「読めそうで読めない熟語」ってありますよね。漢字自体は常用漢字(2,136字)の範囲内で普通によく見る漢字二字を使った熟語だけど、そのままの音読みでは読めない言葉があります。数回にわたって、そんな言葉を集めてみようと思います。
1.「間尺」
まずは、やさしいところから。問題文はこちらです。
「こんな仕事は間尺に合わない」。この「間尺」は何と読むでしょうか?
正解は、「マシャク」でした。この言葉は、熟語をそのまま音読みで読むのではなく、「間」を訓読み「ま」と読み、「尺」を音読み「シャク」と読む、いわゆる「湯桶(ユトウ)読み」です。
「カンジャク」と読んだ方もいらっしゃるかと思います。たしかに、「種まきや検地のなどの時、間隔を計るために一間(約1.8m)ごとに印を付けた縄」のことを「間尺(カンジャク)」と言いますが、この問題文のように、慣用句「間尺に合わない」の形で使われた時は、「割に合わない。損になる」の意味になり、「マシャク」と読みます。なお、「マジャク」と濁って読みがちですが、これも間違いです。
2.「帯封」
次は、ちょっと難しくなります。問題文はこちらです。
「新聞に帯封をする」。この「帯封」は何と読むでしょうか?
正解は、「オビフウ」でした。この言葉も前問と同じく「帯」を訓読み「おび」と読み、「封」を音読み「フウ」と読む、「湯桶読み」です。
ところで、この「帯封」で何を「封」しますか? もともと「新聞や雑誌を郵送する時、宛名を書いた紙を中央で帯のように巻いて封をする」する時に使う言葉ですが、「札束(お金)」にも使いますので、そちらをイメージした方のほうが多いのではないでしょうか
3.「肉刺」
最後は、今回一番の難問です。問題文はこちらです。
「足の裏に肉刺ができる」。この「肉刺」は何と読むでしょうか?
「足の裏に」がなければ、焼肉屋さんのメニューにありそうな熟語ですね。正解は、「こすれて手足などにできる水ぶくれ」、つまり「マメ」でした。こちらは前問の二つとは違い、本来の漢字の持つ「音」「訓」の読みは無視して意味を優先させた、いわゆる「当て字」になります。
では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「当て字・当て読み漢字表現辞典」(角川書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)
・「読めそうでギリギリ読めない漢字」(河出書房新社)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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