辛くても我慢して頑張るだけが困難を乗り越える方法ではありません。ストレスを華麗にスルーしながら、挫折を経験値に変えて、しなやかに令和の時代を生きていく心の強さが「レジリエンス」。ポキンと折れない柔軟な大人の心=レジリエンスについてご紹介します。
どうして「心が折れる」のか?元自衛隊メンタル教官が解説!
「心が折れそう」という言葉、よく使っていると思いますが、そもそもどうして心は折れてしまうのでしょうか?「私は大丈夫!」と頑張る人こそ実は心が折れやすいという傾向も。ぜひ一度セルフチェックを。
アラサー世代はメンタル面の負荷がかなり高いので注意が必要
「子どもの心の強さ」だけで乗り越えられるのは25歳くらいまでの話。30歳前後のCLASSY.世代は体力も低下して疲れやすくなり、今までの頑張り方が通用しなくなってきます。また、公私ともにタスクが増え人生においていろいろなストレスが増える時期。恋愛、結婚について、また出産のリミットを考えたり、仕事とプライベートの調整など心理的消耗も。心身の疲労のリスクが非常に高いので私は関係ないと思わず自分を労って。
「メンタル強くなりたい!」と思っている時点で心が弱っています
「メンタルを強くしたい」という言葉は、すでにギリギリまで我慢している、プチうつの状態の人がよく言うセリフです。自分はメンタルが弱いから今、辛いのだと思っている人が多いのですが、それは間違い。疲労がたまり、心身ともにエネルギーが低下しているから自分が生きている社会を手ごわく感じているのです。本来ならそこから逃げるべき状況なのに必死に我慢してその状態に耐えていると、ある日限界がきて心が折れてしまうのです。
「頑張る!」「我慢!」で乗り切る「子どもの心」には限界が
子どもの頃から「我慢が大事」「逃げたりあきらめたらダメ」と教わってきた人が多いのでは?我慢する、頑張るという「子どもの心の強さ」しか知らず、「危険を避ける」という一番重要なスキルを学んでこないと、本当は避けるべき状況にもかかわらずもっと頑張ってしまいます。さらにそんな状況でも「逃げる」「避ける」ことは悪いことだと思ってしまうもの。「子どもの心の強さ」だけでは過度なストレスに対して限界があり、心が折れてしまいます。
疲れのレベルをセルフチェック!
心の疲労に自分で気づくために、まずは今の状態をセルフチェックして。3個以上当てはまる人は「プチうつゾーン」、7個以上だと「うつゾーン」となり、今すぐに休む必要があります。
ストレスやリスクを柔軟にかわす「大人の心」がレジリエンス
「子どもの心の強さ」に対して、もう一つの心の強さが「大人の心の強さ=レジリエンス」。動物が子どもに最初に教えるのは敵からの逃げ方。逃げなければ死んでしまうからです。人間も同じで、自分が弱っていたり、強いストレスにあった時には「避ける」という「大人の心の強さ」が必要。目の前の目標を変えたり、修正したりして生き続けながら、大きな目標を追い続ける柔軟さ、しぶとさこそがレジリエンスです。今まで頑張ってきた「子どもの心」のやり方をあきらめることは挫折体験になりますが、その体験こそが「大人の心」を鍛えるチャンスなのです。
答えてくれたのは...
下園壮太さん
陸上自衛隊初の心理幹部として自衛隊員のメンタルヘルス教育、カウンセリングを担当。退官後は心理カウンセラーとして講演や研修を行いメディアでも活躍。最新刊『とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか?』も好評。
イラスト/松元まり子 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc
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