画)」も「齪(22画)」も、部首は「歯」であることからわかるように、もともと「歯並びが細かい」様子のことですが、ここから転じて「事が細かくて狭い・せかせかする」の意味を表すようになりました。
なお、読み方も、もともとの音は「アクサク」でしたが、これが現行の「アクセク」に変化したと考えられています。

落ち着きを見せ始めた今年のゴールデンウイークは、多くの行楽地でたくさんの人出があったことが、ニュースで報じられました。このゴールデンウイークという言葉は、昭和の時代に多くの観客を当て込んだ映画界が生み出したと言われている和製英語ですが、それから約半世紀、浸透して一般化した言葉となり、今や辞書にも乗る言葉です。しかしながら、「ゴールデンウイーク」を使わずに「大型連休」とする放送局もあるということをご存じでしたか? では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)
・「100ページでテッパンの漢字力」(青春出版社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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