働き方の多様化、副業や兼業の促進化を経て、フリーランスに転身する人が増えています。フリーで働くためにはどんな準備が必要?どうやって仕事を獲得しているの?事情に詳しい識者と、当事者たちに話を聞きました。
準備、お金、確定申告…フリーランス志望によくある悩みに、さんきゅう倉田さんが答えます
相談者Aさん(翻訳家志望)
現在は教育関連企業の会社員。帰国子女でバイリンガル。英語力を生かせる翻訳の仕事がしたくて今年中に独立予定。
相談者Bさん(ジュエリーデザイナー志望)
現在はNPO団体職員。子供の頃からの夢だった自分のジュエリーブランドを持つため資金数百万円を捻出中。
さんきゅう倉田さん(お笑い芸人・ファイナンシャルプランナー)
元国税職員。Twitterで発信される税やお金の話がわかりやすいと話題に。お金に関する講演会、執筆を行う。またこの3月に東京大学に合格。著書最新刊『フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』(あさ出版)が発売中。
Aさん:もし独立することになったら仕事をお願いする、と言ってくれている相手はいるのですが、フリーランスになるためのお金の知識がまったくなく、何から準備をしていいのかわからなくて…。
倉田さん:みなさん最初はそう言いますが、お金にまつわる雑務は実際に自分でやってみると覚えていくので「すべてわかっていないとフリーになれない」なんて思わなくて大丈夫です。僕も請求書の作り方すらわかりませんでしたが、やっていくうちに自然にできるようになっていました。それに、どうしてもお金や税金関係の処理ができないとなったら、お金を払えば専門の人が助けてくれます。それよりも、仕事の当て=売り上げの見込みがすでにあるという状態がとてもいいですよね。誰もがそこに一番苦労するので、当てがあるのならもう仕事をはじめてしまえばいいんじゃないでしょうか。
Bさん:私はまだいつ勤務先を辞めるべきか悩んでいて…。今は自分のジュエリーブランドを立ち上げようと、資金を貯めているところです。
倉田さん:これはフリーランス志望の方みなさんにお伝えしているのですが、会社を辞めるのはいつでもできるので、まずは副業でやってみたらどうですか?ただ副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要で、住民税の金額が変わり勤務先にも通知されるので、副業がNGな場合は注意が必要です。
フリーランスになる前/後に準備しておくべきこと
3カ月分の生活費を貯金しておく
「これは会社員・フリーランス関係なく、貯金は生活費の3カ月分はあると安心だと言われています。不測の事態が起きたとき、体調を崩すなどで収入が途絶えたときに、3カ月分あれば何かに備えられたり次の準備ができます」
銀行口座を3つに分け貯蓄しやすいシステムに
「売上入金用、生活費用、貯蓄用と分けるとよいです。仕事の支出と生活費が混ざり合うといいことがありません。また貯蓄用の口座のお金は絶対に使わないと心に決め、生活費3カ月分を超えた分のお金は投資に回すことも検討を」
フリーランス仲間を作り、困ったときに頼れるように
「同業者とつながっていれば誰かにとっての苦手な仕事、スケジュールの問題で本人が受けられなかった仕事を振ってもらえたり、自分も同じ状況になったときに仕事を誰かに紹介することが可能です。お金の悩みも相談できます」
フリーランスで活躍しているCLASSY.世代の実例が知りたい!
【Aさん(38歳)の場合…】
職種:社労士(独立3年目)
独立前は?:東京で金融関連会社の営業
独立後3年目の年収:会社員時代の1/2
【独立前に準備しておいたこと】
・2年分の生活費&通信講座受講のための貯金
・経営者仲間のコミュニティ作り
【Bさん(33歳)の場合…】
職種:バリスタ(独立1年目)
独立前は?:大阪でアパレル関連会社のショップスタッフ
独立後3年目の年収:会社員時代の1/2
【独立前に準備しておいたこと】
・カフェオープンのための開店資金
・同業者やイベント関連業の人とのコミュニティ作り
【Cさん(37歳)の場合…】
職種:広告プランナー(独立11年目)
独立前は?:東京で広告代理店の企画職
独立後3年目の年収:会社員時代の2/3
【独立前に準備しておいたこと】
独立後すぐに仕事が獲れるよう、退職1年前から周りに独立宣言をしていた
イラスト/Erika Skelton 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc