今回は漢字の読みではなく、「送りがな」を取り上げます。パソコンなどで文書作成している時には、自動で変換してくれるので、全く気になりませんが、いざ手書きとなった時に、はたしてこれでよかったのかと気になるのが、この「送り仮名」ではないでしょうか。学校でも、作文や小論文の指導で生徒に赤字を入れることが多く、これ自体を問う問題が、中学校や高校の入試問題や漢字検定問題などでも、出題されることがあります。
■問題
では、問題です。漢字で表記する場合、正しいと思われるほうを選んでみてください。
いかがですか?それでは解答を発表します。
■正解
この「送りがな」のよりどころは、1973(昭和48)年に内閣告示された『送り仮名の付け方』です。ここには、「動詞・形容詞・形容動詞」やら「活用語尾」やら、文法用語が並びます。詳細な解説は避けますが、文化庁のホームページの他、お手持ちの国語辞典などで資料として記載されているはずなので、疑問に思った際には確認されるとよいでしょう。『送り仮名の付け方』の基本となる法則が、1から7まである「通則」の中の「本則」です(この「本則」に対して「例外」と「許容」があります)。ちなみに、今回の問題のうち、1~4が動詞、5~8が形容詞、9が形容動詞で、10は名詞です。
なお、2と10は「断わる」「祭」も正解なのではないかと思われる方もいるでしょう。『送り仮名の付け方』の中には「許容」というのがあり、これは「本則による形とともに、慣用として認められている」という種類のものです。「断わる」「祭」は、まさにその「許容」ということになるのですが、あくまでも「送りがな」の原則では「断る」「祭り」が正解である、という観点で出題しました。実際、教科書や公用文などでの使用に関しても、この考え方が優先されているはずです。もちろん、一般の文章で「許容」を使用することを認めないというのではありません。他にもよく目にするものとして、「おこなう」「あらわす」は「行う」「表す」が原則であり、「行なう」「表わす」が「許容」です。パソコンの漢字変換で2種類の「送りがな」が候補として出てくるのは、この「許容」であることが多いと思います。
では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「漢検ポケットでる順2級」(旺文社)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
Magazine
View more
View more
View more
View more
View more
View more
View more
View more
View more