フウマとジュリの絆は永遠…「DREAM BOYS」観劇レポート|辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020 vol.27

2004年に滝沢秀明さん主演で初めて上演されて以来、数々のジャニーズのスターたちに受け継がれてきた舞台「DREAM BOYS」。今年はSexy Zoneの菊池風磨さんとSixTONESの田中樹さんが新たなメインキャストに。過去の「DREAM BOYS」も観劇してきた辛酸なめ子さんに2021年版ドリボをいち早くレポートしていただきました!

名前と顔が判別しやすい今年の「ドリボ」

2004年から続いている歴史あ

2004年から続いている歴史あるジャニーズの舞台「DREAM BOYS」。演出は堂本光一、エターナル・プロデューサーはジャニー喜多川、主演はSexy Zoneの菊池風磨、ライバルのチャンプ役はSixTONESの田中樹という豪華なメンバーです。昨年はKing & Princeの岸優太が主演で神宮寺勇太がチャンプ役というダブルユウタ状態でした(しかも弟はユウト)。今回は見た目も名前も判別しやすく、年齢脳にはありがたいです。菊池風磨と田中樹の2人ともご尊顔を思い浮かべるとボクサー役が似合いそうで、2人のグローブを交える姿が楽しみです。
帝国劇場は満席で会話禁止の厳粛な空気が漂っていましたが、女性客のときめきのヴァイブスが感じられます。主演の2人に加え、弟分の少年役を演じるのは「少年忍者」の川崎皇輝。さらに「7 MEN 侍」と「少年忍者」のメンバーが華を添えます。

「キレてるね!」と声をかけたくなるフウマの仕上がり

あらすじは、ボクシングで戦ったライバルの青年同士が別々の道を歩み、それぞれ悩みを抱えながらぶつかり合い、時には策略に巻き込まれながら試練や修羅場を乗り越えていくという青春の感動ストーリー。プロローグ的にボクシングシーンから始まるのですが、試合するフウマ(菊池風磨)とジュリ(田中樹)はいきなり半裸! 2人とも筋肉がついて腹筋が割れていて仕上がっています。特に菊池風磨は「ドッキリGP」で何度も裸体を披露していますが、さらに鍛え上げてナイスバルグ感が高まっています。「キレてるね!」などと筋肉をたたえる言葉をかけたいところですが、場内は発声禁止です
その後、場面転換し数十秒で白い王子様風衣装にチェンジし、歌い踊る2人とジャニーズたち。雲の映像が映し出され天国のようですが、これが後の伏線となっていきます。フウマは独特の色気があって声にも包容力があります。対照的にジュリはシュッとしてワイルドな魅力が。菊池風磨と田中樹は同期で10年以上違うグループでライバルとして切磋琢磨してきて、同じ帝国劇場の舞台に立つことになりました。弟的な少年役の川崎皇輝は2015年のSexy Zoneのコンサートで風磨の小さい頃を演じたそうで、違和感ない最高のキャスティングかもしれません。また、エマ役の鳳蘭、マリア役の紫吹淳の2人は何年も出演していますが、全然見た目が変わらないどころかどんどん若返っているような……。毎年のようにイケメンのエネルギーを吸収しているのが一番の美容になっているのでしょう。観客として観ていても女性ホルモンアップの恩恵にあずかれそうです。

毎年思う「この病院、イケメンの搬送が多すぎでは…」

しかし舞台上のストーリーは波乱続きです。ジュリとフウマは8年前、ボクシングの新人王争奪戦に出場しますが、フウマは何も言わずに試合を棄権。2人は疎遠になってしまいますがジュリはチャンピオンとしてジムのカリスマとして後輩に慕われています。実は頭部に重大な疾患を抱えながら……。フウマは弟分コウキの心臓病を心配しつつ、心臓移植代3億円を稼ぐため、ジュリのボクシング人生を題材にした映画への出演を決めます。その映画をプロデュースするのはエマでしたが、彼女は何か企んでいるようで、マリアとも複雑な関係でした。ジュリは映画の企画に乗り気ではないのですが、フウマが土下座して頼み込み、また2人でボクシングの試合をすることを条件に承諾。
試合の日、最終的に頭部にダメージを受けて倒されてしまったジュリ。エマが、フウマの使っていたグローブに鉛の板が入っていたと叫び、フウマには非難の目が集中。追われる身となってしまいます。フウマを追うボクシングジムの後輩レイアがナイフでフウマに襲いかかろうとして、フウマをかばおうとしたコウキともみ合いになり、コウキははずみで後輩の腹部を刺してしまい流血沙汰に。ショックで心臓に異変が起こり、救急搬送されるコウキ。そしてそのコウキの罪をもかぶって「何もかも引き受けてやろうじゃないか!!」とフウマは叫び、奈落に堕ちていくのでした。ここまでで、ジュリとレイア、コウキの3人が病院に運ばれています。治安が悪いし不吉なことが続きすぎです。しかも同じ病院とは……イケメン3人が次々入院して看護師さんが色めき立ちそうです。

菊池風磨と田中樹、2人のリアル「DREAM BOYS」

この舞台の見どころの一つは、フウマが逃げるシーンです。ロープを手の力で5.6m登り、さらに片手と片足だけでつかまってぶら下がるという、鍛え上げた筋肉を活用した技もありました。ビルの映像がスクリーンに映し出されている前で、フウマが垂直を感じさせずに横フライングして、ビルの屋上を飛び移っていくシーンには臨場感が。サラサラな髪と激しいアクションのギャップが素敵です。激しい動きで髪が乱れても次の瞬間には整っているのはキューティクルのきめが揃っているからでしょうか。この舞台では改めて菊池風磨の演技力に圧倒されました。優しさと深みを感じさせる歌声も心に響きます。逃げている途中、不気味な人形の館に迷い込み、フウマが人形たちに「岸~!」「神宮寺!」と呼びかけるシーンでは少し笑いが起こっていました。
そしてジュリの歌声もセクシーで力強いパートがあったり、ラップ系の曲ではダミ声で歌ったり、音域の広さに驚かされました。そんなジュリも後半、ベッドに横たわっている姿が涙を誘います。病床で、実はグローブには鉛の板など入っていなかったことを告げ、フウマとの絆に思いを馳せながら天に召されたジュリ。霊が決めて良いのかわかりませんが、自分の心臓をコウキに移植したいと提案し、天国に旅立ちます。彼の心臓はコウキの中でずっと生き続けることに……。終盤、エマの息子はフウマで、コウキは実はマリアの息子という驚きの事実が発覚し、コウキと抱き合うマリア。客席から紫吹淳に羨望の眼差しが集中していました。
毎年のように帝国劇場で上演される「DREAM BOYS」は修羅場を経て和解、という流れで感動とともに「復讐は何も生まない」というメッセージが心に刻まれます。ジャニーズの舞台には平和の大切さを学ばされることが多いです。もちろん観客としてはイケメンたちを観ているだけで十分、心は平和に包まれるのですか……。
カーテンコールの時、「風磨の時より大きい拍手をありがとうございます」「そんなことないよ。同じくらいだよ」という田中樹と菊池風磨のやりとりにライバル心が垣間みえました。現実でもリアル「DREAM BOYS」は続いていく……。2人の絆は永遠です。

辛酸なめ子

イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)、「電車のおじさん」(小学館)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)など。

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