CLASSY.ONLINEでは、「常用漢字表の範囲内の漢字で、なおかつ、そこに示されている訓読み」の中から、読みにくいと思われるものを紹介しています。まだまだ紹介候補がありますので、同じ路線でピックアップしていきます。決して、漢字クイズといえるような難問ではありませんが、逆に言えば、読めないと恥ずかしい漢字ばかりです。それでは、始めましょう。
1.「疎い」
最初は、「政治に疎い人」などと使われる「疎い」です。さて、何と読みますか?もちろん、「そ・い」ではありません。
正解は「うと・い」でした。例文の「疎い」は形容詞で、「くわしくない・よく知らない」という意味ですが、「人と人との関係が親密ではない」という意味もあります。「去る者は日々に疎し(=親しく交わった人でも、遠ざかると次第に交情が薄れるものだ)」という中国の古典の言葉は、聞いたことがあるでしょう。また、動詞として、「疎む・疎んじ(ず)る」という形が使われますが、「嫌って遠ざける」という意味になります
2.「綻びる」
次は、「かたかった表情が綻びる」の「綻びる」です。さて、何と読みますか?例文が「服の縫い目が綻びる」「梅の花のつぼみが綻びる」だったら、読めた方も多いのではないかと思います。
正解は「ほころ・びる」です。「綻」という漢字は、「ほどける・ほころぶ」の意味を持ちますので、「縫い目」や「花のつぼみ」だけでなく、「表情がやわらいで笑顔になる」時にも使えます。また、「綻」は音読みも誤読の定番でもあります。たとえば、熟語の「破綻」は読めますか。「ハジョウ」と読む人が多いのですが、正しくは「ハタン」ですね。実は、この「綻」は2010年の常用漢字表改定で追加された漢字の一つです。それまでは新聞では「経営破たん」というおかしな表記も目にしました。常用漢字に追加されて、晴れて「破綻」が使えるようになったのはいいけれど、「ハジョウ」と読む人がいては何にもなりませんね。
3.「弄ぶ」
最後は、「運命に弄ばれる」などと使う「弄ぶ」です。さて、何と読みますか?「ろう・ぶ」ではありません。
正解は「もてあそ・ぶ」でした。例文の場合は、「思うままに扱う・好き勝手に操る」という意味で使われていますが、もともとは「手に持って遊ぶ・いじくる」という意味です。常用漢字表に示された「弄」の訓読みは、この「弄ぶ」だけですが、「弄る」という「表外読み」も目にしたことはありませんか。こちらは「まさぐ・る」と読みます。「ポケットの中を弄る」のように使います。
さらに、「弄(ロウ)する」と音読みで読む形もあります。「思うままに操る」という意味になりますが、「策を弄する」か「詭弁(キベン=こじつけの議論))を弄する」の用例に、ほぼ限定されるのではないでしょうか。なお、この「弄」も、2010年の常用漢字表改定で追加された漢字の一つです。よく目にする「翻弄」という熟語も、使用する場合には制限がありました。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「小学校で習った漢字」(サンリオ)
・「読めそうでギリギリ読めない漢字」(河出書房新社)
・「漢検ポケットでる順2級」(旺文社)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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