【漢字】「馴致=くんち」は間違い! 実は読めない漢字3選

例年になく寒い冬でしたが、ようやく春めいてきて、各地から桜の開花宣言が聞こえてくる頃となりました。春、そして桜というと、競馬ファンの方にとっては、「クラシックレース」をはじめとした春のG1レースの開幕に、胸躍らせているのではないでしょうか。その競馬にも、いわゆる専門用語があります。
普段から競馬を楽しむ人には当たり前のように読める漢字であっても、なじみのない方には意外と読めないものです。というわけで、このコーナーでは2回目となる「競馬難読語」の特集です。では、始めましょう。

1.「桜花賞」

冒頭で「クラシックレース」と紹

冒頭で「クラシックレース」と紹介しましたが、これは「桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞」の総称で、3歳馬(馬たちは前年の2歳から競馬場のレースに登場できます)のみが出走できるという格式の高いビッグレースで、競馬先進国であるイギリスの体系にならって創設されました。このうち、最初に行われるのが「桜花賞」です。まさに今の季節にぴったりの名前ですね。さて、何と読むでしょうか?

正解は「オウカショウ」でした。今年の「桜花賞」は、4月10日に「阪神競馬場(兵庫県宝塚市)」の芝1600メートルで開催されますが、3歳牝馬(ヒンバ)の「乙女」たちが一生に1回だけ出走できる、まさに「華のある」レース。馬券のことは忘れて(?)応援したいレースの一つです。

2.「蹄」

競馬用語には、常用漢字に含まれ

競馬用語には、常用漢字に含まれない難読漢字も多いのですが、そのうちの一つ「蹄」です。「足偏(あしへん)」の漢字ですから、「足」に関係するのは想像できますね。さて、何と読みますか?

正解は「ひづめ」でした。「蹄」とは、足の「爪(つめ)」のこと。馬の蹄は、人間で言えば中指1本にあたり、競馬で走る馬たちは、これで約500キロの体重を支え、全力疾走するわけです。なお、「蹄」を保護するために装着するのが、鉄製(またはアルミ合金製)の「蹄鉄(テイテツ/※音読みはテイ」です。これは人間で言えば「靴」にあたります。ちなみに、北海道には日本百名山にも選ばれている「羊蹄山(ヨウテイザン)」という名峰がありますが、その山名は、「羊の蹄」とは直接の関係(山容が似ているとか)がないようです。

3.「馴致」

最後は、「馴致」です。この「馴

最後は、「馴致」です。この「馴致」は、「なれさせること。なれさせて次第にある状態に近づけること」という意味の言葉ですので、競馬専門の用語というわけではなく、競馬以外、たとえば人間の世界でも使える言葉ですが、やはり「馬偏(うまへん)」の漢字でもあり、もともとは「馬が人になれる」意味の漢字ですから、「馬を乗りならして競走馬としてレースに出走できるようにする」時に使われます。「馴」が常用漢字外ですので、これが読めるかどうかがポイントです。さて、何と読みますか?

正解は「ジュンチ」でした。 なお、この漢字の訓読みは「馴(な)れる」です。常用漢字である「慣れる」に書き換えることが多くありますが、「幼馴染(おさななじみ)」と使ったり、当て字ですが「馴鹿(トナカイ)」の表記などに使ったりします。

2回目の「競馬編」はいかがでしたか? まだまだありそうですので、また、ご紹介したいと思います。
では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源」(角川書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「競馬語辞典」(誠文堂新光社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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