【漢字】「月極=げっきょく」は間違い!実は読めない漢字3選

CLASSY.ONLINEで毎週配信中、漢字に関する記事では、多くの人が見たことのないような超難読漢字ではなく、「常用漢字2,136字」の中から出題するのを基本としています。常用漢字表にはそれぞれの「音と訓」読み(いずれかの場合も)が示されていますが、「訓」に関しては、表に示された以外の別の読み方があるものも多いです。そうした読み方をするものを「表外読み」と言い、いっくつか紹介していきます。

1.「月極」

最初は「月極」です。「月極め」

最初は「月極」です。「月極め」と「め」を送る場合もありますが、街中の看板などでは「月極」と送りがながないほうが多いでしょう。さて、何と読みますか?

音読み問題ではないので、「ゲッキョク」ではありません。正解は「つきぎ・め」でした。「1か月を単位として契約すること」を意味し、「月決め」と書いてよいのですが、実際には「月極(め)」のほうがずっと多い。
ちなみに「極」の字は、常用漢字表では「キョク・ゴク/きわめる・きわまる」の読みが示され、訓読み通りの「きわめる・きわまる」の意味の他、「きわみ・はて」の意味を持ちますが、「きめる・とりきめる」意味もたしかにあります(しかし、「月極」以外でこの意味は見かけません)。
ライターの私は、幼少のころ、全国のあちこちで見かける「月極駐車場」の看板を見て、かなり長い間、大手駐車場チェーン「ゲッキョク」と信じて疑いませんでした。この話を始めると、「自分もそうだった」という同士と必ず出会います。

2.「殺める」

次は「殺める」です。「過って人

次は「殺める」です。「過って人を殺める」などのように使いますが、時代劇か一昔前の刑事ドラマでしかお目にかかることはないかもしれません。さて、読めますか?

正解は「あやめ・る」でした。意味は「殺(ころ)す」と同じです。「殺」の漢字は、常用漢字表では、「サツ・サイ・セツ/ころす」の音訓が示されていますが、この「あやめる」はありません。逆に「危める」と書くことはできます。というのも、これは古語の「危(あや)む=危害を加える」の流れをくむ言葉です。つまり、「危」には同じ古語である「危ぶむ・危ふし」のように「あや」とそのまま読めますが、「殺」にはその読みはもともとありませんので、意味の上から当てた字ということになります。

3.「寿ぐ」

先ほど物騒な言葉が出てきました

先ほど物騒な言葉が出てきましたので、最後はおめでたい言葉にしましょう。「新春を寿ぐ」などのように使う「寿ぐ」です。「寿」の字は、常用漢字表には「ジュ/ことぶき」のみが示されていますが、これは何と読むでしょうか?

「ひさぐ」と読んだ人はいませんか? 正解は「ことほ・ぐ」です。意味は「祝って喜びの言葉を述べる」、つまり、ことばでもって祝福することで、「言祝ぐ」とも書くことも多くあります。こちらのほうが、古語である「祝く(ほく・ほぐ)=祝福の言葉を述べる」の意味がよりわかりやすい表記と言えますね。でも、こちらも読み方注意です。
なお、「寿」の字は、現在では「おめでたい」こと全般に使っていますが、もともとは「年老いて長生きをする」の意味であることから、「長寿(のお祝い)」を表わすようになったものです。

いかがでしたか? 訓読みはたしかに難しいけれど、漢字の意味そのものを考えるようになりますね。では、今回はこの辺で。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「古語林」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「読めそうでギリギリ読めない漢字」(河出書房新社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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