10代後半で「どうして私には生理痛があるの?」という疑問を持ち、そこから『生理マシーン、タカシの場合。』を大学院の卒業制作の一つとして発表し話題を集めたスプツニ子!さん。あれから10年、今彼女が考えていることとは?全3回でお届けします。
「こんなにテクノロジーは進化しているのに、生理痛だけは我慢するしかない⁉」
10代後半、大学で数学・コンピューターサイエンスの研究をしている頃から、「どうして私には毎月生理があって、お腹も痛くて、血が出て、辛い思いをしなきゃいけないんだろう」と疑問に思っていました。
テクノロジーは日々進化しているのに、ある意味原始的なことが野放しにされ続け、生理を隠す風潮もなかなか変わらない。その背景にあるものを調べる過程で、低容量ピルやミレーナなど、生理の負担を軽くする様々な医療やテクノロジーが存在することを初めて知ったんです。
バイアグラ承認には半年、でもピルは?
自分からリーチしないとこの情報に辿り着けない状況を目の当たりにして、改めて女性にとって重要な最先端の医療や技術のディスカッションがなされておらず、承認も後回しにされている現状を実感しました。
例えば、バイアグラはたったの半年で国内承認されたにもかかわらず、ピルが承認されたのは、先進国の多くが承認してから約40年後の1999年です。
「女性にとって救いとなるものは広がりにくい」⁉
それは、政治、医療、テクノロジーの世界においてどうしても男性の比率が多かったため、悪気なく偏ってしまった結果だと思うのですが、「女性にとって救いとなるものは広がりにくい」のは、残念ながら事実。
そこで、生理の辛さを多くの人が体験できたら、ディスカッションが広がるかなと思い、『生理マシーン、タカシの場合。』を大学院の卒業制作の一つとして発表しました。
当時は問題提起型作品として注目を集めましたが、あれから約10年が経ち、最近ではフェムテックの領域が盛んになってきました。女性の健康をサイエンスやテクノロジーでサポートする時代がようやく到来し、素直にうれしいです。
【PROFILE】
1985年生まれ。東京都出身。アーティスト、東京藝術大学デザイン科准教授。マサチューセッツ工科大学助教、東京大学大学院特任准教授を経て現職に。東京を拠点に作品制作を行うほか、オンラインサロン「Sputniko! Lab」も主宰。『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)には、駄言にまつわるインタビューが掲載。私生活ではこの秋、第一子を出産。
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